アニソンを聴くならこれ!! 美麗なヴォーカルによだれを垂らせるイヤホンSIMGOT EM2レビュー すまほん!!

 今回、レビューの依頼を受ける時にSIMGOTというイヤホン・ヘッドホンのメーカーを初めて知った。本社を中国に置くいわゆる中華イヤホンメーカーにカテゴライズされるのだろうか? ただ、中華イヤホンメーカーとしては珍しく3万円を超える高価格帯の製品も販売している。

 日本のAmazonにて同社のレビューを見てみると、評価はおおむね4~5の高い評価を得ている。他にもイヤホンを専門にレビューするサイトの評判も高かった。私が同社の歴史を知らないだけなのか、どのようなメーカーなのかどんどんと興味が湧いてくる。次第にレビュー用に送られてくるSIMGOT EM2(以下、EM2)がどのような音を奏でるのか、ワクワクが止まらなくなってしまった。

 程なくしてEM2が届いた。1万円以上のイヤホンにはひとつの世界がある。このイヤホンはどのような世界を見せて、否聴かせてくれるのか手持ちの音源を片っ端から聴いていき、ひとつの結論を得た。タイトルでネタバレをしてしまっているのだが、このイヤホンはアニソンと抜群に相性が良い。アニソンの為に生まれてきたと言っても過言では無いイヤホンだ。

一風変わったフォルムの秘密

 踏み込んだ音質の話をする前に少しだけEM2の概要について紹介したい。カラーはクリア・クリアブラック・パープル・グリーン・ピンクの計5色が用意されている。筆者は落ち着いた色合いを期待してクリアブラックを選んだ。実際に手に取ってみると想像していた通りの色合いで、全体的な色の調和も取れている。

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 ただ、後述するポイントなのだが、ダイナミック型とバランスドアーマチュア型(以下、BA型)をひとつずつ搭載しているため、三角形のような少し変わった形をしている。

 この特殊な形状は場合によっては耳の形を選ぶかもしれないので注意をしたい。ただ、一般的なカナル型イヤホンが装着できるのであれば問題無いと思われる。筆者の場合は装着感も良く長時間の利用も問題無かった。むしろ、そのまま寝てしまうことがしばしばあった。また、知人の小柄な女性に30分ほど視聴もかねて試着してもらったが、装着感に違和感は無く耳の疲れや痛みが出ることは無いとのことだった。

 付属のケーブルは耳の後ろにケーブルを沿わせる、いわゆるShure掛けを前提としたケーブルとなっている。なお、リケーブルも可能だが、標準的なMMCX型の端子では無く特殊な2pinのケーブルとなっている。個人的には汎用性の高いMMCXのケーブルを採用して欲しかったがこれは、多くを望みすぎなのだろう。ケーブル自体は硬すぎず、柔らかすぎず、使い勝手の良いケーブルとなっている。ケーブル音質について特別思うところもないのでリケーブルが必要になるのはケーブルが断線した時だ。その時は、メーカーのサイトを見るなどして対応するケーブルを買う必要があるだろう。

 付属品はレザー製と音質の傾向が変わるイヤーチップが2種類ついていた。もちろん、イヤホンにイヤーチップがついていない状態で届くため、最初にユーザーが自分の聴きたいと思う音質傾向のイヤーチップを選択する必要がある。これは面白い試みだと感じた。なぜなら最初から自分の好きな音質傾向を変え、最初から自分好みにカスタマイズしたの状態になるのだ。もう少し簡単に言うならば「ひとつで二度おいしい」が最初からついてくるということである。

美麗ボーカルを実現するハイブリッドユニット

 本製品はダイナミック型ユニットとBA型ユニットを1つずつ搭載したハイブリッド型のイヤホンである。一般にダイナミック型ユニットは低音域、BA型ユニットは高音域が得意とされており、2つを組み合わせることによってそれぞれのメリットを享受することができると考えられている。しかし、筆者がこのイヤホンを「アニソンの為に生まれてきた」と言ったのは、美麗で解像感の高い中音域にある。

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 中音域の驚くべき解像感の高さには目を見張るものがある。ヴォーカルの鮮明な息遣い、ブレス、明瞭であるのにサ行の音が耳に刺さらない。とにかく、女性ヴォーカルの声が透き通っているのだ。

 筆者が好きなアーティスト霜月はるかさんのアルバム『星空アンサンブル』に収録されている『カザハネ』を例にしてみる。序盤は霜月はるかさんの透き通ったヴォーカルで曲が進んでいく、32秒頃からベースをはじめとした強めの低音が曲に織り込まれていくが、決してヴォーカルの声が低音に埋もれることはない。他にもアニソン歌手としては藍井エイルさんや水樹奈々さん、坂本真綾さん。ゲームソングの歌手としてはriyaさんDucaさんなども相性が良いと感じた。聴いていて、もう、美麗、最高!と言いたくなる。

 一方で若干ハスキーな声色持つ椎名林檎さんはこのイヤホンと相性が悪いと感じた。アルバム『無罪モラトリアム』に収録されている『茜さす 帰路照らされど・・・』では、椎名林檎さんの和音の重なりによって奏でられる厚みのあるヴォーカルが、低音楽器に埋もれてしまい、やや残念な印象を受けてしまう。アニメソングの歌手で言うとLiSAさんの音域が低音域に埋もれるか埋もれないかの瀬戸際だと感じる。また、angelaさんはひとつの曲で使われる音域が広すぎるため、綺麗なヴォーカルと低音に埋もれたヴォーカルが混在するなんとも悩ましい状態になってしまっていた。

 全体的な音質はいわゆるドンシャリ+豊かな中音域という感じだ。簡単なグラフにして表すとこのような形になる。このドンシャリ感もアニソンを聴くときの楽しさを広げてくれる。

 つまり、このへこんでいる箇所のヴォーカルの音声が来てしまうと、解像度が低く繊細さが損なわれた残念な印象を受けることになる。高音域に大きな不満は無いが、低音域は少し解像感の低いモコモコとした音になる傾向があるため、男性ヴォーカルの楽曲をメインに聴く方には本製品はおすすめできない。

 なお、インピーダンスが10Ωと比較的低い。そのため、スマートフォンやタブレットなどの強いアンプが使えない環境でも大きな音を取ることができる。また、インピーダンスが低いということはイコライザのカスタムがよりはっきりと音に現れる。イコライザを細かく調整し、自分に合った音を作るのも楽しいかもしれない。

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透き通った女性ヴォーカルにうっとりしたい人に

 共和政ローマの将軍カエサルの「来た、見た、勝った」という言葉がある。音域が高めの女性ヴォーカルが好きなら「(すまほん!!に)来た、(レビューを)見た、(Amazonですぐさま)買った」それぐらいの判断で購入しても良い製品だと思う。

 普段ETYMOTIC RESEARCHのER4SRを利用して音楽を聴いているが、ER4SRに無い魅力がEM2にはあると言っても良い。また、マニアックな用途になるかもしれないが、女性の艶やかな声を楽しめるEM2は最近注目を集めている同人音声作品の視聴にも向いていると感じた。上でも触れているが、イヤホンをつけながら寝てしまったときは耳かきの音声をEM2で聴いていたのだ(※「音声作品って何?」という方のために補足すると、同人で作られているドラマCDのようなものです)。

 現在、Amazonでの価格は1万2800円となかなかポンと出せる金額ではないと感じるかもしれない。だが、筆者は断言する。アニソンが好きなら買うべきであると。

SIMGOT EM2 イヤモニ型 イヤホン Hi-Res IEM ハイブリッドイヤホン