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前機種ネガほぼ全潰し!シャープ本気のAQUOS R7はココが凄い

 前機種のネガほぼ全潰しの本気機種!

 シャープは旗艦スマートフォン「AQUOS R7」を正式発表しました。やはりカメラはセンサーサイズが圧倒的優位性。筆者はデジカメ級の1型センサーを搭載したAQUOS R6ユーザーでもありますが、R7の進化点を見た感想として、率直に「これは欲しい!」。

 AQUOS R6で最大の弱点だったのがAFのダメさ。大型の1型センサーを採用することで画質の優位性を得た一方で、被写界深度の浅さもあいまってオートフォーカスの馬鹿さ加減には辟易。アップデートで随分マシにはなりましたが。やはり補助用のレーザーAFに頼っている関係上、太陽光などの影響を受けてしまいます。

 そこで今回は全画素でフォーカス位置を検出する像面位相差AF(全画素Octa PD AF方式)に対応。AF速度は従来機比2倍に高速化したといいます。

 これにより弱点のあるレーザーAFを廃止。かわりに高感度測距用センサーを搭載し暗い場所でもナイトポートレート撮影が可能に。

メインカメラの左側に高感度測距用190万画素センサーを備える。

よりLeitzを打ち出すブランド戦略によりカメラ部にはLeicaではなくLeitzロゴに。Leica製品をシャープが作っている関係上、Leitz Phone後継機に関しては現時点では非言及。第2期目に突入した提携ですが、これまでの経験でLeica側の意図や思想が汲めたためR7ではより反映された画質処理になっているといいます。

 さらに瞳AFや、犬/猫/人間をAIで追跡し合焦し続ける機能にも対応します。Xperiaを彷彿させる新機能ですが、被写界深度の浅い1型カメラ搭載AQUOSにこそ待望。人間の場合は近くでは瞳AFに切り替えます。

 レンズはF値1.9/焦点距離19mmのズミクロン。AQUOS R6は独特のレンズフレアがけっこう見られましたが、ナノオーダー低反射処理によって反射を60%削減しているとのこと。

ズミクロン7枚レンズ 断面図

 1型センサーによる圧倒的な画質ポテンシャルを持ちながらも、弱点をかなり克服してきているというわけです。

 しかしあえて画素数を抑えることで大きな画素ピッチを確保していたのもAQUOS R6の魅力でしたが、高画素化でどうなるのか?

 なんとピクセルビニング(画素混合)でピクセルサイズ3.2μm、非ビニングの4720万画素ハイレゾモードでも1.6μmと驚異的な画素ピッチを確保しているため、非常に強力。画素数を犠牲にして画素ピッチやAFを取ったXperia Pro-Iですら2.4μmなので、マジで凄い。

 この画素ピッチと高画素の両立により、ズーム時の画質向上にも理論上は期待できます。望遠レンズを搭載せず圧倒的一眼で全画角を担うコンセプトであれば当然たどり着く挑戦にAQUOS R7は到達したと言えます

 しかし巨大な1型センサーに加えて高画素対応で問題となるのは、相応の読み出し速度や処理性能を要求されるということ。画質を上げるほど、全画素で像面位相差AFを行うほど、発熱が問題となります。

 この点については、基本的に使われるのは高画素ハイレゾモードではなくピクセルビニングであるということに加えて、発熱対策も強化されており、カメラの下へのグラファイトシート配置やスリットを設けて放熱など筐体に発熱対策を施しており。AQUOS R6よりも発熱しにくくなっています。

 筆者はAQUOS R5G、R6のユーザーでしたので見逃せないポイントが音響とQi

 R5Gはダメ、R6でもイマイチだったスピーカーは、ユーザーの声をキャッチアップし新たに広帯域のBOX構造スピーカーを搭載することで改善を図っているようです。

 加えてR5GとR6では非対応だったQi 無線充電にも対応しているので日常的に使う上で良さそうです。置くだけ充電、周辺機器も充実していて今や無くては物足りないですからね。ストレージ容量は128GBから256GBに倍増。さらにミリ波にも。

 筐体両面にゴリラガラスVictusを採用することで強度を高め、側面はアルミフレーム。いずれも高級感に貢献していると感じます。

さりげなくキラキラしたラメ加工だがすりガラス調で指紋の付かない独特の高級感ある処理

背面 Gorilla Glass Victus

側面は音量キーと電源ボタンを配置、個人的には利用頻度の低かったGoogleアシスタントキー廃止は歓迎

上部にイヤホンジャック、microSDカードにも対応

 AQUOS R6では分厚さを誤魔化すのを狙ってエッジディスプレイを採用していましたが、せっかく綺麗なディスプレイを搭載しているのに両脇が曲がってしまっているのは少し惜しく、湾曲部分の誤タッチ抑制処理も良好ではなかったのもあって、ここはイマイチだったところ。

 R7ではフラットディスプレイへと回帰。こっちの方がディスプレイに尖った特徴を持つAQUOSシリーズらしいと言えるのではないでしょうか。

正面も側面もフラット。前機種よりもシンプルな佇まい

背面側のみ若干湾曲

 パネルは1Hz-疑似240Hz可変駆動の自社開発生産の有機EL「Pro IGZO OLED」。画面静止時の省電力な1Hz静止駆動(アイドリングストップ)をより活用するように調整しているようです。

輝度の違いが生きるHDR動画再生比較 左:最大1000nit液晶のAQUOS R5G、右:最大2000nit有機ELのAQUOS R7

 新たに搭載したフレーム補間機能はYouTubeや自身で撮った動画に有効。Qualcomm Snapdragon 8 Gen 1のチップで対応し、独自の画質処理チップはなし。前世代のQualcomm Snapdragon 888にもあったものの活用してフレーム補間するのは今回が初めて。

 加えてAI超解像にも対応、低画質動画を対象にアップコンバートします。いずれも「なめらかハイスピード」設定から指定したアプリのみ。

 大型カメラセンサーゆえに「寄れない」弱点もあったAQUOS R6ですが、R7では最短撮影距離の長さについて10%~15%ほど短くなっているとのこと。

 AQUOS R6の最大の不満点がカメラUIで、こちらの記事の通りカメラの作法やスマホカメラの定番UIを無視し、「画角変更が煩雑すぎる」「意味不明な数値表示」「カメラ設定が保持されない」「カメラ設定とプレビューが被って邪魔」等、非常に使い勝手の悪いものでした。

 しかしこうした多数のおかしな点が一挙解消。お気に入り設定を記憶するモードが新設され、ポテンシャルを引き出しやすいカメラUIへと変貌を遂げていました。

 現時点では開発段階のためハンズオン用実機ではカメラアプリが試せず、あくまで特定機能の展示コーナーや開発者の機種でのみ確認しており、写真をお見せできないのは残念ですが、特にマニュアルでもっと楽しみたいとフラストレーションを感じていたAQUOS R6ユーザーには必見です。なおハードウェア依存部分や開発工程の関係上、アップデートでR6への適用はできないとのこと。

 ちなみに今回導入されたRAW HDRというのは、最近出てきた深度情報などを含む新概念のRAWというわけではなく、工程にJPGを挟まないHDR合成処理を指します。RAW HDR利用時にRAWを保存できないのは従来どおり。新しい工程の導入でより高速に、ゴースト等の少ないより綺麗なHDR写真を実現できます。AQUOSの進化余地はまさにHDRであっただけに喜ばしい点です。

 なお1型センサーでカメラシステムが大きく厚い関係上、これらを物理的に動かすことになるOIS(光学式手ぶれ補正)の実装はさらなる厚みを招来するため当然難しく、この点はカメラセンサーの感度によってカバーします。

 AF弱い、エッジが微妙、カメラUIがダメすぎる……AQUOS R6は尖ったカメラシステムゆえに複数の課題を持っていましたが、それらに本気で取り組みつつ、さらなる高みに挑戦するAQUOS R7。それでいて大容量5000mAh電池や高速広範囲のQualcomm 3D Sonic Mac超音波指紋認証などの良さは継承。もちろんIP68でおサイフケータイもあり。筆者の物欲もかなりそそられました。

 AQUOS R7の取扱事業者はNTTドコモとSoftBank。発売日は2022年7月以降。キャリア版の発売日や公開市場版、Leitz Phone後継機の登場にも期待したいところです。特にビニングやズーム、HDRなど画質処理が重要になる場面では実機を確認しなければなりませんので、発売が待ち遠しいですね。

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