来週から日本でiPhone XR値下げ?
米ウォール・ストリート・ジャーナルは、日本の携帯キャリアがAppleのスマートフォン「iPhone XR」を来週にも値下げすると報じました。
それによるとAppleが販売促進のための補助金を出すことで実現するようです。iPhone XRについてAppleが発注数を下げたなど、販売不振に関して各所で報じられていますので、それに対応したものと見られます。
通信料金を原資にiPhone割引、日本はiOS天国
公正取引委員会は今夏、報告書を発表。Appleが携帯大手にiPhoneの割引販売を求め、その原資が日本の携帯利用者の通信料金であった実態が判明しています。
日本の携帯市場は、iPhoneをキャリアが強く販促し勢力を拡大、キャリアの垂直統合の下に国際競争力のないガラケーを作らされてきた国内メーカーが激烈なスマホシフトに対応できず総崩れという経緯があります。主に国産品を売るためであったことから黙認されてきたのか、強権的なキャリア主導の販売体制は、気付けば米国製品を積極的に販促。結果として世界でも類を見ないほど高いiOSシェアの国が生まれました。
最近規制改革推進会議が通信と端末料金の完全な分離を答申したことで、Appleはもう以前のような手法を取れなくなる可能性が高まっています。
Apple自ら販売奨励金なら日本政府も関係なし
一方で、今回のWSJ報道が正しければ、来週以降のiPhone XR値下げは、原資はキャリアの通信料金ではなく、Apple自ら拠出。これなら政府が通信と端末料金を分離しようが関係ありませんね。
体力のあるAppleならではの策と言えそうです。Appleの高笑いが聞こえてきそうなところ。
分離後もApple独走か
携帯キャリア主導の体制の弊害の一つは、メーカーの自立の阻害でしょう。端末と通信の分離について、メーカーを交えて議論し、自立を促すグランドデザインのある政策的サポートという考えならば理解できます。
しかし今回の携帯値下げ議論の発端は政権の消費増税の目くらましに過ぎず、何のビジョンもありません。分離もあくまで料金面に過ぎません。中古端末を買っても国内メーカーの利益にはなりませんが、総務省有識者会議では3年前から中古端末を買えばいいなどと平気で主張しています。はっきり言って期待しない方が良いでしょう。
Apple独走を止めたい思惑も見え隠れするものの、まだまだ止まることは無さそうに見えます。