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自動車メーカー吉利の「Meizu買収」は確実?狙いはFlymeか

 今年、中国のスマホメーカー魅族(Meizu)が、自動車メーカー吉利汽車に買収される、あるいは既にされたと巷でささやかれています。

 「ただの噂話」とも言えないところがあり、というのも「吉利、Meizu買収」のニュースに対する当事者の反応は、Meizuは「Meizuへのお気遣いに感謝します」、吉利汽車傘下の星紀時代は「現時点でのコメントは差し控える」「確かな情報があれば直ちに確認する。ハイエンドスマホ開発業務を進めているところ」と、ともに否定しない立場をとっており、関係者によれば買収はすでに鉄板だとも。

 そんなわけで、多くの中国メディアでは「Meizu買収」はすでに既成事実、あるいは既定路線として取り扱われていますが、この次に出てくる疑問は「買ってどうするの?」というところ。中国「電商報」の記事をもとにお伝えします。

かつては「アップル」と張り合ったのも今は夢

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 一連の買収ニュースについては、ネット上で「久々にMeizuのニュースを見た」との声が多く上がりました。

 「中国のアップルではなく、世界のMeizuを目指す」と、一時は言われていました。

 Meizuは「小さく美しい」というイメージを武器とし、スマホ製品MX3は黄章親社長が自ら木の板を磨き上げて厚さ、幅、背面のカーブをデザインし、デザイナーに作らせたもので、このような他にはないスタイルは、多くの熱狂的ファンを獲得。

 AndroidベースOSのFlymeも評判がよく、Meizu全盛期の市場シェアは20%にも上りました。ところが近年、スマホ市場の競争の中でMeizuは次第に追いやられ、華やかな時代も過去のものへ。

 中国スマホメーカーは激しい競争を続け、今年2月から3月だけでもシャオミは7機種を新たに発表しましたが、一方のMeizuは今年新モデルを1つも出していません。

 今年第1四半期、中国大陸のスマホ出荷台数は7560台、そのうち上位5大ブランドである栄耀、OPPO、アップル、vivo、シャオミの市場占有率は87%になりました。シェア率の表にMeizuの名は見当たらず、かつてアップルと肩を並べようとしていたMeizuは「その他」に追いやられています。BCIのデータによると、2020年12月28日から2021年1月31日までのMeizuの市場シェアはわずかに0.1%を残すばかり。

 Meizuはかつてシャオミの誘いを蹴ったといわれていますが、最終的に吉利汽車へ身を委ねることになったといいます。

ボルボにダイムラー「爆買い自動車狂人」の目に留まったMeizu

 吉利汽車董事長・李書福は、「自動車狂人」の異名をとるとともに、「爆買い」ぶりにも定評があります。

 2010年にボルボを買収したときは、「農村の兄ちゃんが外国のお姫様を嫁にとった」とも言われ、この買収劇によって吉利集団の価値は数倍にもなりました。

 マレーシアのプロトン、英国ロータス・カーズ、米国テラフージア、ベンツの母体・ダイムラーなど、いずれも買収、あるいは大量の株式を保有しています。

 今回買収がささやかれている主体の星紀時代は、2021年9月に設立、吉利董事長・李書福個人の投資会社で、事業目的はモバイル端末製造販売、集積回路チップ製造販売、5G通信技術等。

 吉利がスマホ業界に参入するためには適当なパートナーが必要であり、例えば士気が低迷しているMeizuというわけ。

 Strategy Analytics高級アナリストの呉怡雯によると、吉利とMeizuの取引は、戦略上ウインウイン、「Meizuの業界での蓄積は、吉利のスマホ市場での展開を加速させることができるし、吉利はMeizuの規模拡大とハイエンド戦略の堅持に必要なリソースを提供できる」とのこと。

狙いはMeizuのUI・ソフトウェア開発能力?

 業界関係者の分析によれば、老舗中国スマホブランドの名前のほかにも、MeizuのFlymeが吉利から高い評価を受けているようです。

 「車機一体化(中国の電気自動車メーカーは、自動車というハードウェアと、カーナビシステムのインターフェイス、ソフトウェアを一体のガジェットとして考えているようです)」が今後の発展方向。吉利は自動車の大画面カーナビを作ることはできますが、さらに捗る双方向性、適当なアプリがあってこそ、カーナビ、中国語でいう「車機」の価値を最大限に発揮できます。

 一方のMeizu・Flymeは長年の経験があり、UI設計と双方向性についても、高い評価を得ています。昨年3月30日、MeizuはWeiboにてFlyme for car車載OSはすでに始動していると発表していました。

 とはいえ、HUAWEI、シャオミも自動車製造に参入しており、今後の自動車は「モバイルスマート端末とデジタル空間」となり、スマホやタブレットPCと同様に、ユビキタスネットワーク端末になるというのが業界の共通認識だそうです。

 吉利のMeizu買収は小さな一歩を踏み出すにすぎず、道はまだ長いと結んでいます。

総評

 交換ささやかれている「吉利によるMeizu買収」ですが、どうやら当事者双方が否定しないこともあって、中国の業界内では動かないものとみられている模様。

 スマホで培ったUIなどの技術が欲しい吉利、資金などのリソースが欲しいMeizuと、相互補完性のある縁談のようです。

 ただし、HUAWEIやシャオミも電気自動車へ参入している中、Meizuと吉利が合従したところで勝てるほど、今後の電気自動車市場は甘くないという見立ても。

 これは中国企業の話として、こんなレベルで「電気自動車は、自動車というハードとカーナビで操作できるソフトウェア、UIが一体になったガジェット」という戦いをしている中、トヨタ、ホンダ、日産がこれまでガソリン車を作っていたハード一本やりで突撃して勝負になるのかと、なんだか恐ろしくなります。

情報元電商報
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