マイクロソフトは日本時間 2013/05/22 に次世代コンソールゲーム機 XBOX ONE を発表した。PlaySation4 に加えて、家庭用据え置きゲーム機は出揃う形となった。
XBOX ONE のおさらい
まずは発表された XBOX ONE についておさらいをする。8コアCPUと8GBのRAM、それから500GBの内蔵HDDにBDドライブ、昨今のトレンドと据え置きゲーム機としての性能を十分に満たしている。強いて、PlayStation4との鮮明な違いはKinectのような、コントローラを必要としない入力デバイスを標準で付属させたことだろう。
”All in One System”の可能性
XBOX 360はゲーム専用機としての色が強かった。それは筐体のデザインや提供されていたサービスからも読み取ることができる。
しかし、新たに発表されたXBOX ONEのデザインは、まるでブルーレイレコーダのようであるし、セットトップボックスのようである。
そこには、ゲーム機だけでなくマルチメディアコンテンツを楽しめる”All in One System”の戦略が垣間見える。
XBOX ONE からテレビコンテンツの閲覧が可能となり(日本で提供されるか否かは不明)最も身近なエンターテイメントコンテンツが閲覧可能となった。スカイプも標準搭載され、標準で付属するKinectを利用した音声通話・ビデオ通話が可能となり、ゲームだけでなく様々なマルチメディアコンテンツをはじめとした、包括的にエンターテイメントコンテンツを提供する。
Windows Phone 8 足かせをポテンシャルに
筆者が期待していた Windows Phone 8 との連携について、ほとんど触れられることはなかった。しかし、今後多くのサービスが提供されることが予想される。これは、Windows Phone 8 が動作するチップセットや画面解像度などが限定される、いわば「足かせ」がポテンシャルになる瞬間である。
最も基本的なXBOX ONEとWindows Phoneの連携を考えるのであれば、スカイプがあるだろう。ビデオを使ったスカイプ通話も良いが、ベッドで寝転がりながら、雑談に興じるのも電話の楽しみ方だ。XBOX ONEから手元にあるWindows Phoneへ、スカイプの連携がシームレス(継ぎ目なし)になれば、ひとつのストレスが解消される。
また、外出先でスカイプのコールがかかってきて、それをWindows Phoneで受けた後に、自宅のリビングに置いてあるXBOX ONEのスカイプにシームレスに移し替えができれば、これもまた、ひとつのストレスを解消してくれる。
焦点はクラウドに
「XBOX ONE は常時インターネット接続が必要である」という噂を耳にしたことがあるだろう。結果としてこれはデマであったが、クラウドゲーミングの視点からみると、いくつか面白い事柄が見えてくる。
例えば、XBOX ONE で進めているゲームのセーブデータにWindows Phoneのアプリケーションがアクセスできたらどうだろうか。据え置き機のような、高度なグラフィックを提供することは不可能だが、効果的なプロモーション、ミニゲームをより提供しやすくなる。
私は昨今のスマートフォン向けゲームには嫌気がさしている、どこに行ってもカード、カード、カード、カード……私はカードゲームがしたいわけではない、もっと、興奮できる、没入できるゲームを求めているのだ。
NVIDIA SHIELD では専用のハードウェアを設け、パソコンでプレイしているゲームをストリーミング配信をすることで、ポータブルデバイスでのリッチなゲームを可能とした。もちろん、Windows Phoneにはアナログスティックも大量の物理ボタンもないため、あれほどまでのことは出来ないだろうが、何らかのアプローチがとられることは想像に難くない。これもまたWindows Phone8が動作するには一定のハードウェアが必要になる「足かせ」を「ポテンシャル」にする瞬間だ。
また、XBOX ONE では、プレイした動画の共有がサポートされた。この動画にWindows PhoneのXBOX Live(ないし類似の機能)からアクセスが可能になれば、共有されている動画を、スマートフォンのようなどこへでも持ち歩くことができる端末から参照が可能になる。
例えば、私がFPSゲームをプレイしていて(筆者はFPSゲームが大好きである、とりわけCall of Dutyシリーズが)マルチプレイで奇跡的なプレイが出来たとする。大学へ行き、友人にそのプレイを報告するものの、口頭では信用に足らないし、そのときの興奮というのは共有しがたい。
しかし、少ないステップで共有状態にある動画へアクセスが可能になれば、自分の奇跡的なプレイとそのときの興奮をすぐに共有できるのだ。また、戦績(ゲームスコア)に対してアクセスが出来れば、ファインプレイの結果を、動画なしでも友人に見せることができるのである。
また、日本で提供されるかは非常に疑問だが、録画したテレビコンテンツのストリーミングが可能となれば、より生活が豊かになる。
レジューム(見たところから再生)や、著作権を逸脱しない範囲で、友達と感動的なシーンを共有することができる。
もっともらしい言い方をすれば「この間のドラマのあのシーンみた?すごく面白かったよね、え?見てないえっとね……」であるし、サブカル的に言えば「あのキャラやべえから!超やべえから!え?見てない?今すぐ見ろって、やべえって、もうやべえって、死ぬほどかわいいよ!!は?じゃあ、このスマホで100回見ろ」が可能になる。
現在、これらが可能なハードウェア・ソフトウェアは極めて限られており、ナスネとDTCP-IPに対応したソフトウェア(Twonky Beamなど)を利用するほかないが、その敷居をグッと下げてくれる。
Windows Phone 8 の 日本導入を促進してくれるかも?
日本では現在 Windows Phone 8 を搭載した端末がキャリアから販売されていない。また、今後の予定も未定となっている。
しかし、XBOX ONE が普及し連携機能が強化されていけば、よりWindows Phone 8の魅力が高まることとなる。
現在、Windows Phoneの導入を求めているのはアーリーアダプター層であることが多いが、より一般層からの要求が増えれば、一定のニーズとして見られる可能性は十二分にありうる(それでキャリアやMSKK(マイクロソフトジャパン)が動くかはわからないが)
通信キャリアとMSKK(とりわけMSKK)には、日本のユーザのみがすばらしいゲーム体験が出来ない状態にはして欲しくないものだ。