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ファーウェイが「養豚事業」に進出。計画名は「革命聖地」から

 多数の中国メディアが報じるところによると、華為(Huawei)CEO・任正非は最近、「南泥湾」計画を発表しました。毎日経済新聞によると、「南泥湾」計画とは石炭、鋼鉄、音楽、スマートディスプレイ、PC、タブレットなどの領域の突破を含む「生産自救」であり、任正非は「華為はスマホ事業に頼らなくても生き残れる」と話したとのこと。

 プロジェクト名の「南泥湾」に込められている意味、注目の「養豚事業」についてお伝えします。

自力更生の聖地「南泥湾」

 おそらくプロジェクト名を見た多くの読者は「みなみどろわんって何だ?」とお思いでしょう。一言でいえば「日中戦争の頃、共産軍が自給自足のために開拓した無人の荒野の地名」です。

 「南泥湾」の故事を歌った同名の革命歌曲は、おそらく中国人なら誰でも知ってるので、まあ十億人くらいは歌えるのではないでしょうか。

  華為とは直接の関係はありませんが、この歌を先に中国風味の表現で知っておいたほうが「華為の気合いの入れ方とノリ」が伝わると思うので、中国国営通信社「新華網」2019年01月04日の記事を翻訳する形で紹介します。

「花篮的花儿香,听我来唱一唱,唱一呀唱,来到了南泥湾,南泥湾好地方……」(訳注:前出「南泥湾」の歌い出し)南泥湾、この輝かしい名前は、中華民族の自力更生、艱難辛苦の創業精神を背負うものである。

 抗日戦争が対峙段階に入ってから、長期戦による消耗、日本軍の大規模「掃討」、国民党頑固派による軍事包囲と経済封鎖、更に連年の自然災害と非生産人員の大量増加により、陝甘寧辺境(訳注:中国西北の共産軍根拠地)は深刻な物資難に陥っていた。(略)

 1941年春、冷たい北風を受けながら、「一本の鍬に一丁の銃、生産自給で党中央を守れ」の号令下に、王震率いる三五九旅(部隊)の戦士たちは(略)南泥湾に到着すると迅速に荒野を開拓し、(略)上は旅長から下は勤務兵、炊事兵まで、一律に生産労働に参加した。(略)

 一年余りの艱難辛苦の末、昔日の荒野、沼地の「爛泥湾」(訳注:「腐った泥湾」、「な」と「ら」を混同する方言からのダジャレ)は到るところ麦穂と牛羊となった。

http://cpc.people.com.cn/n1/2019/0104/c421684-30504051.html

 以上が「南泥湾」の故事ですが、華為集団全体で荒野を開拓し自給自足体制を確立するとの意図が込められているとの見方が、中国のインターネット上で多く見られます。まあこれは、「天王山」とか「関ヶ原」と書いてたら「天下分け目の合戦ね」と感じるくらい、普通の読み方だと思います。

「端末事業は売らない」 南泥湾計画とは

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(Huawei創業者兼CEO 任正非)

 上海証券報によると、2月9日、任正非は山西省太原にて「スマート鉱山イノベーション実験室」開室式典に出席した際、次のように述べたと言います。

 「端末これすなわちスマホと理解してはならない、人と物を繋げるものはすべて端末だ。例えば自動車の無人運転に使うフラッシュレーダー、家庭のガスメーター、水道メーター、テレビ、みな端末であり、スマホは端末の一部分に過ぎない。よって、華為は永遠に端末事業を売ることはない。我々は5G技術を移譲したとしても、絶対に端末スマホ事業を売ることはない」

 「華為は事業領域を拡大することはない。電子システム、ソフト、コンピューター、これらのシステムを様々な業界で運用することが要だ。華為は石炭業が「少人、無人、安全、高効率」を実現することを助けていく」

 証券時報によると、この式典後、任正非はメディアの取材に対して初めて「南泥湾」計画に言及し、「米国の制裁から一年余、華為が生存できるとの私の確信は更に大きくなった、小さくはならない。我々はより多くの困難を克服する手段をもつようになったからだ。我々は『南泥湾』計画を展開する。この名前は、「生産自救」を指す。たとえば、石炭、鋼鉄、音楽、スマートディスプレイ、PC、タブレットなどの領域でも非常に大きな突破ができると思う。よって、華為はスマホ事業に頼らなくても生き残れる」と話しました。

華為と「スマート養豚」

 この「南泥湾」計画に呼応する形で、2月15日、華為機器視覚総裁・段愛国が自身の微博アカウントで、「スマート養殖業に貢献します」「御用があればご連絡ください」とのコメントを添え、「華為スマート養豚ソリューション」のバナー写真を投稿、「華為養豚事業に進出」と話題を呼びました。

 毎日経済新聞によると、この養豚システムでは計器監視、ビッグデータ分析、デジタル化管理、AI識別、AI学習、AI予測、AI意思決定等を提供し、また、標準化、システム化によって、全感知監視、ロボット巡回、自動・リモート管制を実現するものとのこと。

 華為の「スマート養豚」は突然降って湧いたものではないようで、以前にも任正非はメディアへの取材に「もし自分は大学に受からないとしても、養豚は首席になるかもしれない」と話していたとか。

 また、昨年10月、2020農牧デジタルエコシステム発展論壇でも、華為は「5G現代養豚場スマート養豚」の報告をしているそうです。

 これによると、未来のデータは現代養豚の核心要素であり、養豚スマート化の原動力だといいます。従来の「人による管理」から未来の「データによる管理」を主とし、養豚場をデータ管理する過程で、AI技術を運用してより多くの科学的な意思決定をすることで、養豚の標準化とシステム化を実現するとしています。

総評

 「南泥湾計画で養豚進出」と聞くと、八路軍三五九旅部隊よろしく全社員総出で荒れ地に養豚場を開拓する絵を想像してしまいますが、華為の目指す養豚は「人からデータへ」なので、どちらかと言えば絵としては逆の方向になりますね。

 但し、任正非が「生産自救」と称しているとおり、その狙いはかつて自給自足のために荒野を開墾した「南泥湾」の名前に込められているようです。

 三五九旅部隊の郝樹才という戦士は、一日で28アールを耕す記録を打ち立て、毛沢東から「气死牛(怒り狂った牛)」と称されたそうですが、華為の「南泥湾」計画で活躍すれば、豚だと冴えないので、さしずめ「气死野猪(イノシシ)」でしょうか。

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