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携帯料金値下げ、総務省は抜本的改革を。

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 安倍総理大臣が国民の家計の負担を軽減すべく、携帯電話料金の値下げを指示しました。NHKが報じるところによると、総務省有識者会議は携帯電話料金値下げについて、具体策の検討を来月19日から始めるそうです。高市総務大臣いわく年内までにまとめたい考え。通話やデータ通信の利用が少ない人向けの割安な料金プランの追加、MVNOの格安スマホの拡充や、事実上一体化している端末価格と通信料金を切り離すことなどが議論されるようです。

 個人的には、政府が個別の料金プランに過度に干渉することには賛成しませんが、競争環境の整備により値下げを誘導するような政策には全面的に賛成です。特に端末と通信料金の一体化が、本当に是正されるのであれば支持します。

 ただし総務省が端末価格と通信料金の是正を求めたのはこれが初めてではありません。10年近く前、同様の内容を総務省が求め、携帯キャリアが販売方式を「改めた」結果が、今の「端末代高額化、通信料金からの割引」「2年縛り自動更新」「更新月以外は解約金」などの状況の現出に繋がっています。大手3社への小手先の値下げ要請は、状況を再び悪化させかねません。

 そもそも大手キャリアが値上げ、改悪を続けて消費者の家計を圧迫している原因は、総務省にあります。通話定額やパケット定額、スマートフォンなどの革新的な試みを数多く行ってきたWILLCOM、データ通信における挑戦者であったE-MOBILEを含め、5社による競争の行われていた携帯市場が、今や3社の寡占市場です。競争とは名ばかりに、単に他社のプランを模倣するだけで、市場原理が働いていません。多様なプランは生まれず、単なる横並びに。このような寡占状態に陥らせてしまった総務省の失策こそが元凶です。

 MVNOの拡大は今後もサポートすべきですし、そうした選択肢増えるのも重要ですが、単に「割高・高品質のMNO、格安・相応品質のMVNO」の住み分けが進むだけで、MNOの値下げ圧力としてはやや弱いでしょう。そもそもMVNOの拡充は前から進んでいることですし、安倍総理大臣の意図する家計の負担軽減とはややズレているように思います。

 小手先の要請ではなく、あくまでUHF帯の活用や、世界の常識である電波オークションを導入するなど、新規参入を容易にするための電波行政の抜本的な改革を行い、自由競争を促進することで、携帯料金値下げを誘導すべきだと思います。欧米でもテレビ用周波数のモバイルへの割り当てで話が進んでいます。テレビを観る人が減るのと同時に、モバイルインターネットの利用者が増え、そのテレビ自体も地デジからブロードバンド放送へと移行している昨今、当然の判断でしょう。

 ただ、全てを市場原理に任せて総務省が完全にイニシアチブを放棄すべき、とまでは思いません。安全保障の観点や、自由競争の観点から、相応しくない参入は総務省が断固阻止すべきだと思います。それこそアメリカが、通信インフラへのHuawei参入や、SoftBankによるSpirint経由でのT-Mobile買収を、ブロックしたように。(そう、アメリカも4社から3社にMNOが減ることは、反競争的であるとして阻止しているのです)

 総務省は省益ではなく、国益と消費者の利益を優先すべきです。社会主義的な電波割り当てを止めて電波オークションを導入することは、結果として増収増益をもたらし、省益にも還元されるはずです。有識者会議から抜本的な改革案が出てくることを切に願います。