3月3日まで行われていたモバイル見本市「MWC 2022」では、多くのスマホメーカー・ブランドが自身の技術を結集させたハイエンド・コンセプトスマホを発表しました。一方で携帯電話の老舗ブランドであるNokiaが発表したスマホは3機種すべてが軽量なAndroid 11 Go Editionを搭載するローエンドクラスのスマホでした。
Android Authorityは、Nokiaブランドを展開するHMD Globalに今後の展望などを取材。
Android Authorityに回答したHMD GlobalのAdam Ferguson氏は「現時点で、800ドルのスマホを作ることは意味がない」とはっきり述べたとのこと。同氏はHMDのプロダクトマーケティング責任者を務めており、これはHMD Globalがハイエンドモデルの発表に関心がないことをハッキリと認めた形になります。
同氏はまた、「他のプレイヤー(競合他社)との大規模なスペック戦争に巻き込まれたくない」とし、逆に「まったく異なるものに立ち向かいたい」と付け加えたようです。
HMD Globalは非エンジニアの元Nokia社員などが2016年に立ち上げたフィンランドの企業で、スマホ/タブレットでNokiaブランドをライセンスされています。設立直後は販売台数も盛り上がっていたものの、競争力に欠ける端末や安価な競合端末の高機能化から状況は悪化していました。
Nokiaがハイエンドスマホをリリースしたのは2019年の「Nokia 9 PureView」が最後。背面に1200万画素のカメラを5つ搭載しており、今見ても唯一無二でモダンな雰囲気を感じさせはしますが、アプリなどのパフォーマンスがかなり悪く、様々な場面での最適化が不足しているといった旨をAndroid Authorityは当時のレビューで述べています。
さてHMD Globalのスマホ・フィーチャーフォンの出荷台数を確認すると、2019年末に大きく落ち込みながらも回復。2020年の第三四半期以降では利益を上げるようになったとのこと。先日のNokia Cシリーズの発表の際にも、HMD Globalは2020年から2021年にかけてスマートフォンでの収益は41%増加したことを報告しています。Nokia 9 PureView以降の「ハイエンドスマホで勝負しない」といった同社の姿勢は成功したといえるのではないでしょうか。
まとめると、HMD Globalとしてはハイエンドで勝負せずローエンドとミドルクラスで収益を得るといった戦略へと完全にシフトしており、うまくやれている現状を無理に壊す必要はない、といったところ。
Nokiaブランドのハイエンドスマホは少なくともしばらくは見られないというのは寂しくはありますが、これも中国から出てアフリカで花咲いた伝音(TECNO)と同様に、競争の激しいスマホ業界で生き残る一つの道ということでしょう。
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