約1ヶ月ほどPixel Watchをガッツリ使用しました。Apple WatchやGalaxy Watch5 Proなどと比較しつつ、本当にオススメなのか。レビューしていきます。
ファーストインプレッションについてはこちらをご覧ください。
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前置き:円と四角のスマートウォッチ
腕時計といえば円形、というくらい腕時計では「円」が当たり前かと思います。しかしApple Watchは四角が採用されています。
四角が採用されるのには理由があります。四角にすると文章が読みやすいという時計とは異なるウェアラブルデバイスならではのメリットがあります。通常の時計であれば時刻だけわかれば問題ありませんが、ウェアラブルデバイスとなれば通常の時計ではありえない文字量を見ることになり、円形では表示領域が大きく削がれてしまいます。四角ならば多くのデバイスとも整合性が取れて非常に視認性が高くなります。
では「円」のウェアラブルデバイスがなかったのか?というとそうでもありません。視認性よりも見た目を取る人が一定数存在するのは明らかです。2014年にAndroid Waerが発表された際にリリースされたLG G Watch(四角)、Samsung Gear Live(四角)、そしてMotorola Moto360(円形)の3機種では圧倒的にMoto360人気が高かったのを覚えています。
以降も円形のデバイスは絶えず発売され、その中でもSamsungのGalaxy Watchシリーズは円形のデバイスにおいて視認性を補うための回転ベゼルが印象的です。ベゼルを回転させることで画面を遮ることなく、スクロールでき回転する速度によってスクロール速度も変えれる、という優れもの。最新モデルでは物理的に回転するベゼルではなく、ディスプレイのふちをなぞることで実装されていますが、これは非常に優れていると思います。
余談が長くなりました。何が良いたいかというとただ円形のデバイスではダメ、なにかしら工夫を施した円形のデバイスでなければただ使いにくいだけのデバイスである、ということ。最も遅く参入してきたGoogleが、Wear OS by Googleを提供するGoogleが、ウェアラブルデバイスに参入するのであれば「ウェアラブルデバイスとはこうだ」と新たに定義してくれることを微かに期待していました。
外観は満点。
外観をチェックしていきます。外観は他社製品とくらべても非常に良くできています。正面は曲面ガラスでつなぎ目やセンサー類が露出することなく、デバイスということを忘れ去ります。
ケースはステンレスで安っぽさも感じません。ボタンは最小限で竜頭とサイドボタンがあるのみと非常にシンプルです。時計としてみれば満点ではないでしょうか。
ただオタク的に言わせてもらえばディスプレイ点灯時のベゼルの太さが非常に気になるところです。昨今の極細ベゼルになれた贅沢な人間としては令和4年のデバイスとしては太くない……?と思ってしまいました。
ソフトウェアは最悪
もう何から文句を言えばいいのかわかりませんが、一つひとつ紹介していきます。
Wear OSの出来が酷い
Wear OSはAndroid Wearがリリースされた2014年から数えるともう8年。Apple Watchは発表は同じ2014年ですが発売は2015年とWear OSのほうが古いです。しかしApple WatchでできることはWear OSでは出来ない、ということが多々ありました。
例えばOSアップデート。OSアップデートはスマホからするものかと思っていましたがPixel Watch側から操作する必要があるようです。まあこれはまだマシです。なにせ頻繁にするものではないですからね。
一番ビックリしたのはアプリのアップデート。これもスマホ側からではなく、Pixel Watch側からPlayストアを開いて、一番下までスクロールしてアプリの管理を選んでアップデートをしなければならないということ。これは自動更新をオンにすることで免除できますが、スマホ側のアプリのアップデートをしてもWatch側のアプリは別途アップデートしなければならない、という不便さ。これは初日にGoogle Payアプリを利用しようとしたところ、アプリのアップデートを促されるのですが、スマホに入っているGoogle Payアプリは最新なのになぜ?と思っていたところ、この落とし穴に引っかかりました。Watch側のアプリは自動更新にしておきましょう。
パスコードが自動解錠に対応していないことにもびっくりしました。Google Payを設定する上でパスコードの登録が必須です。Apple WatchではWatchがロックされていても腕につけている状態でiPhoneのロックを解除すると自動で解錠される仕組みがあります。もちろんこの設定をオフにすることもできます。しかしPixel Watchはそもそもそういう仕組みがありません。つまり腕につけた後、Pixel Watchのロックを解除しない限り腕に通知は来ないのです。なんか通知がこないな、とおもったらだいたいロックされてることが多々ありました。
通知はアプリごとしか選べないです。Apple Watchではメールやカレンダーなど純正アプリに限り、アカウントごとの通知を制限できましたがPixel Watchでは純正関係なく、全てのアプリで通知を活かすか活かさないかの2択です。このアカウントは要らないんだけどな、といった細かい設定ができません。
Googleアプリの出来が酷い
Googleカレンダーを見れるかと思えばあるのは直近の予定リストのみ。せめて一月分のカレンダーくらい見せてほしいところです。
Googleと言えばGmail。メールのプレビューくらいできれば非常に便利なものですが、メールアプリすらありません。
Google Homeはスマホ版と同様にコントロールができ非常に便利です。が、読み込みまでに時間がかかってしまい、これなら口でコマンドを唱えたほうが早いです。
FitbitとGoogle Fitの競合
GoogleがFitbitを買収したことにより、Pixel WatchにもFitbitの技術がふんだんに……!とおもいきや、それどころかGoogle Fitもデフォルトでインストールされていることにより、どっちがFitbitでどっちがGoogle Fitのアプリなのか、一瞬判断に迷います。Fitbitに一本化するか、Google Fitに一本化するか、社内で判断がぶれているのではないかと思います。
先日紹介したGalaxy Watch5 Proのようなアクティビティを自動で検出して通知し、ユーザーが気づいていないと判断したら自動で記録を始め、アクティビティを終えたと判断したら自動で記録を終了する、という賢い機能が備わっています。
Fitbitでは運動終了後に自動認識して記録する機能があります。そもそも記録していることを意識させない、というのは更に賢いのかもしれません。が、記録出来ているデータが非常に低レベル。Galaxy Watch5 Proで使用できるS Healthと比較すると一目瞭然。
そしてPixel WatchではFitbitの機能をフルで使えないというお粗末さ。まあこの辺は今後のアップデートに期待したいところですが、Fitbit Premiumは購入後6ヶ月間しか使えないので、ほとんどの人は打ち切りにしてしまう気がします。
Google Payの煩わしさ
ファーストインプレッションの後、様々な反響を頂き検証した結果、様々なパターンがあることがわかりました。
またGoogle Payでコンタクトレス決済(NFC決済)を利用する場合はほとんどのカードは利用できず、ほんの一部のカードしかコンタクトレス決済を利用できないということも要注意。
例えばEPOSカードは問題なくコンタクトレス決済として登録して利用できるものの、三井住友カードはスマホにおいてはコンタクトレス決済に対応するが、スマートウォッチには対応しない、といったカード会社により異なる場合があり、非常に不便です。対応しているカードの一覧はGoogleのヘルプページで確認できます。
しかもヘルプページ下部には以下のような表記が。
ご利用のカード発行会社がリストに含まれない場合、またはクレジット カードをモバイル決済用に登録できない場合、カード裏面に書かれている電話番号に連絡し、フィードバックを提供することをおすすめいたします。
まさかのユーザーが直接フィードバックしろ、というやる気のなさ。
ちなみに日本にApple Payが上陸したときは9割ほどのカード会社が対応でした。Googleらしいといえばらしい雑な対応ですが、メインに据えるのは非常にリスキーだなとも感じます。
バッテリー持ち
非常に悪いです。筆者の使い方ではApple Watchが1日半、Galaxy Watch5 Proが3日でしたが、Pixel Watchは1日がいいところです。また充電器は専用充電器が必須というのもネックです。Apple Watchのようにサードパーティから多くのアクセサリーが登場すれば少しは楽になるかもしれません。
総評
オススメできない。以上です。
価格が3万9800円とアメリカが349ドルで販売していることを考えれば1ドル約104円換算と大バーゲンセールで販売されています。Pixel 7シリーズといい、今回は非常に力が入っているPixel Watch。発表前からも多くの情報がリークされており注目度の高い製品でしたが、ガワだけの非常に微妙な端末でした。
とはいえ、待望のWear OSでのSuica対応デバイス。今後のアップデートに期待しつつもう少し使っていきたいと思います。