TikTokなどの中国製アプリ規制を米政府が検討していますが、中国製アプリを閉め出したいと考えているのは政府ばかりでなく、直接の競争相手である米企業も同じ様子。
Facebook創始者のザッカーバーグは「インターネット軍備競争」論を振りかざし、TikTokはこれに対して「Facebookのショート動画アプリはパクリ」と応戦する殴り合いが展開されているようです。中国「観察者網」が伝えました。
米国現地時間7月29日、アマゾン、Google、Appleなど、IT企業大手CEOが独占禁止聴聞会に出席。米国ブルームバーグ社の同日報道によれば、ザッカーバーグが事前に発表していた証言において、ザッカーバーグは「成功する米国の物語」を強調し、現在まさに中国のSNSアプリ、特にTikTokによる脅威を受けており、Facebookは中国との「インターネット軍備競争」において重要であると表明したとのこと。
また、ザッカーバーグは、中国IT企業がインターネット領域を主導する「危険性」を強調し、中国はまさに外国へ進出しようとしていると強調。
これに対してTikTokのCEO、ケビン・マイヤー(前ディズニー副総裁)は同日早速発表した声明で、「我々にユーザーへのサービスの公平、公開競争に集中させて欲しい、我々の競争相手による悪意的な攻撃――つまりFacebookだが、彼らは愛国主義を装い、我々を米国から消滅させようとしている」と反撃。
また、TikTokは競争相手に対し「来るなら来い(Bring it on)」とも表明。Facebookは現在一部国家で「Reels」という新製品を展開しており、マイヤーCEOは「Reels」と、これもFacebookが米国で展開しているショート動画アプリ「Lasso」を名指しで「パクリ」と批判した上で、「彼らのパクリ製品Lassoはもう潰れかけだ」と言い切りました。
ブルームバーグの論評によると、ザッカーバーグはFacebookに向けられている業界独占の目線をTikTokへそらそうとしており、これにトランプ大統領が飛びつく可能性が高いといいます。
また、ザッカーバーグがトランプ大統領に「忖度」したのはこれが初めてではないとか。
「黒人殺害事件」により全米で発生している騒乱について、トランプ大統領はSNSで「略奪が始まるときが発砲のときだ」との「暴言」を投稿しましたが、Twitterはすぐに当該Tweetを閲覧できなくしたのに対し、ザッカーバーグはこの投稿に対し如何なる措置も取らない態度を取り、Facebook社内でも物議を醸したそうです。
以上、もはや大義名分もクソもない、ただの殴り合いの様相を呈してきた「米中インターネット戦争」、ちょっと前例がない事態だけに、どこまでやるのか見当がつきませんね。ちなみに、中国国内ではVPNを使用しなければFacebookにアクセスできません。