サム・アルトマンCEO率いるChatGPTでおなじみのOpenAIが、巨大データセンターの建設に向けてバイデン政権に提案を行ったことが明らかになりました。
しかし驚くべきはその巨大すぎる規模で、データセンター1つで原発5基分に相当するものを複数の都市に建設したいと提案しているようです。Bloombergが伝えています。
OpenAIのサム・アルトマンCEOらはホワイトハウスでの会議に出席し、政府関係者に対し、米国複数の州に5GW(ギガワット)規模のデータセンターを建設することの経済的・安全保障上の利点をまとめた文書を提出しました。
まず驚くべきはその規模、5GW。これは一般的な原子力発電所(出力100万kW=1GW強)5基分に相当し、約300万世帯の電力需要を賄える規模です。
さらに、アルトマンCEOは長期的には同規模のデータセンターを米国内に5~7基建設したい意向を示しています。もはや数字が大きくなりすぎてピンと来ませんが、データセンター7基分の消費電力35GW(3500万kW)は、東京エリア(関東、山梨、静岡の一部)の電力需要に匹敵する規模。
OpenAIはこれらの施設への投資により、数万人の新規雇用が生まれ、国内総生産(GDP)が押し上げられ、米国がAI開発で主導権を維持できるようになるとアピールします。
しかしそれだけの電力をドカ食いするデータセンターを建設するのはかなり厳しいようで、Constellation Energy社のジョー・ドミンゲスCEOは、「これは前例のないことで、エンジニアとしても実現可能とは思えません」とコメントしています。実際に着手するにしても、供給力や送電網の拡張、そういった工事に係る労働力の不足や作業スケジュールといった問題が積み重なり、実現には非常に長い時間がかかりそうです。
AIを動かすうえで計算資源や電力が足らないというのはどこも同じようで、マイクロソフトはAIを動かすための電力を求め、数年前に稼働終了したスリーマイル島原子力発電所を再稼働させ、同社のデータセンターに電力を供給するという契約を数日前に結びました。
OpenAIが然るべきところから資金を調達することができ、かつ政府の協力を得て、これだけの野心的で大胆な計画を行えるのか注目したいところです。