米Qualcommは、2021年12月1日に開催されたSnapdragon Tech Summitで、同社のフラッグシップスマートフォン向けSoC「Snapdragon 8 Gen 1」を発表しました。同SoCは、今後発売される各社の旗艦Androidスマートフォンに搭載される見込みです。
新しい「Kyro」CPUは、サムスンの4nmプロセスで製造され、いずれもArm社の3.05GHzのCortex-X2、2.5GHzのCortex-A710×3、1.8GHzのCortex-A519×4の構成となっています。内部構成は、MediaTekが先日発表したDimensity 9000とほぼ同等。Cortex-X2コアは、先代のSnapdragon 888に搭載されていたArm社のCortex-X1の後継モデルで、パフォーマンスは20%向上し、最大30%省電力になっているとのこと。
また、新しい「Adreno」GPUは、前作と比較してグラフィック性能が30%向上。Snapdragon Elite Gamingシステムにより、「デスクトップレベルの性能」を実現するとのことです。
また、カメラ性能も大幅強化。18ビットの画像処理プロセッサーを搭載し、毎秒32億画素の画像を撮影できる処理性能を持っているとのこと。これは、先代のSnapdragon 888と比較して約4000倍の性能向上となります。また、モバイル端末向けSoCとしては初となる8K HDR+での動画撮影にも対応しています。
「Snapdragon 8 Gen 1」は、もちろん5Gに対応。「Snapdragon X65」5Gモデムにより、下り10Gbps、上り3.5Gbpsの5G通信と最大3.6GbpsのWi-Fi 6/6E通信を利用できます。
先述のとおり、このSoCの製造はサムスンが行うことが判明しています。しかし、既に製造における問題も生じているとのこと。台湾メディアのDIGITIMESによりますと、サムスンのチップ製造は、サイズや電力効率の点で、TSMCの製造するチップに劣っており、Qualcommはこの点に不満を示しているようです。
TSMCは、自社のほとんどの生産能力を使用し、Appleに向けてiPhoneやiPad用のA15チップやMac用のM1チップを製造しています。先日発表されたMediaTekのDimensity 9000もTSMCが製造するため、TSMCの生産能力はいっぱいいっぱいの状況。そのため、Qualcommは仕方なくサムスンに受注した可能性があります。万が一製造途中でTSMCの4nmプロセスでの製造が決定した場合、SoCの製造元の違いによってパフォーマンスに差が生じ、当たり個体とハズレ個体が存在してしまう可能性もあります。
先代と比較して電力効率や性能がさらに向上している「Snapdragon 8 Gen 1」、採用するメーカーにとっては、実装できる機能がさらに増え、より魅力的なデバイスを製造することが可能となりそうです。先代で発生していた発熱問題なども解決することはできたのでしょうか。今後の詳しい情報に期待が高まります。