Googleが一部の国で提供している、Android端末の加速度センサーを利用した地震警報システムが、実際に動作したことがわかりました。
地震の概要
フィリピンの首都・マニラ近郊では、2021年7月23日にマグニチュード6.7の地震が発生。ロイター通信の報告では、「揺れは1分程度続いた」と報告しており、津波の発生や甚大な被害はなかったものの、比較的規模の大きい地震だったようです。
Twitter・Redditの反応
この地震に関して、地震直後のTwitterや、海外の掲示板Redditのスレッドには、スマートフォンで地震警報システムが作動したとの報告が多数見られ、Androidの地震警報システムが正常に作動したことがわかっています。ほとんどの投稿が、地震発生の数秒前に地震警報システムが作動したと報告し、Androidの地震警報システムを称賛しています。
Androidに拍手を!ほとんどの人が地震発生の数秒前に警報を受信した!
Another earthquake tweet here:
Im super amazed with how on point the phone emergency notif on Android earthquake alert system is.
Literally heard the notif. Read it and 10 seconds later i feel it #EarthquakePH pic.twitter.com/v2ZhbaekmZ
— 🍣Ian m.🍱 (@ianmeji_) July 23, 2021
Androidの地震警報システムがいかに正確であるかにとても驚いています。通知を受信した10秒後に地震を感じました。
Androidの地震警報システムとは
フィリピン・マニラ近郊に住む多くのAndroidユーザーが受信したのは、Googleが開発を進めているAndroid向けの地震警報システムによる緊急地震速報です。
発展途上国の多くでは、財政的な面や国土の広さから、日本のように至る所に地震計を整備できない国も多く、地震予測システムの環境が整っていませんでした。そこで、Googleはスマートフォンに搭載されている加速度センサーに着目。近年、スマートフォンの加速度センサーは高性能化が進んでおり、地震の微弱な揺れも観測できるため、多くのユーザーの加速度計の情報を瞬時に分析し、地震を予測するシステムの開発を進めていました。地震警報システムに関する詳しい情報はこちらの記事をご覧ください。
全世界に展開前に大活躍
このシステムは、すでに一部の国で利用可能で、フィリピンもその国に含まれていました。ウェブマーケティングコンサル事業を手がけるアウンコンサルティング社の調べでは、フィリピンはスマートフォンOSシェアの80%以上をAndroidが占めており、その点から見ても多くのユーザーがこのシステムによる緊急地震速報を受信、地震に備えることができたようです。
Googleは、この地震警報システムを今後他の地域にも展開し、全世界で利用可能になると見られており、同社の目標である「世界最大の地震検知ネットワーク」の構築に向け、着実に準備を進めています。
まとめ
筆者は、この警報システムの存在を初めて知った時、「スマートフォンの簡易的な加速度センサーで、果たして本当に地震の予測ができるのか」と、システムの信頼性に疑問を持ちました。しかし、TwitterやRedditの投稿にあるように、今回の地震によって、警報システムの性能は素晴らしく、信憑性のあるものであることがわかりました。もちろん、日本の緊急地震速報のシステムのように、正確な震源地や震度、マグニチュードを推定することはできないとはいえ、機器や設備を整備しなくても地震警報システムを構築できることには、正直驚きが隠せません。
地震の発生がごく稀な地域では、急な地震の発生にパニックに陥り、より被害が深刻になることも。そんな時に、地震警報システムがあれば、たとえ数秒であったとしても、その数秒で命が助かることもありますから、日本や東南アジアなど、地震の多い地域ではもちろんですが、地震があまり起こらない地域でもこういったシステムは必須であると考えます。
このシステムが実際に稼働し、役に立ったということは、Googleにとっても大きな実績になったのではないでしょうか。