i-dio放送の設備事業者であるVIPとCoviaの開発したSIMフリースマートフォン「i-dio Phone」が12月21日に発売されるとアナウンスされました。
本機は2016年3月に東京、大阪、福岡で開始されるV-Low(VHF-Low)マルチメディア放送サービスi-dioの受信機として位置付けられています。地デジやFMラジオにも対応です。
スペックは5型HD、1.2GHzクアッドコア、メモリ2GB、ストレージ16GB、3000mAh電池、背面800万/前面200万画素、対応バンドはW-CDMA 2100/800MHz, LTE B1,3,19,21。
さて、この端末の出来はともかく、モバイル放送ってどうなんですかね。モバHOもNOTTVも既に失敗しているわけです。
両者の失敗の原因は、専用の受信機が必要という点です。モバHOも専用機が普及せず、加入者を拡大できずに終了しました。
続くV-High使用のNOTTVは、運営会社はmmbi。莫大な資本力を持つドコモがこの会社の母体です。ドコモは端末製造メーカーに無用な負担を強いて販売端末のラインナップをNOTTVに対応させたり、NOTTV加入に補助金を注ぎ込むことで全国津々浦々の携帯販売現場で顧客にオプション加入を強制するなど、非常に乱暴なやり方で専用機と加入者を拡大しましたが、それでも失敗に終わっているのです。
これだけの死屍累々を見た後で、VHFモバイル放送が成功するというのはどうしても懐疑的にならざるをえないところ。VIPとしては収益化は広告等で図るわけで、オプション強制加入なんてさせる必要はありませんが、パートナーがあまり増えないと困るわけですね。とにかく受信者を増やして、パートナーを増やす必要があります。目下の課題は受信機拡大でしょう。
スマートフォンだと、既に持っている人が多いので、「i-dio Phone」自体はプレゼンのようなものでしょう。いかに既存のスマートフォンで受信させるかです。VIPは受信機を兼ねたWi-Fi機器を配って普及させるというのを考えているようです。まあ、実はそれ、NOTTVもドコモのTV BOX TB01でやってたんですが……。
デジタル放送ということで、音質も良いというところを推したいようです。なので、microUSB / Lightning経由で出力しイヤホンに変換する、デジタルアンプのような形状で提供するとか?それだとスマホの取り回しは悪くなりそうですかね。
さて、i-dioがサービス終了前に無事全国に放送波を届けるための設備を整備できるのか、今後の展開を注視したいところです。