「白ロムショップ」というものが存在します。使い終わった携帯電話、合わなかったスマホなどを買い取り、その機種を中古で販売する、携帯のリサイクルショップです。
海外の事情とは異なり、メーカーが端末をキャリアに卸して販売するビジネスモデルばかりが主流の日本市場においては、契約無しで端末を直接購入しようとなると、最も身近な存在です。
聞き慣れない言葉「赤ロム」とは?
一方、白ロム(=中古端末)に対して、赤ロムというものが存在します。中古端末をショップに売却した客が、割賦契約(スマホを分割で購入)しており、支払いを滞納していたり、盗品である場合などがあります。
そのような場合、通信キャリアが端末の利用を差し止めるため、「ネットワーク利用制限」を実施します。そのとき、画面右上のアンテナピクトが赤色になり、端末が利用できなくなります。その状態になった端末が、赤ロムと呼ばれているのです。
中古のau端末に一瞬だけ差した「希望の光」
携帯三社の、中古端末にSIMカードを差し替えることについて、おさらいしておきましょう。
SoftBankやNTT docomoの機種である場合、SoftBankの端末であればSoftBankのSIMカードで、docomoの端末であればdocomoのSIMカードで、それぞれ自由に利用することができます。SoftBankの場合、フィーチャーフォンやスマートフォン、iPhoneでSIMが異なるため、docomoほどは自由にいきませんが。
KDDIは転換期にあります。従来のau端末はロックが施されており、いちいちSIM(auIC)カードの差し替えに、ショップで2100円の手数料を支払いに行く必要がありました。これが悪名高い「レベル2ロック」です。なかなか中古のau端末を購入する上では不便でした。
しかしこれがソニエリ、LGなど海外メーカー製のスマートフォンにおいてはロックのない機種が散見され、2012年のau夏モデルからは、ついに全機種でロックフリーに。auキャリア内においては、SIMカードの差し替えがかなり容易になりました。SIMのサイズによってアダプターが必要だったり、契約プランの変更が必要な場合はありますが。
そんなわけで、「レベル2ロック」の終了によって、ユーザーは自由を手に入れ、魅力的なラインナップの揃ったau端末の中古市場が、発展を遂げるかと思いきや、事態は急展開を見せます。
買取中止の真相
白ロムを販売する「じゃんぱら」が、au LTE対応端末の買取中止を発表したのです。iPhone 5やHTC J butterflyなど、多くの機種の買取が拒否されている状態です。
実は、LTE端末の登場と時を同じくして、auも冒頭に述べた「ネットワーク利用制限」を導入したのです。これにより赤ロムになってしまった端末は、持ち込み新規で回線を契約することができません。
中古で機種を買っていったお客さんが、auショップで契約できずに戻ってきてしまう事例が多く起きたため、このような措置を「じゃんぱら」等がとったようです。このように買取中止措置に追随する白ロム屋もいくつかあります。このあたりの騒動についてはすまコジさん、@bbb7721さんが詳しいです。
買い取る際に赤ロムかどうかをチェックする仕組みが当然あるのですが、auの赤ロムチェックサイトは、一括払いで買ったか分割払いで買ったかを確認できないのです。
白ロム屋が買い取る際には問題なかった端末が、白ロム屋で眠っている間、元の端末の持ち主が料金を払わなかったり踏み倒したりして、売却時には赤ロムと化していることがあるのです。
一括/分割を区別できるソフバン端末、白ロム屋の新たな試み
ソフトバンクの場合は、確認サイトで分割払い残金がある場合や、安心保証パックが付いている場合でも▲マークが出て、多くの白ロム屋が買取を厳しくしています。
分割代金があるからといって、白ロム屋が買取を全て断るわけではありません。たとえば「じゃんぱら」は、分割買取という仕組みを導入しています。この仕組みでは、分割支払い中の端末は、半額で「じゃんぱら」が買い取ってくれます。残りの額はどうなるのか?分割払いをキャリアに完済することで、残りの額を受けることができるのです。
査定額は変動しやすく、1年後、2年後には暴落しているものです。しかしこの分割買取の場合、査定額が落ちる前の、今現在の価値で、その半額を今すぐ受け取れます。残りは完済後に受け取れます。そのため、端末が合わなかった、気に入らないというユーザーにとって得だと考えられます。
早いうちに買い取れることで、最新機種を早く中古で欲しいユーザーが喜びます。白ロム屋も全額を今すぐに払わないことで、リスクヘッジができます。完済後の残りのお金を欲しいがために、ユーザーも分割払いを完済する気になるでしょうから、結果的にキャリアも得でしょう。みんな幸せになれる画期的な制度です。
現在この制度は「じゃんぱら」がSB端末に対して実施しています。ソフトバンクは赤ロムに厳しいですが、分割や保証が残っている場合は白ロム屋も確認できるので、こうした面白い制度を実施することができます。多くの白ロム屋で導入されて欲しいですね。
[追記]じゃんぱらがau LTE端末に対して「分割買取サービス」を導入し、買取を再開した模様です。
他の白ロム屋でも、分割払いのソフトバンク端末の買取は、単に拒否する店ばかりではなく、買取査定額を大幅に下げるだとか、身分証明の徹底と赤ロム時の損害賠償について同意してもらうことで、対処していたりします。
多様なニーズを考えてシステム見直しを
KDDIにとっては中古市場なんて目の上のタンコブかもしれないのはわかりますが、多様なニーズが存在します。二年間使えない機種を二年使うことを前提に売ってきたキャリアがあり、そのキャリアから端末を買わざるを得ず、不便に思っている人が数多くいるのですから、売りたい人も買いたい人も出てくる、白ロムが必要となるのは、当然の流れではないでしょうか。
買取の際には問題なかったものを、契約できないというのでは、誰も納得しないでしょう。契約できなくなる可能性があるものなら、その可能性がわかるよう表示していただきたいです。
ユーザーのためにも、中古市場のためにも、KDDIはチェックサイトで一括と分割の確認をできるよう、システムの改善を望みたいです。