前回のハードウェアレビューでは値段相応と切り捨てたが Kindle Fire HD ひいては Kindle シリーズの魅力は考えられたソフトウェアにある。今回はソフトウェアの利用勝手に目を向けてレビューを進めていく。
独自ホーム・独自ランチャー
Kindle Fire で動作しているOSは Android 4.0 だが、ホーム画面やランチャーから、それらしい痕跡を見ることはできない。
ホーム画面兼ランチャーは目的に特化した作りとなっており「お買い物」「本」「ゲーム」と一定の分類分けがされ、最近参照したコンテンツや購入したコンテンツがメイン領域に表示される。
アップルの CoverFlow を彷彿とさせる意匠だが、表示されるのはCDのカバー画像だけでなく、本の表紙やアプリのアイコンと Kindle Fire HD で扱えるコンテンツのすべてが表示される。
コンテンツが増えてくると、横にスクロールする量が増えて、目的のものが探しづらくなりそうだが、動作も軽快であるし、アイコンも大きいので迷うことはそうそうなさそうだ。
試しにアプリの項目を表示してみる。
Eメールや OfficeSuite(ドキュメント表示アプリ) WebブラウザのSillk。それから、Skype などがプリインストールされていた。Twitter やなめこは筆者がマーケットからダウンロード&インストールしたものである。
Eメールや連絡帳のアプリがプリインストールされていたことに、個人的には驚いた。てっきり、エンターテイメントに特化しており、そのあたりはなおざりであると勘違いをしていた。
少し癖のあるブラウザ
Sillkと呼ばれるWebブラウザが標準でインストールされているが、使い勝手が高いとは言えない。特別に使いづらいわけでもないが、使いやすいわけでもない。時々、スクロールで引っかかりを覚えたり、ページの先読み機能が悪く働くことがある。
チップセットの処理性能は十分あるはずなので、ブラウザの出来には少しがっかりさせられる。使い慣れている Google Chrome が恋しくなる。
これが Kindle Fire HD に足りていない最大のソフトウェアだろう。今後より快適な動作をする、ブラウザの登場が望まれる。
電子書籍を楽しむ
「本」の項目を選択すると今まで Amazon Kindle ストアで購入してきた本の一覧が表示される。
ほしい本があるときは「ストア」のボタンを押せばすぐさま Kindle ストアにアクセスして書籍データを購入できる。
このあたりは非常にあざとい作りになっており、ついつい本を買ってしまう。
実際に書籍を購入する
実際に本を購入してみよう。クレジットカードが登録されていれば、一発で購入&ダウンロードをすることができる。なお、誤って注文をしてしまっても、注文をすぐさまキャンセルできるのがありがたい。
今回ダウンロード購入をしたのが、マンガということもあり、ダウンロードには若干の時間を要した。ダウンロード中にホーム画面に戻ると、マンガの表紙の上にダウンロード状況がわかるプログレスバーが表示される。
ダウロードが完了すれば書籍が閲覧できる状態になる。
縦で一ページずつめくるもよし、横画面にして実際のマンガのように見開きで読むも良し、マンガを気軽に買うことができるのは非常にすばらしい。
なお、マンガの一つの醍醐味である、表紙をめくった裏側などもしっかりと電子化されており、実際の書籍と遜色のない出来になっている。
高品質なスピーカーで音楽もイイネ!
ハードウェアレビューでも少し触れたが Amazon は Amazon MP3 という名前で DRM フリーの楽曲を販売している。筆者は特にゲームが好きで、洋ゲーのサントラを国内で入手するのはなかなか難しい。そんなときに役立つのが Amazon MP3 なのである。
品揃えも豊富であるし、何より DRM がかかっていないので、細かいことを考えずに私的範囲内で、どの端末にも音楽を転送することができる。
もちろん、Kindle Fire HD も例外ではなく、過去に購入した情報から楽曲をダウンロードできたり、もちろん視聴もできる。
音楽を再生する画面もそれなりに考えられており「クール」ではないが、とても使いやすい画面設計となっている。
ロースペックでもソフトウェアでカバー
Kindle Fire HD のソフトウェアの出来はブラウザ以外申し分のないものとなっている。ストアも使いやすし、ほしいと思ったものが、すぐに購入することができる。
たとえばそれが楽曲であったり、書籍であったり、動画であったり、家電であったり、何であったとしても、手のひらの中にあるタブレット一台ですべてが完結する。
Kindle シリーズはハードウェアの販売では利益を望まず、Kindle 経由で商品を販売することによって利益を得るというビジネスモデルをとっているが、それが非常にわかりやすい形で現れている。
これが良いか悪いかの判断は難しいところだが、我々が普段タブレットで行っている作業は(ブラウザ以外)何不自由なく利用できるソフトウェアが用意されているといえるだろう。