環球時報英字版「Global Times」は、中国政府関係筋を情報源として、米国の対Huawei制裁への報復のため、中国政府が米国企業を「信頼できないEntity List」に追加し、米国企業に制限を掛ける準備ができていると報じました。
それによると中国政府はQualcomm、Cisco、Appleなどの米国企業をリスト追加して制限を課したり、たとえばボーイングの飛行機の購入を停止することができるといいます。いずれも中国市場への依存度が大きい企業です。
環球時報は中国政府系メディアであり、特に国際論評に関しては中国共産党の統制下にあることから、政治的意図を持った国外向けの観測気球、米国への圧力であると考えるべきでしょう。
該当記事は特に台湾TSMC(台積電)の名前を挙げ、これら半導体メーカーのHuaweiへの製品供給を禁止し続ければ、中国政府は前述のような措置を講じるのだといいます。
米国は対Huawei制裁を1年延長・強化。Huaweiが米国外で米国技術によって製造した半導体は、ライセンスがない場合には供給できなくなります。
Huawei端末に搭載するチップ、独自のKirinプロセッサなどは、Huawei子会社のHiSiliconが設計していますが、実際の製造はTSMCが担当していることから、米国の制裁強化により、HuaweiはKirinの供給も途絶えるものと見られています。
唯一の例外が、廉価機種向けのKirin 710Aです。EMSOneが報じたところでは、Kirin 710Aは中国上海のSMIC(中芯国際)に製造を委託しているとのこと。Honor Play 4TはTSMC製12nm FinFET製造プロセスのKirin 710 / 710F搭載モデルと、より性能の劣るSMIC製14nm FinFET製造プロセスのKirin 710Aを搭載した特別モデルが存在します。
今年1月には回復の兆しを見せていた米中関係ですが、新型コロナウイルスの中国政府の情報公開の遅れにより世界的パンデミックに至ったことで関係が急激に悪化、米政府は米中通商協定再交渉を行わない姿勢も見せています。
仮に中国政府が対抗措置を発動した場合、内容によっては、XiaomiやOPPOなど米国製部品を使用している中国メーカーも影響を受けかねないだけに、続報を注視したいところです。