フランス当局は9月12日、アップルの「iPhone 12」について、本体から放出される電磁波が基準値を超えているとして、販売停止やソフトウェアアップデートによる対処を求めたと「ロイター」など複数のメディアが報じました。
アップルも本件には素早く反応。iPhone 12は安全基準に準拠した設計となっているという旨のコメントを発表し、両者は真っ向から対立することとなりました。
当然、このままアップルが徹底抗戦するかと思いきや、数日の間に状況は一変。当局の要請にアップルが従い、フランス向けにソフトウェアアップデートを提供することで決着しました。
本件を巡っては、ロイターがドイツなど一部のEU加盟国もフランスと歩調を合わせることを検討中と報じるなど、アップルにとって不利な状況へ向かっていたことも事実。さらにフランス当局の判断次第では、iPhone 12がリコールの対象となる可能性もありました。
もし、アップルが主張を曲げずに戦い続けた場合、同社は複数のEU加盟国を敵に回すだけでなく、本来得られるはずだったiPhone 12の整備済品の売上を失い、リコールの膨大なコストまで負担することになっていたかもしれません。既に通常の製品ラインナップから消滅したiPhone 12のために、そこまで大きなリスクを抱えることは、流石のアップルでも難しかったのでしょう。
なお、今回のケースは世界的に見ても比較的厳しいとされるEUの安全基準を満たせなかったという話であり、アメリカや日本など、非EU圏の安全基準は問題なくクリアしています。iPhone 12の使用が直ちに危険ということではないので、誤解のないよう注意してください。