2022年第1四半期における、高性能スマートフォン向けSoCの出荷台数において、Samsungが台湾のTSMCを抜き世界1位となったことがわかりました。
市場調査会社Counterpoint Researchのデータによると、2022年第1四半期における、5nm以下のプロセスで製造された高性能アプリケーションプロセッサおよびSoCの出荷台数は、Samsungが市場の60%を占め、世界1位になったとのこと。
一方のTSMCは、市場シェア40%という結果となりました。
2021年第1四半期のSamsung製高性能チップの市場シェアはわずか8.6%。TSCMはシェア91.4%と大きくリードを許す展開となっていました。しかし、Samsungは、米QualcommのSnapdragon 8 Gen 1の製造を担い、1年で大幅に市場シェアを奪還。出荷数においてTSMCを一歩リードしました。
ただし、Samsungは今後も厳しい戦いを強いられる見通し。というのも、Samsungは、最近歩留まり率の低下に頭を抱えており、Snapdragon 8 Gen 1の製造を担う4nmプロセスのみならず、次世代3nmプロセスのチップ製造においても不良品率の高さが深刻。その結果、最新のSnapdragon 8+ Gen 1の製造をTSMCに奪われるなど、低迷が続いています。
そもそも、高性能チップセットを大規模に製造できる企業は数少なく、現在市場をSamsungとTSMCが独占している状態。特にTSMCは、SnapdragonだけでなくApple製デバイス向けチップも製造しており、今後TSMCがシェアを回復し、Samsungに大きく差をつける可能性があります。
半導体の微細化が進み、ムーアの法則の限界も近づいているとささやかれる中、技術的な面で抜きん出ている2社。更なる微細化に進むのか、それとも歩留まり率の向上を優先するのか、選択によっては、2社の向かう先が大きく変わってきそうです。