写真とは、被写体の瞬間を二次元的に切り取るというのが、世間の常識です。しかし、その常識を覆す、サービスを提供するカフェがアキバに存在するということで、潜入レポートです。
ざっくりとQLQL cafeを説明すると、被写体を360度回転させながら写真を撮影することで、パソコンやスマホから被写体を360度楽しめる写真を制作するスタジオと、美味しいコーヒーが飲めるカフェを併設したお店です(これだけ聞いてもよく分からないと思いますが……)
被写体を360度撮影できると言われても、よく分からないと思うので、まずはデモ画像をご覧ください。
画像をクリックしていただくと、画像が読み込まれるので、画像を左右にスワイプしてください。タッチに合わせて画像がクルクルと回転します。
ドール(娘)を撮影してみた
「よし、じゃあ私を360度撮影してもらおう!!」と思ったものの、正直な所、おっさんの360度画像を見たところで目の毒でしか無いと思うので、僭越ながら筆者のドールを撮影していただきました。
ぐわあああああ。かわいいいいいいいい。私の娘最高ぉおおおおおおあああああああああああああああああぁぁぁっぁああぁぁっっ。失礼取り乱しました。
撮影中の様子はこんな感じです。
写真の撮影が終わると、QRコードが印刷されたレシートがもらえるので、スマホでQRコードを読み取ってアクセスすれば、写真を確認できます。
撮影の料金体系は以下の通りになっています。
撮影のみ | 400円 |
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ドリンク付き撮影セット | 800円 |
物の撮影 (フィギュアやドールなど) |
1200円/15分 (時間内は何度でも取り直し可能) |
通常は人の撮影がメインのため、ドールやフィギュアのような小物を撮影する場合は、事前に電話の連絡をして欲しいとのことです。ちなみに、成人向けのムフフな写真撮影も可能とのことですが、こちらは要相談とのことです。
開発者寺川氏は、かく語りき
被写体を360度撮影可能なシステムを開発した寺川さんに、どのような経緯でこのような装置を開発したのか伺いしました。
高橋:「開発の経緯を教えていただけますか」
寺川さん(以下、敬称略): 「私は元カメラマンをしていまして、写真の撮影をしていたとき、同時に多方向から、写真が撮ることができると面白いねという話になったんです。実はグラビア写真の撮影をしていると、こう……やっぱり構図に迷うことがあるんですよね。瞬間的に垣間見える構図があって、こっちの方が良かった……みたいな。そういうのを突き詰めていくと、触れるグラビアを作ってみたいなという話になったんです。」
高橋:「触れるグラビアですか……」
寺川: 「時期的にはちょうどiPhone 3GSが登場した頃で、画面をタッチして操作するということが、社会に普及しつつある段階でした。そこで簡単ですがアプリと撮影装置を作ってみたんです」
高橋: 「なるほど、最初はアプリでリリースの予定だったんですね。」
寺川:「はい、ところが、ちょうどその時期からAppleの審査が厳しくなって水着がNGになってしまいました。Androidの製品も少しずつ出てきていた時期でしたが、まだ実用的じゃないなということで、しばらく放置していたんです」
高橋: 「では、今のような形になったのはどのような経緯があったんですか?」
寺川: 「実は2013年に東京アニメフェアがあって、スタッフのひとりが知り合いだったんです。そこでブースがあいているから、出展してみないかという話があって、やってみたところコスプレイヤーさんに大変好評いただいたんです……。1日140人くらいの方を撮影させていただいて、喜んでいただきとてもうれしかったんですが……実はこの話には裏がありまして」
高橋: 「なにやら不穏な雰囲気が漂ってきましたね」
寺川: 「当時のシステムは、写真をつなぎ合わせる仕組みを全て手作業で行っていたんですが、手作業で作品を完成させる労力を全く考慮していなかったんです(笑)結果的には、全ての作品を作るのに2ヶ月程の時間を要することになりました。これじゃあ駄目だよねって話になったんです」
高橋: 「そこで、今のような仕組みが考えられてきたということですか」
寺川:「はい、まずは、7台あったカメラを1台にして、データを作成する際はDBにエントリしたり、そこに画像ファイルを高速に転送して、ブラウザから360度の画像が閲覧出来るようにしました。最初はURLをメールで送っていたのですが、これもまた誤送信の問題があって、今のようにQRコードで出力する形に落ち着きました」
寺川: 「簡単に撮影が出来るということで、今回はドールを撮影させていただきましたが、ドールや人に限らず簡単に使えていったらいいなと思っています。実際被写体を360度で撮影出来るというのは、潜在的なニーズが沢山あると思うんです」
高橋: 「確かに Amazon のような通販サービスでは一面的なものしか確認できませんしね。フィギュアのような造形物は、Webカタログの段階で360度の写真が確認できればもっと魅力が伝わる気もします」
寺川:「はい、だからなんというか、全てのものを一個一個作っていくというのは難しいのは事実で、そこはカジュアルに、いろいろなものを持ち寄って、撮影された作品が沢山集まっていけば、何か別の面白いものが見えてくるんじゃ無いかなと思っています」
カフェとしても十分なクオリティ
一杯ずつハンドドリップされたコーヒーは大変美味しく、写真の撮影に興味が無い方でも、コーヒーを飲みに行ってみると良いでしょう。椅子もゆったりとしており、座り心地も良く、アキバの喧噪から離れた喫茶店で飲むコーヒーは乙なものです。
ちなみに、寺川氏曰く「カフェをやってみよう!と決めたのは良いけれども、カフェなんて初めての素人なものですから、手加減を知らず……いったいどこと勝負するつもりなのか全力で振り切ったあげく、コストを度外視してオリジナルブレンドをコーヒーメーカーさんに作ってもらっているので、コーヒー好きの方に、是非いらして欲しい」とのことでした。
コーヒーのおいしさもさることながら、無料で飲むことが出来る健康茶の味もかなりグッドです。何のお茶なのかをお伺いしたところ「ザラ茶」と呼ばれる山口県のお茶らしく、カワラケツメイという植物のお茶で脂肪の吸収を抑える効果があるのだとか。
立地は通称パーツ通りから少し外れた場所にあるため、アキバを満喫した後に、ふらりと立ち寄っても良いでしょう。ちなみに、筆者もアキバ散策に疲れ友人とふらりと立ち寄ったのが、このお店との出会いでした。
アキバ近辺で「うちも面白いことやってるよ!! 」という方は、是非お問い合わせフォームからご一報ください。高橋がのんびり取材に参ります。 |