Appleのスマートフォンで初めて有機ELを採用したiPhone X。このiPhone Xの有機ELは現在、Samsung一社が供給しており、iPhone Xの価格高騰の原因ともなっています。
ところがThe Wall Street Journalが報じたところによれば、BOE Technology Group(京東方科技集団)は、Appleの次期iPhone向けに有機ELディスプレイを提供しようと働きかけているとのこと。
BOEは、中国北京に本社を置くディスプレイメーカー。既にBOEはiPadとMacBook向けに液晶ディスプレイを提供しています。IDC調査によれば、今年に入りBOEは大型液晶スクリーンにおける世界シェア25%を獲得し、シェアトップのメーカーに君臨。モバイル向けのAMOLEDでも世界2位とされているなど、強力なディスプレイメーカーです。
また、BOEをサプライヤーとして選ぶことはAppleが中国政府と良好な関係を維持できることにも繋がるとの味方もあります。BOEの上位の株主は中国国営企業だからです。
iPhoneへの有機EL供給をBOEが持ちかけていることは以前から噂されていた内容であり、今回WSJが報じたことで、その信憑性が高まったと言えるでしょう。
BOEの有機ELは、中国大手メーカーHuaweiのプレミアムファブレットMate 20 Proにも供給されるとの情報もあります。有機ELは液晶以上に技術力が必要です。Mate 20 Proや次期iPhoneに有機ELを供給するとなれば、BOEが大型LCDだけでなく、有機ELにおいても高い技術力があることを世界に誇示することができます。
日本人にとっては、BOEなんて聞いたこともない、知っていたとしてもあくまで液晶で強いメーカー、といったところがせいぜいの印象ですが、実際はBOEは量子ドットディスプレイや様々なタイプのフレキシブル有機ELなど、次の時代を切り拓く新技術への開発にも熱心な大手ディスプレイメーカーです。名前を覚えておいて損はないでしょう。
日韓ディスプレイメーカーにとっては脅威と言えます。特に、既にiPhone Xに有機ELを供給中のSamsung、そして次期iPhoneでの有機EL採用を噂されるLG、この二大韓国メーカーにとって、BOEは強力なライバルとなりそうです。