SIMフリー市場や通信基地局などで日本でも存在感を増しつつある中国企業、HuaweiとZTEですが、米国では暗雲立ち込めつつあります。
昔からHuaweiは人民解放軍や中国政府との繋がりを度々指摘されていますが、どこまで事実なのかは判然としませんでした。しかしCIA, FBI, NSAといった米情報機関が、米国消費者に対して、HuaweiやZTEの製品の使用をやめるよう一斉に警鐘を鳴らしたことで、問題が大きくクローズアップされるようになりました。米国の携帯キャリアはHuawei製品の取り扱いをやめ、一部小売店も追従しつつあります。中国のテクノロジー企業の製品による諜報活動の懸念は、米国政府による、さらに強硬な措置を招来しつつあります。
米国政府の通信行政を監督する連邦通信委員会(FCC)のAjit Pai議長は、国防上の脅威となる企業に対する、新たな措置を提案しました。ここには当然、渦中のHuaweiやZTEといった企業が含まれることは明らかです。
国防上の脅威となる企業の製品・サービスをリストアップすることで、USF(ユニバーサルサービス基金)からそれらへの資金が流入しないようにするもの。
USFは、過疎地や僻地、低所得者居住区にも通信サービスを整備確保する目的で設立されました。基金の負担金は、通信事業者が一般ユーザーから徴収しています。提案が通れば、各事業者がUSFの補助金を受けてネットワークを整備する時、HuaweiやZTEの製品は導入できないことになります。
FCCがどのように禁止するハードウェア・サービスを選定するのか、何を持って国防上の脅威とするのか?その具体的な基準はまだ明らかとなっていません。
提案はパブリックコメントを募集する期間が設けられ、4月17日に審議される予定です。この提案は容易に通過することが予想されています。
Huaweiには逆風とも言える流れが立て続けに起きていますが、当のHuaweiは、依然として米国で事業を継続すると表明しています。HuaweiのRichard Yu CEOは、疑惑には根拠がなく、米国消費者の信頼を得ていくことを約束すると述べました。
日本の携帯キャリアはHuaweiやZTEの通信設備を導入、製品を販売などしています。日本政府は、政府内の機器調達基準からHuaweiとZTEを排除していることを仄めかしつつも、HuaweiとZTEの製品の販売流通について何らかの措置を講じることについては言及を避けています。