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4年縛り、独禁法違反で是正求める公取委
携帯キャリアのいわゆる「4年縛り」について、独占禁止法違反のおそれがあると、公正取引委員会が調査報告書を近いうちに公表する予定だと、読売新聞が報じました。
これに一度加入すると他社への乗り換えが困難になるため、不当な囲い込みのおそれありと判断された模様です。
車の残価設定型ローンのような仕組み
いわゆる「4年縛り」は、auでは「アップグレードプログラムEX」、SoftBankでは「半額サポート」という名称で展開、最近これらの販売手法が全面的に推されています。特にiPhoneを購入時に適用を勧められることが多いでしょう。
いずれも機種代が安くなるなどと謳われていますが、その実態は、端末を48ヶ月(4年間)の割賦で購入させられた挙げ句、購入から2年後に端末を「返納」して機種変更すれば旧端末の残債2年分が免除されるという、まるで自動車の「残価設定型自動車ローン」のようなもの。下品な安売りを規制した結果、更に下品なえげつない売り方が出てきたわけです。
なぜダメなのか?
おそらく本音は新規プレイヤー保護による市場環境整備
自動車ならそういったローンが許されているのにスマホではダメなのは、どういう理屈で線引きしているのかは気になりますね。
やはり携帯業界においては、こういったものを認めると、端末販売まで独占し資金力においても圧倒する寡占通信事業者三社が、対抗軸になり得る新規参入者・MVNOを潰しかねないから、といったところが本音でしょう。MNOが3社しかなかった寡占市場による幾多の弊害は今さら言うまでもありません。
そもそも公取委としても通信と端末販売は本来分離されるべきと考えている立場なのもありますね。本来は監督官庁である総務省がそのように早い段階で規制すべきだったでしょうが、怠慢によりずるずるとここまで来てしまった以上、今さら無理やり強制的に分離すれば端末メーカーへの悪影響の方が大きくなる懸念があります。そのため、このようにキャリアが端末販売を握っているという根本的な原因への治療はできず、その原因から発生した症状を逐一抑制する、対症療法に頼らざるを得ないわけですね。
そもそも耐用年数が違う
また、ユーザー視点で考えてみましょう。自動車という耐用年数が6年以上のものを、3年~5年間の分割払いをすれば頻繁に新車に買い換えられるというのは、単純に考えればメリットもあるように見えます。
じゃあスマホはどうでしょう。そもそも耐用年数は2年ですよね。酷使すれば2年持たないことも多いでしょう。OSアップデートの基準も発売から18ヶ月が目安。これを4年の割賦を組まされるわけですから、行政からのツッコミが入るのも致し方ないのかなと。
ずるずると再加入し続けがち
さらに再加入し続けるよう仕向ける「罠」として、機種変更後もプログラム再加入しない場合、残りの割引が無くなってしまうという点があります。ユーザーをさらなる長期間拘束へ追い込んでいます。
この仕組み、いる?
自社で囲い込んで、自社で端末を買わせ続けたい携帯大手キャリアには都合のいいこうした仕組み。
ユーザー視点で考えると、2年後にMNPでお得な案件があるかもしれないのに、縛られるというのはリスキー。縛りのオプション料も必要なので、トータルコストを計算すると大して安くなりません。はっきり言って、買い替えと同時に使わなくなった旧端末を中古白ロムショップで買い取ってもらう方が大抵の場合お得です。iPhoneは中古相場も高い上、Android端末と比べて買取価格もあまり落ちません。中古ショップやフリーマーケットなどを活用する程度の簡単な手間を惜しむことのできる人にとっては、存在自体が不要な仕組みです。
既に4年縛られている人はどうなる?
各種報道で触れられていないのが、既存の「4年縛り」契約者はどうなるのかです。携帯各社の裁量次第なのでしょうが、公取委から独禁法違反のおそれありと判断されれば、当然ながら何らかの救済策を出すはずで、気になりますね。
— すまほん!! (@sm_hn) 2018年6月22日