中国ファーウェイは、8月30日に同社のフラグシップスマートフォンMateシリーズの最新機種となる「HUAWEI Mate 60」と「HUAWEI Mate 60 Pro」を中国国内で発表しました。衛星通信対応などが主な特徴となっています。
また、先行発売されたモデルでは、ファーウェイ傘下のHiSilicon製の新型SoCと思われる「Kirin 9000s」が搭載されているのが確認されました。
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デザイン
Mate 60シリーズは、Mate 40シリーズで採用されたような、円環状のカメラユニットのデザインを採用しており、その中央にはファーウェイ独自のイメージングブランドである「XMAGE」のロゴが印字されています。上部がガラスまたはヴィーガンレザー、下部がフレーム一体の金属であり、ツートンカラーとなっています。カラーバリエーションはブルー、シルバー、パープル、ブラックの4色。
背面上部の材質がブルーとシルバーがナイロン繊維、パープルとブラックはヴィーガンレザーと、色によって異なる仕様です。
衛星通信対応
Mate 60シリーズの大きな特徴として衛星通信対応があります。これにより、山の中や海上など、4Gや5Gなどの通信回線が通じない場所でも、通信衛星と送受信を行うことで発信や着信のできる衛星電話に対応。
さらに、衛星通信を用いたSMS送受信や、複数の位置情報を用いた軌跡の作成も可能とのこと。iPhone 14シリーズなども衛星通信に対応していましたが、受信や電話のできない緊急時のSOS用であったため、大きな差別化要素となっています。
また、独自のLingxi AIアルゴリズムとLingxiアンテナにより、弱い信号でも安定したネットワーク接続ができるとしています。
ディスプレイ
Mate 60は6.69型、Mate 60 Proは6.82型の有機ELディスプレイを搭載。画面解像度は、それぞれ2688 × 1216、2720 × 1260と、1440pと1080pの中間付近の解像度となっています。共通のディスプレイ仕様として、1~120Hzの可変リフレッシュレート(LTPO)対応による省電力駆動、ちらつきを低減する1440Hzの高周波PWM調光駆動、300Hzタッチサンプリングレートがあります。
Mate 60はフラットディスプレイとなっている一方、Mate 60 ProにはP60 Proと同様に、4辺すべてが湾曲しているクアッドカーブディスプレイを採用。
P60 Proのクアッドカーブは、角の部分はフレームが隆起していて湾曲していませんでしたが、Mate 60 Proの場合はなだらかにフレームに向かって均一に湾曲し、丸み帯びたデザインになっています。
耐久性が少し心配ですが、Mate 60とMate 60 Proともに第2世代の崑崙(Kunlun)ガラスを採用し、落下耐性を高めている模様です。
また、インカメラ部分の形状は、Mate 60では単一のパンチホールとなっている一方、Mate 60 Proでは通常のインカメラに加えて3D顔認証のための3Dカメラの照射と受光部があるため、3つのパンチホールとなっています。Mate 40 Proでは楕円形パンチホール、Mate 50 Proではノッチ型であったため、毎世代変化している点が興味深いですね。
カメラ
Mate 60とMate 60 Proの背面カメラはどちらも超広角・メイン・望遠の3眼カメラ構成。メインカメラはどちらもF1.4~F4.0の10段階物理可変絞りと光学手振れ補正(OIS)に対応した5000万画素の24mmメインカメラを搭載しています。シーンや好みに合ったボケ味で撮影することが可能です。
望遠カメラのスペックはMate 60は1200万画素 125mm 5倍光学ズーム 光学手振れ補正(OIS)であるのに対して、Mate 60 Proは4800万画素 90mm 3.5倍光学ズーム 光学手振れ補正(OIS) に加えて、被写体から短い距離でもピントを合わせて撮影が可能な望遠マクロ撮影に対応しています。
望遠マクロ撮影は超広角でのマクロ撮影と違い、ゆがみの少なく、圧縮効果による遠近感が小さい撮影ができることや、鳥や虫など近寄って撮影のしにくい被写体に対しても撮影がしやすい点などがメリットとしてあります。
望遠マクロ撮影への対応はMate 50シリーズにおいては高級モデルのMate 50 RSのみでしたが、今回はProでも使用可能になりました。
そのほか、超広角は1200万画素 13mm、インカメラは超広角の1300万画素で共通となっています。
バッテリー
バッテリーは、Mate 60が4750mAhで最大66Wの有線急速充電に対応、Mate 60 Proが5000mAhで最大88Wの有線急速充電に対応。
加えて、共通して最大50Wのワイヤレスでの急速充電に対応していますが、Mate 60 Proは最大20Wの逆充電(リバースチャージ)に対応。ワイヤレスイヤホンなどの充電が切れてしまった場合でもすぐにスマホから充電できるという、リバースチャージがより実用的な段階になってきました。
SoCの記載はなし 自社製SoC Kirin 9000s搭載か?
スマートフォンのスペックの中で最も重要であるといってもよいSoCの情報ですが、なんと公式スペックに記載がありません。
Antutuベンチマークで知られるAntutuによると、先行発売されたMate 60 Proの実機において、SoCが「Kirin 9000s」であることが確認されたようです。
Kirinはファーウェイ傘下のHiSilicon製のSoCシリーズですが、アメリカの制裁の影響でTSMCなどの国外からの半導体製造企業からの供給が制限されたために、約3年間新たなモデルが発表されることがありませんでした。このため、新型SoCのKirin 9000sの存在が確かであれば、SMICなどの中国半導体大手によって製造されたものである可能性が高いです。
ではなぜSoCを記載しなかったのか、という疑問が残りますが、以下のような理由が考えられます。
- 後日SoCについて発表する場が設けられているため
- モデルや型番によってSoCが異なり他社製SoCも混在しているため
- 政治情勢を考慮して大々的な発表を控えるため
Antutuによると、読み取られたハードウェア情報では12コアのSoCであるとのことですが、公式のスペックとは異なる可能性があるとのこと。
また、5G通信に対応しているかどうかについても表記がなく、不明となっています。今回Mate 60シリーズの発表会がまだ行われていないこともあり、今後のファーウェイからのアナウンスなどの動向に注目です。
Harmony OS 4.0
ファーウェイの中国版の端末には、独自開発のOSであるHarmony OSが搭載されていますが、今回その最新バージョンであるHarmony OS 4.0を搭載。
変更点は新しいテーマの追加、通知センターやコントロールセンター、スマート検索のUIの変更、ライブウィンドウ機能の追加など。
また、システムのアニメーション効果や動作を改善し、スムーズな使用感、速い操作応答、省電力化を実現しています。
価格・発売日
Mate 60とMate 60 Proともに既にメモリ12GB、ストレージ512GBのモデルが先行販売されています。先行販売価格はMate 60が5999元(約12万1000円)、Mate 60 Proが6999元(約14万1000円)。正式な発売日やその他のモデルの価格は不明。
スペック
機種名A | 機種名B | |
---|---|---|
OS | Harmony OS 4.0 | |
SoC | (Kirin 9000s) | |
メモリ | 12GB | |
容量 | 256/512GB、1TB | |
画面 | 6.69型 FHD+ (2688×1216) 有機EL 1-120Hz可変リフレッシュレート(LTPO) 1440Hz PWM調光 300Hzタッチサンプリングレート フラットディスプレイ |
6.82型 FHD+ (2720×1260) 有機EL 1-120Hz可変リフレッシュレート(LTPO) 1440Hz PWM調光 300Hzタッチサンプリングレート クアッドカーブディスプレイ |
カメラ | 広角(24mm):5000万画素 f/1.4-f/4.0(10段階物理可変絞り)OIS 超広角(13mm):1200万画素 f/2.2 望遠(125mm):1200万画素 f/3.4 OIS |
広角(24mm):5000万画素 f/1.4-f/4.0(10段階物理可変絞り)OIS 超広角(13mm):1200万画素 f/2.2 望遠(90mm):4800万画素 f/3.0 OIS 望遠マクロ撮影対応 |
インカメラ | 1300万画素 f2.4 (超広角) 3D深度カメラ (3D顔認証用) |
|
電池 | 4750mAh 急速充電(最大66W) ワイヤレス充電(最大50W) リバースチャージ |
5000mAh 急速充電(最大88W) ワイヤレス充電(最大50W) リバースチャージ(最大20W) |
寸法 | 161.4×76×7.95mm, 209g | 163.65×75×8.1mm, 225g |
3G/4G/5G | 不明 | |
カラー | ブルー、シルバー(ナイロン繊維) パープル、ブラック(ヴィーガンレザー) |
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その他 | IP68 防水防塵 画面内指紋認証 衛星通信対応(送受信) |