ロシアによるウクライナへの全面侵攻開始を受けて、米CNBCなど複数の海外メディアは、チップ製造の素材の多くをロシアとウクライナが供給しているため、影響が出る可能性があると報じました。
ウクライナは米国のチップ製造で回路に転写する露光過程に必要な半導体グレードのネオンの実に90%以上を供給。希ガスであるネオンはロシアの鉄鋼製造の副産物でもあります。
また、米国にセンサーやメモリなどに必要なパラジウムを35%供給しているのはロシアとのこと。
匿名を条件としてロイター通信に語った日本のチップ業界筋は、チップメーカーは直接影響を感じていないが、半導体製造用材料を供給する企業はロシアとウクライナからネオンやパラジウムを購入しており、既に高い入手難度のこれらの素材の供給がさらに圧力を受ければ価格を押し上げ得るため、チップ価格に打撃を与える可能性があるといいます。
ロシアは2月24日、親露派が支配するウクライナ東部への派兵に留まらず、ウクライナへの全面侵攻を開始、全土のウクライナ軍の80以上の施設を攻撃。欧米寄りのゼレンスキー政権転覆を狙っているものとみられ、ロシア地上軍がベラルーシ方面などから首都キーウ(キエフ)を目指して侵攻しており、首都近郊のホストメリ空港がロシア空挺軍に一時占拠されるなど事態は切迫しています。
米国は同盟国とともに、対イラン制裁決議違反のファーウェイに行った制裁のような、強烈な制裁をロシア各産業に実施することを検討していると伝えられています。
ただでさえ昨今需要旺盛で半導体が不足しているなか、長期的に様々な影響が想定されます。