米Apple社は、カリフォルニア州クパチーノで、北米西部現地時間で10月26日午前10時(日本時間で17日午前2時)より、スペシャルイベントを開催しました。WWDC14で明らかにされていたiOS 8とYosemiteのおさらいから始まり、5K解像度を持ったiMac Retinaや、待望の新型iPadシリーズも発表されました。
事前に「iBooks」のiOS 8向けユーザーガイドで一部情報がうっかり漏れてしまうという、Appleらしからぬ失態はあったにせよ、実際に発表されたiPadは、1年サイクルでの順当で、魅力的なモデルチェンジになります。
今回、正式名称にナンバリングが採用されており、新型iPad Air(iPadとしては5世代目)は「iPad Air 2」、新型iPad miniは「iPad mini 3」とネーミングされています。
劇的進化を遂げた! iPad Air 2
今回の発表の目玉は間違いなくiPad Air 2でした。
9.7インチのRetinaディスプレイは、フルラミネーションディスプレイと呼ばれるエアギャップを減らす構造を取り入れ、反射防止コーティングを施したことで、従来よりも56%も映り込みを防止する見やすさを実現、薄型化にも成功。そして何より、厚さは前モデルの7.5mmから6.1mmへと、実に18%も薄くなっています。
これはiPhone 6/6+より薄いばかりか、iPad Air 2を2枚重ねても、初代iPadよりも薄いという、圧倒的なもの。
カメラは500万画素から800万画素に強化。写真を高速連写する「Burst Mode」に対応しました。
より高速なA8XチップとM8モーションコプロセッサを搭載。スペシャルイベントでは、iPad Air 2で4K相当の写真を編集するアプリや、動画をゴリゴリに編集するアプリのデモが行われました。
一方で代わり映えのしないiPad mini 3
これらの各種進化は、iPad mini 3にはありませんでした。厚みも寸法も、iPad mini 2と全く同じ。カメラもそのまま、プロセッサーもA7 / M7そのまま、という体たらくでした。
共通の進化はTouch IDだが……
iPhone 5s/6/6+で搭載されてきたものの、1年前のiPad AirとiPad mini Retinaでは搭載の見送られてきた指紋認証センサーTouch IDを、両者ついに搭載。ロック解除やApp Storeの利用がより簡単に。
一方、NFCの搭載は見送られたようで、iPhoneを読み取り機に触れての決済はできません。この点は残念。(前モデルのTouch ID非搭載もそうだが、『出し惜しみ』のように思えて尚更、腑に落ちない。) ただApple Pay自体には対応しており、オンライン決済の利用自体は可能。
iPad Air 2にもmini 3にもゴールドモデルが追加。容量はiPhone 6/6+同様、16GB / 64GB / 128GBの3種に。
機能比較
今回発表されたiPad Air 2とiPad mini 3の違いがわかる比較表です。旧モデルiPad Airも加えることで、どこが進化したのがもわかりやすくなっていますので、比較検討の際の参考にして下さい。iPad mini 2に関しては、mini 3との差があまりないので、ここでは省いています。
iPad Air 2 | iPad Air | iPad mini 3 | |
---|---|---|---|
SoC | A8Xチップ, M8コプロセッサ | A7チップ, M7コプロセッサ | |
ストレージ | 16GB / 64GB / 128GB | 16GB / 32GB / 64GB | 16GB / 64GB / 128GB |
画面 | 9.7インチ IPS 2048×1536 264 ppi |
7.9インチ IPS 2048 x1536 326ppi |
|
フルラミネーション, 反射防止コーティング |
|||
カメラ | 800万画素, バーストモード, スローモーション |
500万画素 | |
インカメラ | 120万画素, F値2.4 | ||
無線 | BT4.0, 802.11 a/b/g/n/ac | BT4.0, 802.11 a/b/g/n/ | |
SIM | nanoSIM | ||
センサー | Touch ID, 気圧計 | – | Touch ID |
寸法(mm) | 240 x 169.5 x 6.1 | 240 x 169.5 x 7.5 | 200 x 134.7 x 7.5 |
重量 | Wi‑Fi: 437g Cellular: 444g |
Wi‑Fi: 469g Cellular: 478g |
Wi‑Fi: 331g Cellular: 341g |
持続時間 | Wi‑Fiでのインターネット利用、ビデオ再生、オーディオ再生:最大10時間 携帯電話データネットワークでのインターネット利用:最大9時間 |
やはり高機能が詰まっているのはiPad Air 2であると言えそうです。
価格比較
定価(税別) | |||
---|---|---|---|
16GB | 64GB | 128GB | |
iPad Air 2 Wi-Fi |
5万3800円 | 6万4800円 | 7万5800円 |
iPad Air 2 Wi-Fi+Cellular |
6万7800円 | 7万8800円 | 8万9800円 |
iPad mini 3 Wi-Fi |
4万2800円 | 5万3800円 | 6万4800円 |
iPad mini 3 Wi-Fi+Cellular |
5万6800円 | 6万7800円 | 7万8800円
|
なお、前モデルiPad Airは16GBモデルが4万2800円、iPad mini 2は16GBモデルが3万1800円で、それぞれ約1万円安い価格で販売継続となります。さらに初代iPad miniは2万6800円となり、価格競争の激しい7インチタブレットの激戦区に、安くなった旧モデルをも引き連れて挑む形に。
総評:買いはiPad Air 2
どちらが買いかと言えば、間違いなくiPad Air 2です。まさかiPhone 6やXPERIA Z2 Tabletより薄いとは思いませんでした。それでいて、最新技術が注ぎ込まれているのがiPad Air 2ですから、迷うことはないでしょう。
もちろん持ちやすさや軽さで言うと、iPad mini 3です。個人的にiPad mini 2やGALAXY Tab S 8.4を使っていて、いつでもどこでも読書するような用途だと、iPad mini 3の7.9インチは適切であると思います。なので使い方次第ではiPad mini 3の方が合っている場合もあるかもしれません。
しかしiPad Air 2とiPad mini 3の重量の差は約100g程度。ほんの少し重量が増えるのを我慢するだけで、9.7インチの大画面を携帯でき、しかもそれは6.1mmという、とてつもない薄さ……。あまりにも甘美な言葉の響きです。
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