Intelは、「第13世代Coreプロセッサーファミリー」を発表し、同時にデスクトップPC向けのCPUを複数発表しました。今回発表されたのはシリーズ内でも高性能なモデルで、世界最高のゲーミング体験をアピールします。
概要
コードネーム「Raptor Lake-S」改めデスクトップ向け第13世代Coreシリーズは、基本的には現行の第12世代Core「Alder Lake」の改良版。Alder Lakeは性能の異なるCPUを混載し、処理性能と低消費電力を両立した初めてのメジャーなCPUファミリーで。大まかな構造自体は第13世代Coreシリーズでも変わらないものの、様々なポイントで性能に磨きがかかっています。
今回発表されたのは、デスクトップ向けCPUファミリーのうち最も高性能かつオーバークロックも行えるKシリーズで、主にゲーミングPCなどに搭載されるCPUとなります。12世代Coreでは高性能なモデルから一般向けやモバイル向けなどが遅れて発表されていたため、今回もこれに追随するものと思われます。
刷新ポイント
おおざっぱに12世代CoreのAlder Lakeから13世代CoreのRaptor Lakeで刷新された箇所を上げると、製造プロセスが10nmの「Intel 7」から、Intel幹部が「社内ではIntel 7 UltraやIntel 6と呼んでいる」とする「Intel 7(改良版)」へ変更された点が最大のポイント。
次に、高負荷な処理を担うPコアは世代が「Golden Cove」から「Raptor Cove」になり、最大クロック周波数が5.2GHzから5.4GHzまで上昇、独自技術により最大5.8GHzまでのターボも可能。またL2キャッシュの容量が大幅に増えた点などにより、性能の上昇をアピール。
一方でバックグラウンド処理などを実行するEコアでは、世代の進歩こそないものの最大クロックが4.3GHzにまで上昇し、最大8コアだったコア数は最大16コアと倍増。またCore i5以上のプロセッサー全体でEコア数を増加させるとしており、上位機種に限らず、多くのモデルで恩恵が受けられます。
結果として、シングルスレッド性能が最上位モデル同士の比較で15%、マルチスレッド性能が41%向上したと主張しています。
モデル
今回はCore i5・i7・i9からそれぞれ2モデルの合わせて6製品が発表。いずれもゲーマーやプロフェッショナル向けの非常に高い性能を持つモデルです。
最上位モデルのCore i9-13900Kは、Pコアが8コアとEコアが16コアの合わせて24コア32スレッドで構成されるモデル。Pコアの5.8GHzというクロック周波数は、競合であるRyzenの最上位モデル、「Ryzen 9 7950X」の5.7GHzを上回ります。
ちなみに、Intelは来年ごろから、最大6GHzに達する最上位モデルを限定販売する予定。 Intelは上位モデルのCPUの中から、消費電力に優れたものを選別した、いわゆる「当たり石」の個体に対し最大クロックを増加させたものを「Special Edition」という製品を第9世代および第12世代Coreで販売していましたが、それに類するものとなりそうです。
また、内蔵グラフィックが搭載されないことを示す、型番にFが付いた「Core i9-13900KF」も用意されます。一般的に、このレベルのCPUを選ぶユーザーのほとんどが内蔵グラフィックではまかないきれない性能を要求するため、当モデルを選ぶ意義も十分にあります。
以降、中間のCore i7 13700K/KFは8P8Eコアの24スレッド、Core i5-13600K/KFは6P8Eの20スレッド。
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Core i9-13900K/ |
Core i7-13700K/ |
Core i5-13600K/ |
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最大ターボ周波数 [GHz] |
5.8GHz |
5.4GHz |
5.1GHz |
コア数(Pコア + Eコア) / スレッド数 |
24(8P+16E)コア |
16(8P+8E)コア |
14(6P+8E)コア |
Pコア最大ターボ周波数 [GHz] |
5.4GHz |
5.3GHz |
5.1GHz |
Eコア最大ターボ周波数 [GHz] |
4.3GHz |
4.2GHz |
3.9GHz |
Pコア ベース周波数 [GHz] |
3.0GHz |
3.4GHz |
3.5GHz |
Eコア ベース周波数 [GHz] |
2.2GHz |
2.5GHz |
2.6GHz |
価格・販売日
価格は最も安価なCore i5-12600KFは294ドル(4万2500円)、最上位のCore i9-13900Kは589ドル(8万5000円)。
ライバルのRyzen 7000シリーズも先日発表されていますが、最も安い6コア12スレッドのRyzen 5 7600Xでも国内価格は4万9900円で、最上位のRyzen 9 7950Xは16コア32スレッドで11万7800円。実際の性能やコスパの比較は両者の流通を待つ必要がありそうです。
今回発表されたCPUや対応するマザーボード、また同CPUを搭載した完成品のPCは、10月20日から販売開始予定。
今回はゲーミングPC向けの製品のみとなりましたが、いずれオーバークロックが行えない無印版および消費電力を抑えたTシリーズ、ノートPC向けでゲームやクリエイター向けなHX・Hシリーズや、処理性能と省電力を両立するPシリーズ、超薄型ノート向けのUシリーズがラインナップに加わる見込みです。