ファーウェイ、いよいよ独自OSの「プロジェクトB」始動か。中国メディア報じる すまほん!!

 5月16日、米トランプ政権は華為を規制リストへ正式に追加、同20日未明にはGoogle社が華為(Huawei)への一部ソフトウェア供給を停止することが明らかになりました。米政府の意向次第でシステムの供給を止められるの、なかなかにカントリーリスクですね。

 OSがなければ、華為の最新型スマートフォンもただのガラクタ。国内版P30 Proも発売中止の危機ですが、同社CEO・余承東は「我々は自分のOSを準備できている。もしAndroidが継続して使用できないのなら、我々には『プロジェクトB』(B計画)を開始する用意がある」と話し、OSの自社開発に自信を見せています。

 Google社によるサービス供給停止、華為の「プロジェクトB」とその影響について、中国「21世紀経済報道」が伝えました。

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Huawei「プロジェクトB」始動か?

本稿ではあえて「プロジェクトB」

 なお、日本国内報道では「B計画」を「プランB」と訳しているのが多いようですが、ジャッキー・チェン主演の名作映画、「A計画」は「プロジェクトA」と邦訳されていることから、本稿では「プロジェクトB」と訳します。

 プロジェクトA主題歌「東方的威風(東洋の威風)」でもお聞きになりながら、御覧ください。

Androidの重要部分を利用できなくなるHuawei

 北京時間5月20日早朝、 米国政府が華為社及び付属企業を規制リスト入りさせた後に、Googleが華為に対する部分業務を中止したと報じられました。報道によると、Googleは既に華為に対して、ハードウェア、ソフトウェア、技術サービスに関わる業務を中止、ただしオープンソースに関わる部分は含まないとのこと。

 Googleによる21世紀経済のメール取材への回答で確認がとれているといいます。また、Googleのスポークマンによる21世紀経済への回答によると、「我々はこの命令を遵守しているところであり、その影響について審査している」とのこと。ただし、詳細については回答が得られなかったそうです。

 華為の公式声明によると、「AndroidはスマホのOSとして、ずっとオープンソースであり、華為は重要な参加者として、Androidの発展に非常に大きな貢献をしてきた。華為はAndroidエコシステムを継続的に発展させ、使用する能力がある」としています。

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 オープンソースにより獲得可能なサービス以外に、Googleは既にハードウェア、ソフトウェアと技術サービスの移譲などの華為との部分業務協力を一時停止しています。

 これは、華為の今後の端末は「Google Play」、Gmail、YouTubeなど、オープンソースの範囲外にあるアプリが使用できないことを意味するといいます。(補足すると、よく知られていることですが、これらのサービスはもともと中国国内では基本的に使用できません)

 このほか、華為は同社のAndroid OSオープンソース(AOSP)しか利用できず、このOSはGoogleが開発している多くのサービスが含まれていないとのこと。

中国外交部の反応

 中国外交部スポークマンの陸慷は、5月20日の外交部定例記者会見にて、Googleによる華為との部分業務取引の一時停止について、「我々は正式に確認しているところであり、さらに一歩進んで積極的に事態の展開を注視している。同時に、中国政府は中国企業が法律を武器として自己の正当な権利を防衛することを支持する」と表明したとのこと。

既存ユーザー、Googleのアプリを利用できる

 華為関係者が21世紀経済報道への取材に答えたところによれば、現在、華為内部でGoogleの業務一時停止が海外市場へ与える影響について評価しているところだそうです。

 現在の華為ユーザーに、Googleは関連サービスの提供を続けるとのこと。Androidチームは5月20日、ある華為のユーザーはGoogleが米政府の最近の行動を遵守することに疑問をいだいているとし、「我々は米国政府のあらゆる要求を遵守すると同時に、Google PlayとGoogleSecurityはGoogle Play Protectを通じて提供されるセキュリティーサービスなどは、あなたが今持っている華為の端末で継続して稼働することを保証します」と表明。

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 この表明は、Google Playを訪問できる現有の華為端末のユーザーは、今後もGoogleの提供するアプリの更新が可能であることを意味する、とのこと。

 とりあえず、今持っている華為のスマホは、今後もGoogle PlayからGoogleのアプリ更新が可能ということですね、一安心です。

海外市場でHuaweiに打撃

 しかし、Googleが華為とのアプリ方面での業務往来を一時停止したことは、Googleアプリに依頼してエコシステムを利用している海外ユーザー市場にとって、直接的な打撃を与えるものだと指摘します。

 市場調査機関Canalysモバイル業務副総裁・Nicole Pengは、これはグローバル市場でSamsungを追い抜こうとしている華為にとって、衝撃かもしれないと言っているようです。

 Canalysの分析士が考えるに、華為は極めて競争力のあるハードウェアを創造したものの、GoogleのサービスとAndroid OSは国際市場の消費者にとってこの上なく重要であり、Googleのモバイルサービスを失ったことは華為のスマホ業務にとって不利になる、と指摘。

 Canalysのデータによると、2019年第1四半期、華為の中国大陸以外の市場での出荷台数は、グローバル市場出荷台数の49.4%になるそうです。ちょうど、半分くらいは海外市場で売っているわけですね。

 また、IDCのデータによれば、2019年第1四半期のスマホグローバル出荷台数は3.108億台と、前年同期の3.327億台から6.6%台減少。この状況下で、華為のQ1グローバル出荷台数は5910万と前年同期比50.3%の増加でSamsungに次ぐ第2位。なお、Appleは3640万台で前年同期比30.2%の減少となったといいます。

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 グローバル市場のなかで、華為は欧州端末市場での業績が最も目を引くものだそうです。欧州は既に華為にとって2番目の大市場となっており、2019年Q1の欧州市場では突出しており、スマホ市場シェアは西欧と中東欧で史上最高の水準に達しており、「華為スマホの供給凍結はチャネルと市場の混乱を招く」といいます。

 調査研究機関Counterpoint Researchの研究総監Neil Shahは、Googleによる今回の行動後、あらゆる米国のプレイヤーのアプリはいずれも開けたらすぐ使えるようにはならず、ユーザーは他の端末からアプリをコピーしなければならない。華為は第三者あるいは自社ブランドのAndroid兼用アプリショップから当該サービスを提供しなければならず、これは華為にとって非常に困難な任務となる、と指摘しているそうです。

 また、Nicole Pengは、理論上、華為はその競争力の高いハードウェアとイノベーションにより消費者を勝ち取ることができるだろう、そして彼らが華為のスマホを購入したあと、Googleのアプリをインストールするよう、説得することになる。しかし、「販売後インストール」はユーザーにとって非常に挑戦的だ、と指摘。

 マレーシアの評論家、Muzaffar Ismailの考えでは、Googleによる対華為部分業務往来一時停止は、華為のユーザーに「軽微な不便」をもたらすものの、その他の米国科学技術企業に非常に危険な先例を開いた、「すなわち、Googleのような米国の最もグローバル化された科学技術企業も、完全に米国政府の要求にそって行動する、これはFacebookなどの企業もすぐに後を追う可能性がある」といいます。

 「華為は中国政府の手先」扱いしてきた米国政府ですが、「Googleは米国政府の手先」って感じで驚きの事件ですね。

 Muzaffar Ismailは、ユーザーは過度にGoogleに依存しているため離れたがらないだろうが、華為と栄耀の端末はGoogleアプリの代用品を提供することができる、としているそうです。

中国市場ではユーザーに影響ない

 また、中国市場が受ける影響はもっと小さいといいます。Googleがリリースしている人気のある製品は、中国市場では代替品が存在し、Googleがこの部分のアプリを停止しても中国の華為ユーザーに直接の影響はないとのこと。

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 また、ある匿名の中国人Google関係者が21世紀経済への取材に応じ、Androidにはサードパーティー市場が存在し、さらに中国スマホメーカーは既に「ハードコア連盟」を形成しており、アプリの面でGoogleが華為との部分業務往来を一時停止したところで、華為の中国市場への影響は大きくない、と答えたといいます。

 同関係者が例を挙げて話すに、例えばWindows OSのパソコンを使用していたとして、IEブラウザとMicrosoft Officeを提供しなくなったとしても、ブラウザとオフィスソフトの代替品は見つかるだろう、ということだとか。

 前出の公式声明において華為は、「スマートフォン、タブレットPCを含む華為と栄耀ブランドの製品とサービスは、中国市場では影響を受けない、消費者は安心して使用、購入してほしい。今後、華為は継続して安全で持続発展する全場面スマートエコシステムを構築し続け、ユーザーに更に良質なサービスを提供する。この他、華為は全世界の現有製品に、セキュリティ更新とアフターサービスを提供する」と述べているといいます。

やはりプロジェクトBはある。日の目を見るか?

 また、華為はすでに「プロジェクトB」を用意しているといいます。

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(Huawei 任正非CEO)

 早くも2012年、任正非が会議で自主OSの重要性について触れたときに、「我々が今、端末OSを作るのは、戦略から出たものだ。もし彼らが突然我々の食料を断ったら、Androidを我々に使わせなくなれば、Windows Phone 8を我々に使わせなくなったら、我々は呆然とするしかないではないか?」

 さらに余承東は2019年3月、米国科学技術大手が華為にOSの使用許諾を出さなくなる状況に対応するために、「華為は既にスマホとパソコンの専用OSを開発した」と話しているとか。

 「我々は自分の操作システム(OS)を準備できている。もしこれらのシステム(Android)が継続して使用できないのなら、我々にはプロジェクトBを開始する用意がある」

 Muzaffar Ismaiも華為の「プロジェクトB」に期待を寄せており、「華為がGoogle撤退後にすぐプロジェクトBをリリースすることを期待する。華為がこの局面を跳ね返すことになると考えている」と話しているそうです。

総評

 「自前OS」、大丈夫なのかと不安もありますが、華為のユーザー数から考えれば、けっこうやれてしまうのでは、という気もしますね。それに、もしプロジェクトBが成功すれば、米企業によるOS独占を打ち破ることにも。今後の動向に注目しましょう。

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