ソフトバンクは英ARMを3.3兆円で買収することを認めました。主要なスマートフォン・タブレットを始め、組み込み向けのCPUを開発・ライセンス供与を行っているARMが日本企業によって買収されます。
ところでARMってどんな会社?
ARMはイギリス・ケンブリッジに本社を置く会社で、組み込み向けのCPUのアーキテクチャで高いシェアを誇っています。ビジネス体型としては、自社でCPUを製造・販売をしておらず、ライセンス(簡単に言えば設計書と作る権利)を、各チップメーカーに販売することで利益を得ています。
身近な例を挙げると、AppleのiPhoneやiPadに搭載されているチップセットであるAシリーズも、ARMから命令セットのライセンスを買い、独自の改良を加えたものを販売しています。また、Androidでも採用が多いQualcommのSnapdragonシリーズもARMから命令セットのライセンスを買い独自に改良を加えたものを販売しています。
なお、SAMSUNGのExynosシリーズや、HUAWEI(HiSilicon)Kirinシリーズも、ARMからライセンスの供与を受け、チップの製造をしています。
シェア拡大に追い打ちをかけたのはx86アーキテクチャを擁するintelがモバイル向けチップセットのAtomから撤退を表明していることでしょう。事実上モバイル向けCPUはARMアーキテクチャが独占している状態です。
以上のことから、現在のスマートフォンやタブレットに必要不可欠なチップセットの大本となる会社をソフトバンクが買収したことになります。
焦点はIoTか? ビジョンは不明瞭
最近ではウェアラブルデバイスをはじめとしたIoT(Internet of Things)でもARMアーキテクチャは高いシェアを誇っており、スマートウォッチで採用されているCPUはほぼ独占的にARMアーキテクチャが採用されています。
今後、IoTがさらなる盛り上がりを見せることは自明であり、ARMの存在感はより増していくでしょう。
一方、ソフトバンクがARMを買収することでどのようなシナジー効果が見込まれるかは不透明でこの買収がソフトバンクにとって吉と出るか凶と出るかはまだ分かりません。