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カリフォルニア州議会、ネットワーク中立性復活へ。日本での議論に期待

カリフォルニア州でネット中立性復活へ前進

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 携帯キャリアなどステークホルダーのロビー活動を受けて、トランプ政権下でFCCがネットワーク中立性を弱体化させましたが、これに異議を唱える動きが地方から起きています。

 カリフォルニア州議会はネットワーク中立性に関する法案「SB822」を審議。賛成多数で法案は通過。知事の署名を待つ段階となっています。

 カリフォルニア州といえばテック企業のおひざもとでもあります。今回のカリフォルニア州議会の法案は、ISPがデータをブロックまたは制限することを禁止するもの。さらに携帯キャリアが特定サービスを優遇しデータ通信料を無料とする、いわゆるゼロレーティングも禁止します。

 この動きはカリフォルニア州以外にも波及することが期待されています。日本での議論にも影響しそうです。

ネットワーク中立性

 米国では携帯キャリア各社が特定サービスへの通信料を無料にし優遇するサービスを展開。

 寡占化に陥りがちな携帯キャリア、それを利用して特定サービスを優遇することは、特定サービスの市場において新規プレイヤー参入が困難となり、健全な競争を阻害する可能性があります。プライバシーやインターネットの在り方を変える可能性もあることから、反発する動きが生まれ、オバマ政権下でインターネットの透明性やブロッキング禁止を定めたネットワーク中立性が成立しました。

 ネット中立性論者は必ずしも大きな政府を忌避しているばかりではなく、むしろ大企業による支配的地位を利用した横暴を阻止するために規制当局の関与を支持する立場もあります。

 海外でも複数の国がゼロレーティングを規制しており、2015年にはインドがゼロレーティングを禁止。EUもネット中立性を導入した上で、データ通信量超過後に特定サービスのみそのままの速度で通信させる行為を問題視しつつも、一律禁止までは至らず、イノベーションとネット中立性のバランスを踏まえた規制を加盟各国に委ねました。

日本の状況は

 日本国内では、ネットワーク中立性に関する考えは、帯域制御の運用基準に関するガイドラインとして限定的に導入。LINEモバイルはこれを踏まえつつも、ゼロレーティングサービス導入を踏み切りました。今後のネット中立性の議論次第ではサービスを変更する可能性があると明言してのサービスインでした。

 寡占事業者による特定サービス優遇による競争の不健全化が問題ということで、おそらく総務省的には「MVNOがやるならまあOKだろう」という位置づけで長らく黙認してきたのでしょう。

 最近、ようやく2018年秋以降に総務省がネット中立性の議論を行うとの報道がなされたところでした。現時点ではあくまでガイドラインに部分的に組み込まれたに過ぎないネット中立性の概念が、より拘束力のある形で現出する可能性もあります。

 しかしSoftBankはLINEモバイルを買収し自社傘下に収めた上で、8月末、LINEモバイルと同様のカウントフリーをSoftBankにて展開。携帯キャリアが商売の邪魔となるネット中立性を破壊したいのは米国の事情と同様のようです。

 ちなみにSoftBankは過去に周波数狙いでイーアクセスを丸ごと買収するという荒業に出て、総務省はこれを阻止できず、国内は3社寡占に陥った経緯もあります。

補足

 別の動きとして、カドカワ社長兼ドワンゴCTOの川上量生氏が政府知財本部においてブロッキングの導入を延々と主張し続けており、今後の法制化のおそれもあり、予断を許さない状況です。一部携帯キャリアや「政商」の動きに惑わされず、日本における自由なインターネットの在り方は今後どうあるべきかという大局観含め、改めて冷静な議論が必要な時なのでしょう。

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