Nokiaブランド復権はあるのか?「HMD Global」を人員から分析 すまほん!!

 現地時間8月11日、Nokiaブランドの携帯電話とタブレットの独占ライセンシーであるHMD Globalが、GoogleやQualcomm、その他パートナー企業や非公開の投資家より計2億3000万ドル(約266億円)調達したと発表しました。

Super proud to announce that HMD Global, the home of Nokia phones, has raised 230 million USD funding. The investment will further fuel HMD Global’s strategic vision. Read more here: https://t.co/yggZ7Gt8Ed#nokiamobile</a> pic.twitter.com/bhzgfXHemT

— Juho Sarvikas (@sarvikas) August 11, 2020

 中国メーカーが軒並みアメリカの制裁を受ける中、比較的競争力がありかつフィンランドの企業であるHMD Globalに目をつけたという感じでしょうか。HuaweiやXiaomiは毎年1億台以上スマートフォンを出荷していますが、もし制裁で自分たちの製品を採用してくれなくなった場合に備えて、どこか別に採用してくれているメーカーを支援し販売台数を増やさせる……という意図が考えられます。

 この機会に、HMD Globalの現状を振り返ります。

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 HMD Globalは2016年に設立され、Nokiaより携帯とタブレットのブランドを独占的にライセンスされている企業です。2017年、2018年はブランド復活のインパクトや、ラインナップの充実から世界シェアTop10にまで駆け上りますが、以降は発表する端末こそ多いものの、競争力に欠ける端末、競合する中国メーカーのミッドレンジ機の高機能化などから、企業の成長とは反対に端末の出荷台数自体は落ちて行きました。

 表面的な問題とは別にもう一つ気になるのが今のHMD Globalの体制です。まずHMD Globalの触れ込みは「元Nokia幹部たちの手によるNokia端末の復活」でした。

 たしかにLinkdInで確認すると、幹部陣は2000年初頭よりずっとNokia端末に携わって来た方々ばかりで、今日まで多少の入れ替わりがありつつも実は過去にNokiaに在籍されていた方だったりと、そのほとんどが元Nokia社員で固められています。

2017年末→2020年8月現在

 各地域の担当者もNokia→Microsoft Mobile→HMD Globalとそのまま引き継いでる方が多いようですが、問題は研究者や開発者がほとんど確認できないということです。

 つまりどういうことかというと、Nokia時代に三段階可変絞り機やClearBlack、PureMotion HD+、なによりもあのPureViewカメラに携わった開発者が、ほとんど在籍していないということです。

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 とくにPureView開発者についてはMicrosoft Mobileの解散ということで解雇された後、大半がHuaweiに、その他スタートアップに移動していたため、Nokia 9 PureViewはその名を冠しながら、イメージングの開発者がほとんど在籍していない状況だったと考えられます。

(Nokia 9 PureView)

 MicrosoftはNokiaからそのまま事業を引き継いだため、社員のほとんどがエンジニア、マーケティング含めほぼ元Nokia社員でした。しかし解散後に設立されたHMD Globalは、マーケティングや人事、サポート担当といった非エンジニアの方々のみが移ってこられ、エンジニア系の方々はほぼ来なかったことがわかります。

 Nokiaの開発拠点は現在四か所あり一つは本社であるフィンランド・エスポー、デザインチームがいるイギリス・ロンドン、ハードウェアについての研究を主にする中国・深セン、そして先月新たに設立されたセキュリティー関連の研究を主にするフィンランド・タンペレです。とくにこのタンペレ研究所は土地柄、イメージングのスタートアップや研究所が多くあり、元Nokiaの開発者も沢山いるため今後のHMD Globalのカメラ開発拠点になる可能性があります。

 今回の資金調達はラウンドAのほぼ最終段階であり、次のラウンドBではより研究開発に力を入れることになるでしょう。そうなるとより競争力の高い機能の開発や、品質の向上が期待できます。

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 しかし社員が増えるということはそれだけ元Nokia社員の割合が減るということです。HMD GlobalがいつまでNokia的であることにこだわるのかわかりませんが、最近のタンペレ研究所開設を見るとハードウェアだけでなく、サービスも提供する企業に変化しようとしています。設立当初は数百人程度だった従業員も、今では1000人を超え元Nokia社員の割合は約4割、この割合は今後徐々に減っていくと思われます。

LinkdInより作成。登録されていない方もいると思われるためあくまで参考です。

 今後HMD GlobalとそのNokia端末がどうなるのか期待大ですが、どこか遠ざかるHMD Globalに少し寂しさを感じます。