発売から1ヶ月経たずに販売中止となった、ソニーの最新フラグシップスマートフォン「Xperia 1 VII」。
再起動を繰り返す・文鎮化するなどの不具合により、世界的に販売停止に追い込まれるという異例の事態になっています。この問題の背景を探る中で、ソニーが公開したオープンソースのコードから、驚きの事実が浮かび上がってきました。
ソニーは、Xperiaに搭載するSoC(System-on-a-Chip)のコードネームに、世界の川の名前を付けることが慣例となっています。
そして今回、同社が公式GitHubアカウントで公開したカーネルソースコードにより、Xperia 1 VIIに搭載される最新SoC「Qualcomm Snapdragon 8 Elite Mobile Platform」のコードネームが「shimanto」であることが判明しました。
さらに重要な事実として、ハードウェアに関する定義を行うDeviceTreeと呼ばれるファイルの中に、中国のODM(Original Design Manufacturer)であるHuaqin(華勤技術)社固有の定義が含まれていることが確認されました。
これまでのXperiaは基本的には、海外工場での生産モデルにも他社名や工場名を含んでいません。例外としてはXperia 10シリーズが挙げられます。これは実際にHuaqinに発注したもので、ソースコードにもHuaqinの名前が含まれていました。
こうした過去の例を鑑みても、Xperia 1 VIIのハードウェア開発そのものが、Huaqinによって行われた可能性が考えられます。
これまでXperiaはハードウェアの開発は自社で行い、海外工場で生産を行ってしました。もし初の完全外部委託開発のフラグシップモデルだとすると、ソニーとしても設計不良を疑って早急に販売停止の判断を下せた可能性はありそうです。
なお、今回の話の補助線として。ソニーは長らく、オープンソースを重視して貢献してきた実績がありますが、Xperia 1 II以降の新しい開発体制においては、公開義務がありながらも大幅に公開が遅れたりしていました。実際、Xperia 1 VIのソースコード公開は発売半年後でした。
ところが、今回のXperia 1 VIIのソースコードが公開されたのはなんと本日、先ほどです。ここ数年のXperiaとしてはかなり異例の早期公開。しかも、よりにもよって文鎮化・販売停止問題の渦中です。まさに「ソフトウェアに関してはしっかり内製で悪くない」と言わんばかりです。
ちなみに「shimanto」の元ネタは、高知県を流れる四万十川です。四万十川は、大規模なダムが建設されていないことから「日本最後の清流」として広く知られています。ハードウェア製造を中国工場に委託した現在地や、Xperiaシリーズが重大な岐路に立たされている事実を踏まえると、非常に深い意味を感じ取らざるを得ません。
この機種が本当の意味で「最後の清流」になってしまうのではないかと不安を掻き立てる、販売停止事件。早急に原因が解明され、無事に販売が再開されることを望むばかりです。
(編集協力: zeriyoshi)