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話題の音声SNS「クラブハウス(Clubhouse)」を使ってみた。高齢者専用Discord?

 イーロンマスク降臨でアクセス殺到、日本人ユーザーも爆発的に増え、サーバーが不安定になることもしばしばある、話題の「招待制」音声SNS「クラブハウス( Clubhouse )」。

 「自動車通勤文化のアメリカ」「セレブにiPhoneが受けているアメリカ」にフィットするよう作られている音声SNSサービスですが、意外と日本でも受けています。さて、どんなアプリなのか?

 基本概念としては、好きな話題の「部屋」を立てて、そこに入ってきた人で通話を展開できます。これがめちゃくちゃいい。

 部屋に入った人同士で通話ができる……まるでゲーマー向け通話アプリDiscordのようなサービス。電話を掛けると相手のスマホに割り込んで時間を専有しますが、クラブハウス・Discordの形式ならお互いの時間を尊重できます。

 しかしDiscordとは異なるのは「入ってきた人は、まずは聞き専(リスナー)になる」「機能がシンプル」という点。

 各部屋を覗いてみると、仲の良い人同士で通話。新たに入ってきた人がその会話を聞くする形。特に「招待制」で実名参加、対象年齢18歳以上、芸能人・有名人を中心に広まっていることもあって、有名人同士の会話を盗み聞きできるということで話題となっています。まるでラジオ。

 通話ログは残らないほか、規約上も部屋内の会話を書き起こして別途無断で公開するようなことが禁止されているので、有名人も安心して喋れるというのが、受けている理由かもしれません。

 部屋の管理者権限を持つモデレーターは、リスナーをスピーカー(話者)に変更可能。リスナーが話をしたい時は、「挙手」ができ、モデレーターは適宜挙手した人をスピーカーに変更できます。なので、「リスナーとの距離が非常に近いラジオ」とも言えるでしょう。

(通話会議の開始時刻を設定、TL上のカレンダーにイベントが表示され、そこからGoogleカレンダーへの即時追加もできて便利)

 管理者権限さえしっかり信頼できる人に割り振っておけば、荒らされることもありません。有名YouTuberや芸能人の通話には大量のリスナーが部屋で聞き耳を立てています。

 筆者はモバイル界隈では多少知られているかもしれませんが基本的には一般人。タイムライン上に様々なトピックが設定された部屋が流れてくるので、それに適当に参加して楽しんでいます。

 実際、かなり盛り上がってる印象ですね。早くもClubhouse中毒になっているユーザーも多数。モバイル関連のジャーナリストが旬の話題で会議通話をしたり、クーデターが起きた国の動向について海外現地にいるジャーナリストが解説や最新ニュースを配信したりと、面白い使われ方も。

 アカウント登録には電話番号と電話帳が必要。友人との気軽な会話にももちろん使えます。友達の友達を通じ、新しい友達を作る機会にもなります。まさにアプリ名の語源であるクラブハウス(会員制の社交場)といった感じ。うまくアプリ上に体験を再現できています。実際、Twitterで少し知り合っていただけのユーザーと密接に会話できたり、面白いです。

(通話会議公開範囲も設定できる)

 Discordには様々なコミュニティのチャンネルが既に無数に存在しているので、あるSNSユーザーが「クラブハウスは高齢者版Discord」と評し、それが拡散されていましたが、そういう評価が出てくるのも部分的にはわかります。私もDiscordが大好きで愛用しているので、当初「基本はDiscordに似てるのに、テキストチャットがない、画像送信がない、無い機能だらけ!」と戸惑いました。機能面は完全にDiscordが上でオタク好み。一方クラブハウスは通話中、他の会話を少し覗こうとしたら、覗いた会話に通話が切り替わってしまうのはびっくり。誰でも使いやすいように簡略化しすぎと言った印象。それでいて若いユーザーがクラブハウスにはそれほどおらず、アクティブユーザーの傾向的にFacebook的・NewsPicks的な空気も感じたからです。

 しかしそういう穿った感想を抱いてしまうのも本当に最初だけ。テキストチャットすら無い、絞り込んだ機能ゆえに、純粋に音声の会話に集中できるのです。Discordはテキストチャンネルを細かく分けて、目的をテキストで概ね達成できてしまうのですよね。作業やゲーム攻略には向いているものの、実はわざわざ音声会話に至らないことも多々あるのです。

 そう、テキストがないからこそ、音声会話の部屋に入るしかないわけで、だからこそ聞き専に近いユーザーも気兼ねなく音声会話の部屋に入れる……全て音声を中心に体験が設計されているのです。通話中、他の会話を覗こうとすると通話が切り替わってしまう仕様も、それで説明がつきます。

 機能をシンプルに、音声会話を中心に絞ったことで生まれる新しい体験。「140文字しか書けないTwitter」というのも、登場当初は革命的でしたからね。Twitterも当初は画像/動画投稿すらできず不便で、リツイートもありませんでした。

 日本でクラブハウスが流行り始めて数日ですが、参加ユーザーには、若いクリエイターや情報感度が高い人、イラストやVRアバターをアイコンにしているようなネットリテラシーの高いユーザーもこころなしか増えてきた印象も。Twitterも初期は(オタク、理系の学生らを除けば)基本的に若者は多くありませんでした。Twitterの初期を高速早回しで見ているようなスピードで人口が増えているように見えます。このアツさを感じられるのは今!Discordじゃコミュニティ横断検索が完結しませんしね。使い込むと良さがわかってくる。むしろ若い人、オタクにこそ広まって欲しい。

 最大の欠点はまだAndroid版はできておらず、iOS版しか無いということ。開発工程や、日本国外ではiPhoneがセレブに愛用される傾向を考えると、まだ若いサービスなので仕方ないところではありますが、今後の対応プラットフォームの拡充には期待したいところです。

 かくいう筆者もクラブハウスにハマってしまい、iPhone 12 miniをクラブハウス専用機として使っています。iPhoneばかりでPCユーザーが居ないのもあるのか音声品質は良くないのですが、難しい設定なく、聞き取りやすいよう自動で各ユーザーの音量を均一化できている点は優秀です。今後似たような対抗サービスも出てくるんだろうと予想しています。

 外出自粛で遠隔勤務推進といったコロナ禍における「寂しさ」を紛らわせる需要にマッチした一時的な流行なのか、それとも今後視線注視せず利用できる形態から定着するのか?読めない部分もありますが、注目していきたいところです。

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