中国Xiaomiは、10月26日にMIUIに代わる、Androidベースの独自OS「Xiaomi HyperOS(中国名:小米澎湃OS)」を発表しました。「人を中心とした、人-車-家のスマートエコシステム」の実現を目標としています。今後、XiaomiのスマートフォンやIoT機器に搭載される見込みです。
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HyperOSとは
HyperOSは人間中心のスマートエコシステムとして、Xiaomiが7年間かけて開発した新しい独自OS。
低水準のリファクタリング、クロスエンドの知的接続、先を見越した知能、経路全体のセキュリティ性の4つの主要な目標のもとに開発されているといます。
Xiaomiは、HyperOS カーネルを通常のAndoroidのLinuxカーネルに、XiaomiのIoTデバイスに組み込まれている自社開発のVelaシステムを融合したものであるようです。これにより、優れた異種互換性と正確かつ強力なシステムリソース管理機能を有するとしています。
システムの軽量化、省電力化を実現
再構築によってシステムの軽量化、省電力化が実現されています。
まず、スマートフォンなどのデバイスに搭載される、さまざまなハードウェア機能の連携をリソースの正確なスケジューリングにより可能に。
計算能力が向上し、オープンソースのAndroid OSに比べてタスクスケジュールの遅延、割り込み応答の遅延、メッセージ送信の遅延、タスク切り替えの遅延をそれぞれ削減しています。
さらに、タスクを柔軟に分散化する分散並列処理をサポートすることで、デバイスのパフォーマンスを最大限に活用しているとのこと。
ユーザーシナリオに基づいて負荷管理や実行メモリ管理も最適化。アプリケーションの起動と切り替えの滑らかさを向上させ、バックグラウンドのアプリがタスクキルされずに強力に保持できるようになっています。
内蔵ストレージについても配慮した設計となっており、継続的でスムーズなファイルシステムにより、入出力のパフォーマンスの低下を50か月でほぼゼロに。サードパーティーアプリの読み込み速度も向上しています。
加えて、アップデートによるストレージ使用量の削減を79%削減し、アップデートにかかる時間も短くなっているほか、他社のスマートフォンが10GB以上となっているシステム容量を8.75GBまで軽量化を果たしているそうです。
互換性も高くなっており、様々なストレージタイプやプロセッサプラットフォームに対応し、何百もの機器カテゴリに導入可能に。ハードウェアの条件によってファームウェアのサイズを柔軟に構成できるとのこと。
このほか、ネットワーク接続の遅延と無線LANのピーク帯域幅の向上を実現している模様。
デバイス間のネットワーク化と連携
「人を中心とする人-車ー家の完全なエコシステム」の実現を目標にしていることもあり、デバイス間の連携についてもHyperOSで強化されています。
HyperOSでは、デバイスに接続している機器のリアルタイムネットワーク化が可能に。新しいコントロールセンターから各デバイスの状態をリアルタイムで確認し、制御可能になりました。
さらに、デバイス間の連携が大きく向上。カメラ映像をほかのデバイスにリアルタイムに送信することや、ネットワークの共有機能などの接続を柔軟にしています。
従来からPCとスマホの接続性を高めており、PCへのスマホ画面の表示、アプリケーションの同期、クリップボードの共有、デバイスごとの通知の共有などが可能に。デバイスの行き来やタスクの共有がさらに快適になりそうです。
AI機能の強化
HyperOSでは、先進的なAIサブシステムを備えており、様々な最先端のAI機能の実装をサポートしています。
AIを用いたIoTに関する機能として、IoT機器の活用パターンを学習し、状況に合わせた設定の変更を可能にする、HyperMind機能を追加。
通話中にテレビの音量を自動的に下げる設定の提案や、エアコンの温度調整など、さまざまなIoTデバイスの設定を記録し、実行することができます。
また、ChatGPTのようなAI基盤モデルを、SoC上のエッジAIであるNPUに基づいて導入を可能にする、基盤モデルNPU導入技術を自社開発。これにより、生成AIの実行時間の短縮や、実装するモデルのサイズと使用メモリ容量を削減しています。
このAI大型モデル技術を適用したさまざまなアプリーケーションを搭載。文字起こしやリアルタイム字幕翻訳の生成、AI要約機能などのテキスト生成に加え、デザインアプリでのAIによる絵の生成、AI画像検索機能、AI写真生成などがアプリで行うことができるとしています。
UI視覚効果やウィンドウの使いやすさが向上
ホームやデフォルトアプリのアニメーションも変更され、複雑なレンダリング効果をサポート。例えば天気アプリにおいて、実際の天気や時間に合わせた空の変化をレンダリングすることで、天気の変化が視覚的にわかりやすくなりました。
UIはタブレットや折りたたみスマホの画面サイズや画面比率にも配慮されており、さまざまなウィンドウサイズや多言語レイアウトにアプリを適用することができるようです。また、新しいウィンドウコントローラーにより、ウィンドウを全画面から左右や端などへの移動や消去が簡単になっています。
加えて、すべての写真を雑誌の表紙やポスターのようなクラシックな見た目に変更し、ロック画面として使える機能を搭載しています。
そのほか、自社開発のセキュリティシステムを搭載し、プライバシー保護やアクセス権限の管理がより強固になっているとのこと。
一部既存端末にも提供 グローバル版への提供示唆も
Xiaomi HyperOSは同時発表されたXiaomi 14シリーズにインストールされているほか、中国国内発売のスマートフォンやタブレット、テレビなどの一部は2023年 12月から2024年1月の間に配信される予定。
中国国内のXiaomi端末だけでなく、中国国外のXiaomi端末にも2024年第1四半期にHyper OSを配信が予定されています。日本発売端末はどうなるのか注目していきたいところです。