米商務省産業安全保障局が8日、Huaweiへの制裁に関する規則を公開しました。「国際標準化活動への米国の利害関係者の参加を支援するため、公平な競争の場を提供」と題し、名指しで制裁対象のHuaweiとその関連企業との取引に関する規則を明確化し、米国のリーダーシップを維持すると述べています。
アメリカは2019年5月、Huaweiとそれに関連する多数の企業をエンティティリスト(取引制限リスト)に追加しました。その影響でGoogle Mobile Service(GMS)を搭載できなくなったり、子会社HiSiliconがSoC「Kirin」を製造できなくなったりするなど多大な影響を受けています。ただ、5G機能が削除されたSnapdragonチップなど一部は取引が認可されて来ました。
業界の国際標準規格は商業的にも国家安全保障にも必要とした上で、制裁により制裁対象の企業が含まれる国際標準化団体への参加が妨げられているという懸念があるとのこと。そのような、制裁対象の企業と「低レベルの技術」を共有することにライセンスを必要とするかどうかという不確実性を取り除くため、規制を明確化するというのが今回の主旨です。
Bloombergは「米政府は中国の政府と大企業が国際的な技術の標準化を進める技術グループで大きな役割を果たし、国家安全保障の脅威とみなす企業に理論上米国が競争力を与えていることを懸念している」と述べています。
今回の規則のは、「公開される」技術やソフトウェアであれば制裁対象の企業へライセンスなしで取引できるようにするというもの。「公開される」ものに限定しているのは、アメリカの独自技術が意図せず移転されるリスクを減らすため。
これにより米国企業が国際標準規格を全面的に主導しつつ国家安全保障に有害な技術移転を引き続き防止できるとしています。
この変更はHuaweiだけでなく同様に制裁対象の関連企業にも適用されますが、ライセンス以外の輸出規制が適用され別途認可が必要になる場合があるとのこと。
確かに緩和と言っていいと思いますが、問題はライセンスなしで取引可能になるものはどこまで含まれるのかというところ。連邦官報曰く承認内容は「低レベル、非機密、および広く利用可能なもの」とのこと。
5GやGMSがどうなるかは不明。Huaweiは独自のHarmonyOSとHMSを提供しているため、GMSが再度使えるようになったとしても採用しないと伝えられています。
なお、Huaweiと同様に制裁対象だったZTEは「トランプ大統領(当時)の習近平主席への個人的な厚意」を理由に制裁緩和となり、最終的には罰金の支払いなどを条件に制裁を解除済み。
今回の内容を見る限り大幅な進展があるかどうかは疑問ですが、今後の動向に注目です。