スマートフォンは、近年の大型化、小ベゼル化の流れを受け、画面をより全画面に近づけるために、ノッチやパンチホール、U字カットやV字カット、ポップアップカメラなど、様々な手法を取ってきました。
そして、最近ではZTE Axon 20が「インカメラ部分の解像度を落としてその部分を透明に近づけ、その下にカメラを埋め込む」という技術で画面下インカメラをディスプレイに搭載しました。これは国内販売端末としてはRakuten BIGが初号機。
そんな各企業が全画面化へのしのぎを削る中で、Samsungが新たに取得した特許が公開されました。それは前面ディスプレイの下にパンチホールを隠すためのサブディスプレイを配置し、モーターを使用してディスプレイとインカメラを変更するという仕様。
特許資料等からいち早くレンダリング画像を起こすのに定評がある海外サイトLetsGoDigitalが、今回の特許の内部機構をわかりやすくイメージ化したのがこれらの画像。
インカメラの前をサブディスプレイが上下しています。ポップアップカメラともまた違う、逆転の発想。その発想は無かった……。
Samsungが取得した特許では、このパンチホールは左右にも動くことができるとのこと。例えば、この技術によってディスプレイ下に虹彩認証や顔認証を埋め込み、それが作動するときには横にスライドし、その生体認証に必要なカメラのみ表示するといったこともできるようです。解像度を落としたディスプレイをカメラセンサーの前に配置するRakuten BIGの方式では、これらは難しいでしょう。
サブディスプレイにはタッチセンサーも搭載。2回タップでどのカメラを表示するかを切り替えたりということや、通知機能、時計機能などを割り当てることも可能のようです。特許文書によると、Sペンでもどのカメラを表示するかを決められるそう。
特許取得即ち実製品への採用というわけではないため、この技術がGalaxy S22などのハイエンドモデルに搭載されるかは分かりません。
しかしもし採用に至れば、狭額縁とより高精度な顔認証の両立や、SamsungがGalaxy S8~S9で採用していながらS10では廃止した虹彩認証の復活もあり得るかもしれません。特にコロナ禍では口と鼻を隠した顔認証は役に立たないため、もしベゼルレスと虹彩認証が両立できればこれほど素晴らしいものはないでしょう。
Samsungは画面埋め込みカメラの開発を非常に苦戦しているようで、数世代前から搭載の噂はあったものの、未だに実現できていません。先進技術を試験的に導入する役割も担うGalaxy Aシリーズに搭載し、実際に使えるかがテストされる可能性もあるのではと筆者は推測します。今後の動向に期待したいところです。