弊誌はアフィリエイト広告を利用しています。

日本電波行政最大の「怠慢」。SoftBankのiPhone用SIMをAndroidで無理やり使う、驚きの「特殊事情」

 大手三社は長らくオンラインショップで、機種購入を伴わないSIM単体契約はできませんでしたが、最近はひっそりとできるようになっています。

 筆者はiPhoneも使うものの、主にAndroid端末を使うことが多いのですが、今回あえてiPhoneで契約しています。それはなぜなのか?良い機会なので、そのワケを説明します。

驚くべきSoftBank SIMの仕様

口だけの「分離」、差し替え困難な仕様を看過する監督官庁

 SoftBankは機種ごとにSIMカードを細分化という、にわかに信じがたい、極めて使い勝手の悪い仕様。つまりiPhoneを買ったらiPhoneでしか使えず、Android端末を買ったらSoftBankのAndroid端末でしか使えません。

 ではiPhoneからAndroidにSIMを差し替えたり、その逆をしたりする場合はどうなるのか?前述の通りiPhoneとAndroidはSIMカードが別。なのでSIMカード発行が必要、手数料3000円(税別)が発生します。端末に差し替える度に手数料3000円?ありえない。

 特にAndroidはIMEI制限で厳密に区分けがされています。Android OSを採用するシャープやソニーの端末をSoftBankで買うと、SIM差し替えも自由にできません。米国企業のiPhoneが優遇されているというわけ。「端末分離」で値引きだけは規制しておきながら、分離に最も反する携帯キャリアのSIMカードの仕様だけは看過し続けている監督官庁の目は節穴ではないのか、本当に心配になります。

突破口は「iPhone持ち込み契約」、接続は「公然の秘密APN」で

 Android用契約のSIMカードの場合、IMEI制限のせいでiPhoneやSIMフリー端末では利用できません。不便ですね。

 しかしヘビーユーザー的には、対応バンドの観点からSoftBankのSIMカード自体には利用価値があります。

 ではこれまでどうしていたかというと、iPhoneを購入して、それをSoftBank旗艦店に持ち込み契約してきました。なぜなら、iPhone用SIMカードを挿して非公開APN(jpspir)を打ち込めばSIMフリーAndroid端末でも利用可能だからです。(APNの詳細については後述。)

 SoftBankでAndroidもiPhoneも頻繁に差し替えて使うにはこの方法が最適です。SIMカード再発行手数料3000円を支払う必要もありません。

 ならSIMフリー版iPhoneを持ち込み新規契約しよう……となるはずですが、ソフトバンクは端末の持ち込み契約によるSIMカードのみの契約を認めているものの、実態としては多くの場合「単体契約用のSIMカードは在庫がない」などと断られるため、数少ないソフトバンク旗艦店にまでわざわざ出向く必要があるのです。利便性も何もあったもんじゃありません。一体何が「分離」なのか。

 ところが、最近ソフトバンク公式サイトからiPhone用SIMを単体契約できるようになったので、少なくとも「わざわざ旗艦店までiPhoneを持って出向く」という不毛な儀式は省略できるというわけ。おうちからサクッと契約できます。

ネットでSIMを単体契約

すぐに届いて驚く

 SoftBank公式サイトからSIMカード単体の契約を申し込みます。アッサリ新規契約が完了します。

 依然としてiPhoneのIMEIの入力自体は必要。SIMフリー版でもOK。自分は大容量プランを契約。本人確認書類は写真でスマホカメラで撮って提出可能。

 申込みから2日で届きました。

SIMカードを挿入

 SIMカードを切り離し、トレイに挿入。iPhoneならすぐに繋がります。前述の通りAndroidなら「非公開APN(jpspir)」を設定すれば通信できます。

(昔は『黒SIM』なんて呼ばれていましたが、今は真っ白になっているようです)

 この非公開APNは、公式サイトには記載されていませんし、弊誌でもこの話題に触れる時は、その詳細な記述を避けてきました。さすがにそのうち直ると思っていましたし、一応非公開だからです。

 しかし、まさかこのAPNが登場して約10年、直りませんでした。SIMカード種別の細分化も、IMEI制限も、APN非公開も、まったく監督しない監督官庁。それでいて通信と端末の分離を推進しているつもりなのだから、呆れます。

 実際公開されていないと使い物にならないので、最近だと一部のSIMフリーWi-FiルーターやXiaomi端末などにはこの非公開APNがプリセットされており、事実上公然のAPNとなりつつあります。今回の記事では以下の通り、接続設定も詳述します。

AndroidでiPhone用SIMを使うAPN

  • Android→設定→接続→モバイルネットワーク→APN→追加→下記表内設定を入力→保存
APN jpspir
ユーザー名 sirobit
パスワード amstkoi
MCC 440
MNC 20
認証タイプ PAP または CHAP
APNタイプ default,mms,supl,hipri,dun

 とにかく、iPhone用のSoftBank SIMさえ入手してしまえば、APNを打ち込んでSIMフリー機でも利用できるというわけ。

(どんな組み合わせでも5Gに繋がるわけではありません。今回5G対応のiPhone 12 miniを持ち込み契約したSIMカードを、SIMフリー版Xperia 1 IIに挿入、5G通信を掴んだ)

総評

 日本国民の資産である電波を認可されている大手通信事業者のSIMカードが、米国企業のiPhoneを購入しなければまともに利用できない。こんな異常な状態が未だに看過され続けている、せめて分離プラン導入の時点で是正していないのは本当にマヌケとしか言いようがないですが、とりあえず旗艦店に行く必要はなくなりました。本当に総務省は肝心な部分で仕事をしていなくて残念です。

(総務省が最近公開した『携帯電話ポータルサイト』。IMEI制限/SIM細分化問題は長年弊誌記事およびTwitterでも何度かやんわり触れてきましたが、是正されず。わざわざ税金で作ったしょうもないサイトで『ソフトバンクのSIMは20種類あるので注意しましょう』という記述には、『いやそれを是正するのが仕事だろ』とさすがに腸が煮えくり返り、今回の記事を公開しました)

続報:ソフトバンクの「SIM細分化」問題、今後「同一化」。iPhoneとAndroidで自由に差し替えに期待

すまほん!!を購読しませんか?

Twitterでも最新更新を配信・通知しています

フォローする 再度表示しない