ソニー・ホンダモビリティ株式会社(SHM)は、ラスベガスで行われていた家電見本市のCES 2024において、現在鋭意開発中とみられるEV「AFEELA」の進化したプロトタイプを披露しました。
AFEELAは昨年のCES 2023にてソニーグループとホンダが折半出資で設立したSHMによる電気自動車のブランドで、感じる(FEEL)に由来したブランド名となっています。CES 2023時点では2025年前半より先行受注を開始し、26年よりまずは北米の顧客から配送予定としています。
今年のAFEELA Prototype 2024で大きくアピールしているポイントは、主にAD(自動運転)・ADAS(先進的な運転支援システム)と、同乗者などのユーザーエクスペリエンスを改善するエンターテインメント関連の2点。
車両開発分野において、プレイステーションを取り扱うSIEの傘下企業であるポリフォニ・ーデジタルとの協業を発表しました。同社の持つシミュレーション技術をソニー・ホンダモビリティの車両開発に役立てることを目標としているといいます。また、今後のグランツーリスモ7のアップデートにてAFEELA Prototype 2024をちゃっかり実装予定。「車両の発売の前に、皆様にはゲーム内で乗っていただく機会を設けたい」としています。
さらに、Epic Gamesとの協業も。自動車に取り付けられた多数のセンサーより、周囲の環境をシミュレーション化を行うとのこと。これにより自動車が認識している周囲の状況を視覚化できます。これらの実現にUnreal Engine 5.3を使用し、継続的なアップデートに対応する旨を表明しました。
加えて、車内の対話型パーソナルエージェントとして、Microsoftとも連携することも発表。Microsoft Azure OpenAI Serviceを活用したパーソナルエージェントを共同で開発することに合意したといいます。
また、地味ながらサイドミラーも市販化を意識した構造へと変化しています。前モデルではカメラを内蔵しただけのごくシンプルなものでしたが、2024年版プロトタイプでは一般的なミラーを採用。画像ではなんとデジタルミラーと従来のアナログミラーをいずれも搭載しているように見えます。
これ、個人的には割と好印象です。というのも、デジタルミラーにはユーザーが疲れやすいという問題があるため。運転者が前方の視界からルームミラーなりサイドミラーを見る時、アナログなミラーでは焦点は遠方にあったままですが、デジタルミラーでは近距離にある液晶に焦点を都度合わせる必要があり、目が疲れるという問題があります。
サイドミラーに両方のミラーを採用すれば、ユーザーの好みに合わせて使い分けるということもできますし、デジタルミラー側で周囲の危険なオブジェクトを強調表示してユーザーに注意喚起することもできるでしょう。
個人的には、AFEELA Prototypeはセダンタイプであり、SUVやミニバン、そして独自の軽自動車が闊歩する日本市場ではシェアはほとんど獲得できないと思っています。日本でもちゃんと売る気でいるなら、ボディタイプは間違いなくセダンではなくSUVを選ぶべきでしょう。
筆者としては今回の各企業との提携によって得られた知見をトリクルダウンし、今後登場するかもしれない他の車種の開発に生かしてほしいと思っています。