ソフトバンクは、カウントフリーを備えた「ウルトラギガモンスター+(プラス)」と「ミニモンスター」を発表しました。記事中すべて税別表記です。
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2年縛りなしも選択可能
ウルトラギガモンスター+、ミニモンスター、いずれの通話基本プランでも、2年契約の有無が選択可能となっています。
2年契約なら1500円、2年契約無しなら3900円とのこと。
月月割フェードアウト
現行「スマ放題」プランの新規契約時やプラン継続に際しての機種変更における「月月割」の提供は、2018年9月5日以降、順次終了するとしています。
また、「2年契約および2年契約(フリープラン)に加入の場合、『月月割』は適用されません」とあります。これで実質価格も徐々に廃止の方向でしょう。[追記]新プランで2年契約無しを選択すれば、月月割を受けられるとのこと。
遅きに失した感はあるものの、ようやく通信と端末の分離がまた一歩踏み出します。(消費者を『実質価格漬け』にしたまま放置した期間が長すぎるので、端末の売れ行きへの影響も注視していく必要がありそうです)
「ウルトラギガモンスター+(プラス)」
内容
「ウルトラギガモンスター+(プラス)」は、月あたりの通信量は50GB。
対象の動画サービスやSNSの通信を、データ容量を消費しないカウントフリー「ギガノーカウント」に対応。
料金
「ウルトラギガモンスター+」は、新たに提供する「通話基本プラン」「データ定額 50GB プラス」と「ウェブ使用料」の総称。
「3480円で利用できる」とSoftBankは謳うものの、実際は1年限りの割引や固定回線への割引、みんな家族割+を加味し、最大限割り引いたもの。元の値段は(2年契約時の)通話基本料1500円+データ50GB 5980円=7480円です。(フリープランなら9880円)
また、通話定額が基本料に含まれなくなっているのも注意。通話を完全通話定額制化するなら、基本料金は3000円に。5分までかけ放題の場合は2000円に。
カウントフリー対象サービス
なお、LINEなどのアプリ内IP通話はカウントフリー対象外となるようで注意が必要です。
- YouTube
- AbemaTV
- TVer
- GYAO!
- Hulu
- LINE
申込受付開始日
申し込み受け付けを2018年9月6日に開始。
法的問題・ネット中立性の問題
ユーザーの通信サービス利用を把握して割引を行うサービス(ゼロレーティング)を提供するにあたって、事業者が通信の秘密を侵害しなければならない問題が生じます。適法にサービスを提供するには、事前に通信当事者(ユーザー)に説明し個別同意を取らなければなりません。適法に丁寧に行っているかどうか、注意して見守る必要があるでしょう。
特定動画サービスの優遇は、ネットワーク中立性の問題が生じます。
ネットワーク中立性については「総務省に相談した上でOKを取った」とのこと。競合サービス排除は現行の帯域制御ガイドラインでも規制されていますが、SoftBankはあくまで「オープン」を主張しているので、自社以外のコンテンツベンダーも広く受け入れることで現行のガイドラインをクリアしているのでしょう。
ここからは私見ですが、現時点ではネットワーク中立性はまだ日本では議論の成熟していない問題です。
しかし現在の情勢として、米国でもネットワーク中立性をより復活させるための議論が再燃、日本でも秋以降有識者会議でネットワーク中立性導入を議論します。非常にセンシティブな問題であるのはSoftBankとしてもよくわかっているにも関わらず、秋になる前にこれを先んじて今回のプランを発表したことは、何らかの意図を感じざるを得ません。
現時点で総務省がNOと言わなかったこと、SoftBankが既成事実を作って風穴を開けようとしていること、これらに決して惑わされず、秋以降、純粋にネット中立性について冷静な議論を行っていくことが必要です。
キャンペーン
「ウルトラギガモンスター+」のデータ容量を消費することなく、全てのデータ通信が使い放題となるキャンペーン「ギガ使い放題キャンペーン」を、2019年4月7日まで実施。
ミニモンスター
内容
「ミニモンスター」は、データ通信利用の少ないユーザー向け。データ使用量に応じて4段階の定額(半従量制)。
料金
SoftBankは「1980円」を謳うも、これも割引適用時。実際は、~1GBなら3980円、~2GBなら5980円、~5GBまでなら7480円、~50GBまでなら8480円。
まあ、これで合わずに5GBよりも多くの通信量を消費してしまったユーザーには「ウルトラギガモンスター+」がおすすめ、という導線として機能しているので、価格はともかく、構成としては上手いのでしょう。
申込受付開始日
申込受付は2018年9月6日に開始。
キャンペーン
ケータイからスマホに切り替えるユーザーが「ミニモンスター」に加入すると、利用料金を1年間毎月1980円割引する「ガラケー→スマホ割」を実施するとのこと。
機種変更、またはワイモバイル・他社のケータイからのMNPで、対象機種を購入し、ミニモンスターに加入することが適用条件であるとしています。
質疑応答
発表会直後の質疑応答では、米情報機関やオーストラリア、日本政府などがHuaweiとZTEの締め出しを行っており、基地局などで両社と深いつながりを持つSoftBankの対応を問われると、「安全性立証されているから現時点ではサービスを行っている。今後の決定、政府や監督省庁の動きを見ながら真摯に検討していく」と答えました。
LINEモバイルが以前からやっているカウントフリー、食い合いは無いのかとの問いには、「3つのブランド(ソフトバンク・Yモバイル・LINEモバイル)を持っている。当然検討の上。ユーザー特性見て判断した」と回答。
菅官房長官の4割値下げ発言、今日の発表は期待に応えられたか?には「これに限らず常にプライスリーダー。廉価ブランドも育てている。従前から大容量プランで客の要望に先進的に応えている。新プランもマッチしている」と自信を見せました。
カウントフリーについて、対象事業者の選別はオープンであることを強調。通信内容判別や圧縮など各方式の詳細については「各コンテンツベンダーの識別子、これ以上は御容赦を」とし詳細説明を避けました。(大手携帯キャリアは公共の電波で国民の通信サービスを提供する以上、国民の権利である通信の秘密や各種ルールに関わる部分についての説明は、決して避けてはならないと思います。)