CES2013で好評を得た「XPERIA Z」の、大きなセールスポイントのひとつが“Battery STAMINA mode(スタミナモード)”です。
これは画面を切っている間のみ、アプリケーションを退避して通信を抑制する新しい省電力機能です。VAIOの”Rapid Wake”など、最近のノートPCにおけるトレンドとなっているような工夫を彷彿とさせます。
昨年のグローバル版XPERIA TやICSにアップデートしたXPERIA Pに採用されていた”Extended Standby Mode(拡張待ち受けモード)”を、更に進化させたSONY独自の機能となります。拡張待ち受けモードは、待機時の消費電力抑制に絶大な威力を発揮します。決して多くない電池容量のXPERIA TやXPERIA Pにおいてロングライフを実現できていたので、個人的には救世主のような存在でした。
事実、スタミナモードを利用した際の利用時間は、公称値で従来の4倍となっています。バッテリー容量は2330mAhと最新モデルの中ではやや平凡ですが、長時間駆動が期待されていました。
しかし一躍注目を浴びることになったスタミナモードですが、XPERIA Zのドコモ版であるSO-02E先行展示機には、スタミナモードの項目がありませんでした。売りの機能が外されている正確な理由はわかりませんが、ドコモの提供するキャリアアプリなどとの兼ね合いがあるのでしょうか。もし製品版でもこの仕様なら、残念です。
かわりに省電力モードがありますが、電池残量に応じて輝度やWi-Fiのオンオフを切り替えるだけの機能です。昨年の国内版XPERIAにも存在しています。
昨年輸入したグローバル版XPERIAでは、国内キャリアのSIMが刺さっている場合、拡張待ち受けモードが表示されないことがありました。もしかするとiPhoneのように、挿入したSIMのキャリアによって、表示する設定項目を変えているという可能性があります。グローバル版XPERIAの場合は設定画面から消えてしまうだけで、機能自体は生きていました。
そうであれば、SO-02Eでは、SIMロック解除(有料)をして海外で利用する場合には、スタミナモードが解禁される仕組みはあるのでしょうか。それともスタミナモードは、根こそぎ潰されているのでしょうか。あくまで推測の域を出ませんが……。
ちなみにスタミナモードは、グローバル版XPERIAに提供されるファームの中に、SuperStamina.apkとして存在しています。Android端末のハックを行っているコミュニティー xda developersにおいて、SuperStamina.apkを含むXPERIA Tのファームウェアが流出しています。
つまり、非常に嘆かわしく、不本意なことですが、root化などのハックを通じてSO-02Eにスタミナモードを出現させられる可能性はあるということです。
最近はパナソニックが白物家電において採用する「エコナビ」を自社スマホELUGAシリーズに採用し、省電力性をアピールするなど、非常に面白い局面となってきた一方で、このようにメーカーの個性が活かされない状況があることは残念に思います。ハックなどを用いず、メーカーの世界観が堪能できるよう、製品版やアップデートなどでの対応を強く望みたいです。