Huaweiから発売されたスマートバンド「HUAWEI Band 6」を購入しました。しばらく使用したのでレビューしていきます。
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開封
パッケージはこんな感じ。内箱には引き出すためのタブが付いており、簡素ながらも配慮を感じるものとなっています。
同梱物は充電クレードル付きUSBケーブル、クイックスタートガイド、保証書の3つ。充電器は同梱されていません。
外観チェック
大きく見やすいディスプレイを搭載した本体
本機最大の特徴であるディスプレイは、スマートバンドとしては大型の1.47インチの有機EL。
スマートバンドのディスプレイというと、一般的に以下画像左のHUAWEI Band 4 Proのような細長いものをイメージすると思いますが、本機はそれを横方向に拡大することで見やすさや操作性を強化。Band 4 Proと比較して画面表示領域が約1.5倍に拡大し、画面占有率も64%に高まっています。
本体の幅は約25.4mm。一般的な腕時計の40mm前後という幅と比べても十分に抑えられており、キーボードの打鍵時なども邪魔にならず快適。ディスプレイが見やすくなりながらも、スマートバンドらしい装着感の良さを損なわない絶妙な設計になっていると感じました。ディスプレイのコントラストや明るさ、解像感なども良好。
本体右側面には電源/ホームボタン。クリック感は良好です。
側面素材は、公式サイトによると「耐久性のあるポリマー」とのこと。軽く小突いてみると「しっかり中身が詰まっている」というような感覚を受け、樹脂素材ながらも安っぽさは感じません。一見して梨地の金属素材にも見えるような仕上げで、ディスプレイの2.5D仕様と相まって非常に美しいです。
本体背面には充電用の端子や各種センサー類を搭載。充電にはマグネットを利用していますが、画面に向かって右側からしか充電ケーブルを装着できないことには注意が必要です。
ベルトを除く本体重量は18gと非常に軽量。水泳にも耐える5ATMの防水性能を備えています。
装着感良好、こだわりを感じるベルト
使っていて特に素晴らしいと感じたのがベルトです。Apple Watchが採用するフルオロエラストマーのような高機能素材は用いず、一般的なシリコン製でベルトの留め方なども特殊ではありませんが、細かい部分に装着感を高める工夫がされています。
まず1つ目の工夫は、ベルトの余り部分を留めるベルトループにあります。
ご覧のように内側に突起があり、それがベルト穴に嵌ることで、ベルトループがズレてベルトの余り部分が浮いてしまうということを防止しています。
さらに、ベルトの先端が若干角度をつける形で丸められており、これも余り部分の浮き防止に貢献。
加えて、ベルト穴も約3mm間隔で細かい調整が可能と、特に手首が細くベルトが余りがちな方には嬉しい仕様が満載です。
装着したときのイメージはこんな感じ。ベルト同士がぴったりと沿うような形になっているのがわかります。
実際の装着感も、軽量な本体と相まって着けていることを忘れてしまうほど。常時装着が当たり前になるレベルの快適さなので、充電中などは逆に着けていないことを忘れてしまい、何もない腕を見るということが何回かありました。
またベルトの交換もでき、ECサイトなどでは非純正品ですが交換用のベルトが販売されています。
健康追跡には継続的な着用が重要であり、そのためには快適な装着感が必要不可欠。素材や構造といった点でコストを抑えつつも、細かい工夫により装着感をおろそかにしていないのはしっかり考えられているなと思いました。
使用感
充実した機能
以下、Androidスマートフォンと組み合わせた場合の使用感を紹介していきます。ペアリングは「HUAWEI Health」アプリから。
Androidシステムのペアリングではなく独自のペアリング方法を使用しているのか、本機をSmart Lockの「信頼できるデバイス」として登録することはできませんでした。これは個人的に残念なポイント。
搭載している主要な機能は以下の通りです。
- ワークアウト記録
- 心拍数計測
- 血中酸素レベル計測
- 活動量記録
- 睡眠計測
- ストレスレベル計測
- 月経周期追跡(Androidのみ)
- 呼吸エクササイズ
- 音楽コントロール(Androidのみ)
- 通知の確認
- 天気の確認
- ストップウォッチ
- タイマー
- アラーム
心拍数や血中酸素レベル、睡眠、ストレスレベルなどは24時間のモニタリングに対応。HUAWEI Healthから詳細な記録を確認できるほか、本機上でも幅広なディスプレイを活かして見やすく表示できます。
思いの外良好だったのがレスポンスです。拡張性や性能を犠牲にする代わりに電池持ちや装着感を強化しているスマートバンドの本機。価格も価格ですし、正直全く期待していませんでしたが、ヌルサクとまでは行かずともストレスを感じない程度には良好でした。気になるのは通知画面のスクロールが重い場合があることくらいですね。
ここからは、通知機能やバッテリー持ち、血中酸素レベル計測といった機能の使用感を抜粋してご紹介します。
必要十分な通知機能
通知機能では、通知を受信するアプリを個別に設定することが可能。
音楽プレイヤーのような通知エリアを利用して操作するアプリの通知を有効にすると、操作のたびに通知を受信してしまう場合があるので注意が必要。
実際の通知表示はこんな感じ。中華フォントではなく、アンチエイリアスの効いたなめらかな表示ではあるものの、絵文字は表示できない模様です。
通知に対して返信などはできず、確認のみが可能。使用した限りではほとんどのアプリで問題なく利用できましたが、Gmailのみ本文を表示できませんでした。また、アイコンが反映されないアプリもあります。
通知は10個まで溜めておくことができます。なお、本機は画面左から右へのスワイプに「戻る」操作が割り当てられていますが、個別の通知表示時にその操作をすると通知が削除されてしまうため、残しておきたい場合はホームボタンで一旦ホームに戻る必要があります。
また原因は不明ですが、Twitterで同じ通知が2つ表示される、通知のタイトル部分の文字がいくつか抜けるといったバグを確認。
そうしたバグ以外で利用に際して問題はなく、スマートフォンの補助として十分といったところ。欲を言えば、幅広なディスプレイをさらに活かすために通知の文字サイズを小さくする設定があれば嬉しかったですね。
余談ですが、バイブレーションはApple Watchのようなタクタイルなものではなく、一般的なブルブルと震えるものとなっています。
優秀な電池周り
電池持ちはかなり優秀です。
入浴時以外常時装着、各種健康追跡機能の24時間計測をすべて有効、ワークアウトの自動検出を有効、持ち上げて起動を有効、輝度は最低、1日の平均通知数は50個といった使い方で、丸6日間利用して電池残量は50%。たっぷり12日間は充電無しで乗り切れそうな結果です。
充電も50%から100%まで約30分と速く、思い立ったときにちょっと充電するだけで電池持ちを意識することなく利用可能。
通知鳴動や画面点灯の制限機能もあるので、活用すればさらに長持ちするのではないでしょうか。
自動計測も可能な血中酸素レベル計測
本機はコロナ禍で脚光を浴びる血中酸素レベル(SpO2)の計測が可能。24時間の自動計測や設定値を下回ったときのアラートのほか、手動計測にも対応しており、その場合は約15秒で計測が完了します。
あくまで医療機器として設計されたものではないため、病気などの診断、治療、予防目的での利用は推奨されていませんが、睡眠中や高地での活動時の健康状態の把握には嬉しい機能。
なお、PlayストアのHUAWEI Healthは更新が停止しており自動計測の設定ができないため、利用したい場合はHUAWEI AppGalleryやapk配布サイトなどから最新版をインストールする必要があります。
本機の方が優れている部分もある!上位モデル「HUAWEI WATCH FIT」との違い
本機とかなりフォームファクタが近く、より高価なHuaweiのウェアラブル製品として「HUAWEI WATCH FIT」があります。Amazonにおける本機とWATCH FITとの価格差が約3000円と小さいため、このくらいの差ならWATCH FITを買うという方もいるかもしれません。
しかし、用途によっては本機にはWATCH FITよりも優れている部分があります。ここでは、スペック表から本機とWATCH FITとの違いを分析し、本機がどういった用途に適しているかを考えます。
HUAWEI Band 6 | HUAWEI WATCH FIT | |
---|---|---|
画面 | 1.47型 (368×194) AMOLED, 282PPI | 1.64型 (456×280) AMOLED, 326PPI |
寸法 | 43×25.4×10.99mm, 18g(ベルトを除く) | 46×30×10.7mm, 21g(ベルトを除く) |
電池持ち | 通常使用で14日間、ヘビーユースで10日間 | 通常使用で10日間、ヘビーユースで7日間 |
センサー | 加速度センサー、ジャイロセンサー、光学式心拍センサー | 加速度センサー、ジャイロセンサー、光学式心拍センサー、環境光センサー、装着検知センサー |
GPS | 無し | 有り |
ワークアウトのデモアニメーション | 無し | 有り |
市場想定価格 | 8580円 | 1万5180円 |
Amazonでの実売価格 | 7800円 | 1万891円 |
結論をいうと、本機はワークアウトの記録などよりも健康追跡の用途に適していると考えられます。
本機はWATCH FITよりも約5mm横幅が狭く3g軽量でありながらも、画面サイズ・画素密度ともに小さいためか電池持ちが3~4日長くなっています。ベルトの項で述べたように、健康追跡には継続的な着用、さらにはそのための快適な装着感が重要。その点では本機の方がWATCH FITよりも優れていると言えます。
もちろん、ワークアウトの記録ができないというわけではなく、WATCH FITと同じく96種類のワークアウトモードに対応しています。しかし、GPSを内蔵しておらずランニングなどのルート記録にはスマートフォンが必要な点や、ワークアウトの参考になるデモアニメーションが内蔵されていない点などから、WATCH FITと比べるとワークアウトの記録には適していないことがわかります。
価格が抑えられているということは、すなわちどこかに削られている部分があるということ。そうした避けられないトレードオフを健康追跡特化という形に昇華させているのは流石の一言です。
なお、本機のスペック表には装着検知センサーの記載がありませんが、それとは関係なく装着していないときには各種計測が停止する模様です。
気になる部分
ウォッチフェイスのカスタマイズ、常時点灯について
ウォッチフェイスは記事執筆時点で無料のものが105種類、さらに有料のものが212種類も用意されています。HUAWEI Healthからも本体からも切り替えが可能で、本体には内部ストレージに余裕がある限り保存しておくことが可能。筆者が試したところ27種類保存できました。
ウォッチフェイスの中には表示データのカスタマイズに対応しているものも存在。しかし気になったのが、数が少ないうえに本体にインストールしてみないと対応しているかどうかがわからないという点。筆者が確認した限りでは、無料のもののうち「Bright」「GoldCycle」「LightYellow」「Track」の4つがカスタマイズ可能でした。
また、常時点灯に対応したウォッチフェイスがないのも気になりました。先述したWATCH FITには搭載されているため技術的に不可能ではないはず。優秀な電池持ちのおかげで常時点灯も十分実用的だと考えられるので、アップデートでの追加に期待したいところです。
かなり明るいディスプレイ、その反面……
本機のディスプレイは最低輝度でも十分に明るいもの。しかし、それが仇となって就寝・起床時などは眩しく感じました。画面輝度は5段階で調節できますが、その幅をさらに広げてほしいところです。
また、本機は環境光センサーがないため手動で輝度を調節しなければなりませんが、その設定はアプリ一覧→設定→表示→明るさという少し深い階層にあります。人によっては頻繁に調節する設定でもあると思うので、クイック設定などもっと手の届きやすいところに配置してもいいのではないかと思いました。
ちょっと高めな価格設定
蛇足ながら、少しだけ惜しいと感じたのが価格設定。本機の中国での価格は269元(日本円で約4650円)ですが、日本の市場想定価格は8580円と約1.8倍になっています。
もちろん、日本で販売するための様々なコストを考慮すると価格差が生じてしまうのは仕方がないことだとは思います。しかし、例えば競合するXiaomiのMiスマートバンド5は、中国での価格が189元(日本円で約3270円)であるのに対し、日本での価格は4490円と約1.4倍に抑えています。
本機は今の価格でも十分安いと感じられるほどの魅力や工夫が詰まっていますが、前述したように上位モデルであるHUAWEI WATCH FITとの実売価格差が約3000円と小さいというのも事実(発売時期が違うため単純な比較はできませんが)。差別化がされているとはいえ、もう少し価格を抑えていたら……と思ってしまいます。
総評
良い意味で、とても実売価格7800円の製品とは思えません。
ハード面はコストを抑えながらも良好な装着感と見やすい大画面の両立を実現する素晴らしい設計、ソフト面は多少気になるところがあるもののアップデートで解決しそうなものが多く、高いレベルでまとまっています。特に、幅広な画面サイズは他社も追従しそうだと思ってしまうほどの絶妙さ。
個人的に印象深かったのが、価格を抑えるためのトレードオフを逆手に取ることで健康追跡特化のコンセプトを実現し、上位モデルの単純な劣化版ではなくしている点。最近は色々あってHuawei製品を使いにくい状況ですが、Huaweiの企画力の高さを改めて実感させられました。
健康追跡を重視する多くの方々にとってのベストバイになりうる素晴らしいスマートバンドだと感じました。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。