日本通信株式会社は、本日「b-mobile スタートSIM 音声付」を新発売しました。
初期手数料(またはパッケージ料)は3000円(記事中全て税別)。月額基本料は1380円。データ通信量1.5GB付き。ドコモ回線に対応したマルチカットSIMで、iOSからAndroidまで幅広いデバイスで利用できます。
日本通信公式プレスリリース曰く、MNP対応の音声SIMでありながら最低利用期間も解約金もないことが最大の特長とのこと。
日本通信といえば7年前、MNOのキャッシュバック合戦への「問題提起」を口実として最低利用期間・解除手数料を設けたことで有名です。
日本通信株式会社(以下、「当社」という)は、携帯キャリアの過度なMNPインセンティブに対する公開抗議として、当社が提供する音声付きSIMサービスの全てについて、1年間の最低利用期間を設定しましたので、お知らせいたします。
(中略)
しかしながら、当社は、通信業界の健全な発展に貢献するためにMVNO事業モデルを実現し、この事業モデルによって今後の成長戦略を推進していく企業として、本件のような通信業界の問題についても、適切に問題提起し、解決を訴えてまいります。
そもそも、あの当時のCB合戦の元凶は、各社の契約解除料に他なりません。解除料を始めとする諸々のスイッチングコストを上回る還元によって他社の顧客を強奪するという発想によって加熱していたのですから、解決策として「MNO・MVNOが足並み揃えて解除料を設定する」は誤りであり、「積極的に安価なMNP弾を供給することでMNOに消耗を強いて品性下劣な商売を破壊する」が正しかったでしょう。(もちろん、そのために日本通信が手を煩わせるのも馬鹿げていますから、本当に間違っているのは解除料設定より、『問題提起』などという『口実』の方なのですが)
そう、新規顧客を得るために、餌をやる。得た顧客を、餌をやらずに閉じ込める。閉じ込められた客を奪い返すために、もっといい餌をあげる…。こうした負のスパイラルが、今の携帯業界の異常さを作り上げているのではないでしょうか?
こうした競争を考えると、日本通信が今回やった10500円の解除料金を取るというのは、効果があるとは思えません。単純に、それを上回る特典を付けてしまえ、あるいは、うちも違約金を上げよう、と考えるだけです。
監督官庁の「活躍」もあって、最近は過剰にお得なMNP案件もあまり無いということで、最低利用期間も解約金もないMNP対応SIMを今提供したところで、ただの踏み台にされる需要・損失よりも、気軽に使って試してくれたユーザーがそのまま日本通信のユーザーになる期待値が上回る、というのが日本通信の判断なのでしょう。
日本通信の姿勢の移り変わりが、市場環境の変化を感じさせますね。