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小米CEO・全国人民代表の雷軍、疫病の影響と小米の今後について語る

 新型コロナウイルスの影響が2本でも大きく出始めていますが、中国市場とスマートフォン、主要メーカーへの影響はどうでしょうか。このほど、小米CEOの雷軍が「新京報」による「トップレベルの財界人」への取材に答えました。

 なお、発表会で直接競合他社をディスったり、自分で作ったという鶏卵以外に具を入れないインスタントラーメンを公開したり、お茶目なところのある雷軍ですが、全国人民代表、全国工商聯副主席という、制度が異なるため完全に一致するわけではありませんが、さしずめ日本で言えば国会議員で経団連副会長をやっているような、ゴリゴリ名士の先生という身分も兼ね備えています。ギャップ萌えですね。

 そんな雷軍先生ですので、インタビューは新型コロナウイルス肺炎による経済全体への影響にも答えた上で、小米についても特に触れていますが、経済全体についてはキレやすいベンチャー起業家というよりも、「先生らしい」お答えをなさっています。ギャップ萌えです。

雷軍語る

経済全体への影響

(Mi10発表会冒頭でXiaomiによる武漢への支援を説明する雷軍CEO)

新京報「今回の新型コロナウイルスは、SARSを思い出すのでは?」

雷軍「私も多分みなさんと同じように思っており、これは突然の災難だ。個人的により深く感じているのは、今回の疫病が最初に発生したのは私の故郷の湖北であり、私は武漢にも特別な感情を抱いている」

雷軍「社会各界が協力一致、全国人民が心を一つにすることで、SARSであろうが新型コロナであろうが、最終的に戦勝できると信じています。目下我々は防疫をしっかりやるという前提のもと、自分の職場を守ることが、疫病対策への最大の貢献であると思う」

新京報「(SARSの流行した)2003年、雷軍は金山社(Kingsoft)でオフィスソフトとネットワークセキュリティゲームの開発を担当していました。今、小米創立10年を迎え、この17年を隔てた2回の疫病は、どのような違いがありますか?」

雷軍「17年前は今ほど交通も便利ではなかった。高速鉄道もなかったし、インターネットも今ほど発達しておらず、微博、セルフメディア、モバイル通信ネットワークも出現していなかった。みな、ずっとスマホを見て疫病の情報を見るということもなかった」

「今回の新型コロナウイルス肺炎の感染人数は、もうすぐSARSを追い抜こうとしており、全国各地での対策に関する情報により、みな緊張と焦慮のなかにある。大多数の人にとって、「心理疫病」も無視できない問題になっている。私は以前から、みなさんに生活と未来への楽観を保持し、疫病の影響を受けても疫病に敗けてはいけないと呼びかけている」

新型産業やベンチャー企業への影響

新京報「SARSがECビジネスの勃興を促したとの見方がありますが?」

雷軍「ここ数年、SARSがECビジネスの勃興を促したとの説が唱えられているが、これはみなさん自身で調べることができる。アリババは1999年に成立したが、BtoC業務の淘宝網はSARS発生後に成立しており、京東は2004年にEC業務を展開している。中国ECビジネスの勃興は、中国インターネット関係者の長年にわたる奮闘の結果であり、中国のインフラ整備と改革開放の成果の恩恵を受けており、SARSはこの時間の中での一つの部分に過ぎない」

新京報「今回の疫病は新経済にどのような影響があるでしょうか?」

雷軍「今回の新型コロナウイルス肺炎疫病は、社会に長期の隔離を強いるもので、『非接触経済』に多くの変革をもたらした。最も典型的なのは遠隔勤務だろう。しかし私が思うに、これらの業界が今後うまく発展できるかは、業界規律自身に依拠するものだ。疫病は一回の災難であり、災難によって我々は考え、対応し、毎回の災難による試練を経て、生活を更に愛し、更に真面目になるというものであって、災難事態はどのようなことにも良い影響はもたらさない」

新京報「今回の疫病でどの業界或いは企業の『傷が深い』でしょうか?」

雷軍「今回の疫病で影響が最も大きいのは、民営中小企業だ。よって、私は政府に対して中小企業へのさらなる減税と政策面での支援を提案する。中小企業は社会経済と就業保障のバランサーであり、非常時にはしっかりと保護しなければならない」

新京報「ベンチャー企業は疫病にあたり、主導的なすべきことは?中小企業も課題となっている現金の流動への解決は?」

雷軍「まずは当然、防疫をしっかりとやり、従業員の安全を確保した上で各種業務を展開すること。次に、疫病の影響は一時的なものと信じ、疫病収束後、如何に市場と消費者のニーズを満足冴えることができるか考え、そのために準備すること」

スマホ市場への影響

新京報「疫病の衝撃のなか、2月13日小米はハイエンド市場に衝撃を与えた小米10シリーズを発表しました。疫病によるスマホ市場への影響は?」

雷軍「疫病は業界全体に影響を及ぼしており、最も主要なのは工場の操業再開への影響だ。もちろん、現在全国各地で秩序を保ち生産を回復しており、全力で疫病の影響を補っている。この状況でも、我々は一定の困難に直面しているが、サプライヤーの提携パートナーと意思疎通したところ、みなこの状況で、青信号(新機種)を出すことによって業界マインドを奮い立たせる必要があると見ている。よって、いかなる困難があれど、我々はやはり小米10シリーズを発表し、市場から認められた」

新京報「疫病は5Gへの買い替え需要を遅らせることになるでしょうか?」

雷軍「短期的に見ると疫病は5Gスマホの普及に一定の影響があるだろうが、長期的に見れば、疫病が去ったあと消費者の購買ニーズは開放されるだろう。小米は昨年から良好な在庫水準を保っており、今年は身軽な状態で迎えた。通年で最低でも10機種の5Gスマホを発売する。我々は今年を5Gスマホ買い替えの鍵になる年であると判断している」

 中国市場全体で6,000万台の在庫が発生しているものとも見られ、OPPOやvivoは在庫整理のための投げ売りを強いられている中、在庫を抱えず身軽な状態で非常時に突入した小米は「持って」ますね。

 一方で、このタイミングで率先して新機種リリースを強行したのは、単純な経営的な判断に加えて、「全国人民代表、全国工商聯副主席」として公益性を意識したのかとも感じます。

小米の今後

新京報「今年は小米十周年になるが、次の十年に向けての計画と期待は?」

雷軍「もし過去十年をモバイルネットワークの十年と言うならば、今後十年は万物のスマートネットワークの十年になる。我々は既に、人工知能とIoTの巨大な発展を目の当たりにしており、両者の結合がとてつもなく大きなチャンスとなる。昨年、我々は“スマホ+AIoT”の双発戦略を始動させたが、これこそ未来に向かって、小米がAIoT領域での王者になると宣言したものだ」

新京報「昨年小米はダブルブランド戦略を開始、小米とRedmiのブランド位置づけは鮮明になっていますが今回の5Gハイエンドスマホ発表は、小米ブランドによるハイエンド市場への突撃ラッパなのでしょうか?」

雷軍「Redmiは過去の小米と紅米の使命を引き継ぎ、小米ブランドは新たな創業を迎えている。最近我々は5Gハイエンドスマホ小米10と小米10 Proは、小米ブランドの新たな出発点となる。これまでの小米と比べて、小米10シリーズは価格の束縛から開放され、科学技術とユーザー体験により全力でハイエンド旗艦を作り上げる。市場の反応からみると、小米10シリーズは消費者から認められており、今後我々は地に足をつけて小米の価値観を守り、人々を感動させるいい製品を作る」

新京報「次の十年、AIoTはスマホ以上に小米の競争力を支える中核となるでしょうか?」

雷軍「AIoTの時代はまさにやってきており、業界のなかでも小米は最も早くから展開しており、エコシステムもいちばん整備されている。小米は世界最大のコンシューマー向けIoTプラットフォームを構築しており、各種スマート製品でも世界一位だ。スマートライフのユーザー体験面でも、小米は最もよくやっている」

「ただし、我々はスタートダッシュでは先頭に躍り出たかもしれないが、このあとの道程は長く、気を緩めることはできない。商業競争はとても長いマラソンであり、小米の『強み』の中核は、人に一歩先んじていることではなく、我々の使命、志と価値観だ」

総評

 以上、全国人民代表にして小米のCEOである雷軍先生へのインタビューでした。

 全体として、疫病の影響は短期的なものであり、5G以降の勝負年、という認識は変わらず、今は疫病収束後への弾を仕込むべき時期、という見立て。

 小米10シリーズは「小米ブランドの再定義」という位置づけであり、今後廉価ブランドはRedmiが引き継ぎ、小米10シリーズは「ハイエンド旗艦」を目指すことに(それにしては低価格過ぎると思いますが)。

 今後十年のAIoT戦争に自信をみなぎらせています。

情報元新京报
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