スナドラ695なのに限界突破!ハイエンドを超越する「AQUOS sense7 plus」レビュー すまほん!!

 動画プレイヤーに欲しい、ハイエンドを超えるミッドレンジ!!!!!

 SHARPよりAQUOS sense7 plusを一定期間貸与していただいたのでレビューします。

 本機はミッドレンジながらも防水防塵おサイフケータイ、MIL規格までクリアした全部入りモデル。

シンプルな化粧箱

機種以外はクイックスイッチアダプターとスタートガイドのシンプルな内容物。充電ケーブルなどはなし

6.4型の大画面、寸法160×72×8.2mm、重さは172g。重量実測値は172.3g

電波を通さない金属筐体なのでアンテナラインやカメラ部分にFeliCaといった工夫が見える

 Snapdragon 695 5Gを搭載したミッドレンジスマートフォンとなります。性能はこんなもの。3Dゲームは設定を落として妥協すればプレイ可能な水準。

  • AnTuTu v9.4.4:392276
  • Geekbench 5.4.4 Single-Core:652
  • Geekbench 5.4.4 Multi-Core:1873
  • Sling Shot Extreme OpenGL ES 3.1:2885
  • Wild Life Extreme Unlimited:353, 2.1fps
OS Android 12
(OS更新最大2回、セキュリティ更新3年)
SoC Snapdragon 695 5G
メモリ 6GB
容量 128GB
画面 6.4型 (2340 × 1080)ドット
カメラ 23mm f/1.9 1/1.55“センサー 50.3M
15mm f/2.4 8M
インカメラ 800万画素
電池 5050mAh
寸法 約 W76 × H160 × D8.2mm / 約172g

 正直なところ今年のSoCは不作で、Snapdragon 695自体が微妙な上、このSoCを搭載する機体が多すぎて飽き飽きしていると思います。さらにCPUやGPUだけでなく、カメラ画質処理を担うISP/DSPも低性能なので、スナドラ695と聞いた時点で「もういいわ」と食傷気味に感じる読者諸氏も少なからず居るかと思います。

 しかしちょっと待って下さい、本機はその限界に迫り、そしてSoC以外の専用チップを別途搭載することで、部分的にはハイエンドをも超える仕様を持っているのです。

 まずはカメラから。撮像素子はメイン広角とサブ超広角の二眼構成。特にメインは、1/1.55型という廉価モデルとしてはかなり大型の撮像素子を搭載するのが特徴。Xperia 1 IVやiPhone 13 Proよりも大型。

廉価モデルにしてはボケる

後述するように普段は写りやHDRは控えめ、夜景などは同SoC搭載機の中でも頭一つ抜けている

 カメラシャッター音は上質で静か。カメラUIはAQUOS R7同様、大幅に改善し使いやすくなっています。

 それでは実際の作例を見ていきます。以下、左がAQUOS sense7 plus、右が高級ハイエンド端末Xiaomi MIX Fold2。まずはメイン広角。どちらも撮像素子のサイズは同程度。微妙な曇りのシチュエーション、ぱっと見は普通。Xiaomiの方が露出高めで若干派手め。

 露出がわずかに低めに写ることが少なからずあったので、適宜タップ+左右スライドで好みに微調整すると良いでしょう。なお発表時点の試作機に感じていた手ブレが起きやすい問題は解消していたように感じます。

 こちらは超広角。

望遠カメラは搭載せず、メインのデジタルズームで担う。細部の塗り潰し感が拭えない

 光量多めの明るい場面ではHDRは控えめの傾向で、発売直後のAQUOS R7を使った時などに感じたのと同じ印象。

HDRは控えめ

HDRながらも電車の上から垣間見える景色を描写するには全体の露出を下げる必要がありダイナミックレンジは狭め

 いくら大型の撮像素子を搭載しても、画質処理がダメなら無駄です。ハードもソフトも両立しているAQUOS R7で培った画質処理ノウハウを注ぎ込んでいるのが本機の特徴です。緩急付けているのでしょう。たとえば料理はしっかり美味しそうに撮れています。

オート 料理判定。美味しそうに撮れる

 左はAQUOS sense7 plus、右はXiaomi MIX Fold2。甲乙付けがたい。

 特に凄いのが夜景。

 以下、1枚めがiPhone 14 Pro、2枚めがAQUOS sense7 plus。

 東京駅は夜景らしい夜景ですが、それよりも暗いロケーションでテスト。

ナイトモード。広角に限定される。オートで夜景判定の場合は超広角の利用も可能

ギャラリーに飛ぶと処理待ちとなり、合成処理が走っていることがわかる。こうしたバックグラウンドで後処理を実施している挙動は他機種でも見られる

 処理完了後、こちらもかなりはっきり明るく撮れています。本当に廉価モデルなのか……と驚かされます

Snapdragon 695搭載機としては本当によく撮れていて素晴らしい。ただし最新一流ハイエンドと比べれば屋根のノイズや空などのズレた色は気になる

参考:別日同一ロケーションのSnapdragon 695搭載機 OPPO Reno7 A 滲みノイズだらけで細部も潰れる

同日同一ロケーションのiPhone 14 Pro、暗くてぱっとしないが決してノイジーではなく屋根のシャドウが潰れきっていることはなく一応の及第点ではある

参考:別日同一ロケーションのAQUOS R7、さらに線路上地面に至るまでしっかり描写する堂々の最新一流ハイエンドらしい画

 カメラ画質は良好であるものの、カメラ動作が若干重く感じる場面がありました。低性能なSoCながら最大限画質を追究しつつも、日常の動作や連写に支障が出すぎないギリギリを攻めていることが伺えます。AQUOSは特にそうですが、発売時点のファームではこんなもので、今後のアップデートでより高い安定感や、画質のブラッシュアップが行われていくことでしょう。

夜景モードで撮影。最新一流ハイエンドの多くは看板の文字も描写するが本機は白飛び。低性能なISPのため撮影枚数に制限されるためだろうか

雰囲気ある夜が撮れたがレンズフレアは入った

東京駅丸の内駅舎ドーム。よく撮れているが、原則として画素混合として動作しリモザイク(高精細)モードは使わないため、網目が潰れて捉えきれていない。高画素が活用できないのもやはりSoCの制約が大きいようで、ここはアップデートでは治らない可能性が高そう

 ハイエンドと比べてSoCが低性能な分、細かい部分では色々とケチはつくものの、このSoCを搭載した機種の中では非常によく撮れています。発売直後の機体の初期ファームとして、特に力を入れずとも写る平凡な日中屋外などは普通の写りをしつつ、評価指標になりがち、ユーザーが気にしがちな場面、メシや夜景などは特に優れた結果を残していることがわかります。

 避けては通れない「カメラすごい」の話、それだけでは終わらないのが本機。オーディオビジュアルが強力です。1300nit輝度の10億色、120Hz+黒挿入の240Hzの6.4型IGZO OLEDパネルを搭載。

 さらにSoCとは別に、映像処理用の専用LSIを搭載。動画フレーム数を最大5倍、120fpsへのフレーム補間技術を備えます。動画を超ヌルヌルの高フレームレートにリアルタイム変換します。最近のテレビに搭載されている機能ですね。

 実はSnapdragon 888や8 Gen 1世代では、一応SoCの機能としてフレーム補間も対応しています。例を挙げると、AQUOS R7やXiaomi 12Sなどが対応。機能を活用するか否かはメーカー次第です。

 なおAQUOS R7がSoCの機能で対応したフレーム補間の恩恵を感じることは稀。なぜなら、高解像度動画やDRMのかかっている動画には効かないからです。NetflixなどのSVODじゃ全く無意味ですし、YouTubeでも低画質動画しか補正されない。あんまり意味ないです。

 ところが、AQUOS sense7 plusでは専用チップを別途搭載したことにより、そうした制約がありません。SoCから出力後の画面を専用チップでフレーム補間処理した後にディスプレイに映すので著作権保護も何もありません。あらゆるSVODの動画を、高解像度でもパワフルにリアルタイム倍速処理。ハードの力で無理矢理、限界突破です。

 チップ自体は汎用品でメーカー名非開示、チューニングはシャープ。ちなみに搭載して活用している例は非常に少ないですが、海外中華端末が載せているフレーム補間チップはピクセルワークス製だったりしますが参考までに。

 では、具体的にはどういう場面で効果を発揮するのか?背景全体が動いているか、カメラ自体が動くような場面、パンやティルトなどが得意。

 こちらはアニメ「よふかしのうた」。作品自体、冒頭からヌルヌルとした動きなので、本機の倍速補完で加速度的に滑らかに感じられます。特にオープニングにある文字と背景の動き。明らかにヌルッヌルで全然違います。よく見ると足の動きもささやかにコマ補完が行われています。第一話ブランコを漕ぐシーンは一番わかりやすいと思います。

 フレーム補間がわかりやすい公式推奨は空撮映像ですが、速度と高度によっては動きがゆっくりすぎて、フレーム増加をほとんど実感できないかもしれません。それなりに高速、地表から遠すぎない場合には滑らかに実感しやすいでしょう。

 背景が静止して文字だけがアニメーションで流れていくような場面にも強く適用される傾向があるので、アニメ映像に曲を載せる音楽のMVや歌詞も流れるようなボカロなどを視聴する場合にも合っています。

 PCではグラフィックボードの機能としてフレーム補間を備えていたりしたものですね。こうした高度な処理は「動作が重くなりそう」という印象もありそうですが、決してそんな事はありません。前述の通りシステム外の専用LSIで処理しているので、フレーム補間処理によってAndroid側の動作が重くなるといったことは起きません。

 フレーム補間で気になるのは破綻です。どんな場面だろうが無理矢理フレーム補間するというのは、おかしなコマを生成することになります。これがテレビのフレーム補間機能に対する批判意見でもあります。

 しかし実際には、人物などがめまぐるしく細かい動きをしているシーンや、不規則に激しく構図や景色が変わるようなシーンでは、フレーム補間はキャンセルされます。きちんと破綻しにくい場面でのみフレーム補間を行うよう調整されています。実写映画でもカメラと空間が固定され、その中で人物があまり動かず喋っているような場面ではフレーム補間がバリバリに効いたりします。

 スローモーションで粗探しするなら別ですが、普通に見ていて気になる破綻はほとんど無いでしょう。あえて粗探ししたければ、サイバーパンクエッジランナーズ第7話冒頭がわかりやすいでしょう。車と背景ビル窓の境目に黒いノイズが出ます。完璧ではないですね。

 別に目立った破綻もあまりないですし、色んな動画がヌルヌル滑らかに観れるのは純粋に楽しいので、本当に素晴らしい機能だと思います。

 さて、映画は24コマと相場が決まっているもので、その低フレームレートが映画らしい雰囲気を醸し出してくれる側面はあるものの、高フレームレートの動画やゲームに慣れていると、カクついて感じるという意見もあります。これを強制的に高フレームレート化するので好き嫌いはわかれると思います。今や若者が買わなくなったテレビはデフォルトでは無効化して出荷されている機能ですが、シャープはこれをスマホに載せてデフォルトで有効化してきたのは非常に挑戦的で良いと思います。

 クリエイターは低フレームレートにあわせて作品を作っています。クリエイターの意図通りではないフレームレートで観るのはいかがなものか、という意見もよくわかります。

 しかし「卵が先か鶏が先か」にすぎないようにも思います。最近は動画の早回し視聴が流行っていますが、これでも1秒間に想定以上のコマが詰め込まれるわけですからね。ゲームなど3Dコンテンツはリアルタイムに描画しており、当然24fpsのはずもなく高フレームレート。

 こうしたコンテンツに慣れ親しんた若い層が今後も高フレームレートで楽しむ幅を広げていくほど、クリエイターも制作段階から高フレームレートを活用した作品を作りたくなるでしょう。こういった機種が今後も増えることを望みます。

 画面と倍速、実に素晴らしいものの、不満なのがHDR動画。

 本機はHDR動画に非対応なので、HDR動画を対応機器で再生したのと比べれば、ぜんぜん別物。ここだけが惜しいですね。今後はHDR動画再生対応のハイエンド機でこそ、本機のように倍速チップを搭載すべきだと思います。

 音響はAQUOS史上最高を謳う大口径大振幅スピーカーユニットを搭載しており、これがまた良い。かなりの音量と音圧で、まあ低音域が依然として微妙で、箱鳴りして音に厚みが足りない感じも受けるのですが、間違いなく従来機種とは段違いの高音質です。

 この最大の恩恵が風呂場。AQUOSは風呂場での防水対応を謳う稀有な機種なのですが、シャワーを浴びていると動画の音が聞こえなくなる低レベルなスピーカーを、ハイエンドですら積んでいたのですが、そうした問題とはもはや無縁。シャワーを勢いよく浴びていてもしっかり聞こえます。真の意味でお風呂対応を果たしました。

 静電式の側面指紋認証の認証精度はそれなりに良好。一瞬触れただけでは反応しないことも無いわけではなく、また耐久性を優先し「側面の中央よりも若干下」という変則的な配置には戸惑うものの、顔認証との併用も可能。顔認証はマスクにも対応するため、「指紋も顔も認証失敗」というケースはごく稀。快適に利用できると思います。

 ただ、若干使いにくいのがPayトリガー。指紋認証を長くし続けると、指定アプリを即時起動できる便利な機能。確実に認証させようと指を長く触れるほど、意図せずにPayトリガーが発動してしまい戸惑います。

 また、逆にPayトリガーを発動させようと思ったときには、指紋認証に指を長く置いているのに、先に顔認証が成功してしまうことによってPayトリガーが不発に終わります。画面内指紋認証のAQUOSでは使いやすいPayトリガーですが、本機では使いやすくないので、設定からオフにしておく方が良いと思います。

 画面描画120fps、黒挿入込で240Hz駆動。ちなみにこれまでのハイエンドAQUOS同様、ブラウザや多くのSNSアプリでは滑らかで快適。Chromeも快適。WebViewとは異なり通常のアプリではAQUOS独自のスクロール慣性になるので、ゆっくり弾けば、疑似240Hzを最も堪能できる絶妙な速度でスクロール。Instagramを楽しむ時なんかがわかりやすいんじゃないでしょうか。写真も文字もハッキリクッキリ読めます。

 ただ唯一、重たい純正TwitterクライアントのTLがカクついて微妙。AQUOS sense7通常モデルとの大きな差異化点のひとつである疑似240Hz駆動の美点が、SoCの制約により重たいSNSアプリで必ずしも活かされると限らないのが課題です。シャープとしてもTwitter純正クライアントでの動作は重視しており、今後のアップデートでの改善の可能性も考えられる点であるので、続報を注視したいところ。

 一方でSoCの制約がありながらも、同チップ搭載機と比べてカメラ画質処理にこだわっている点は評価できる上、このSoCでは到底なし得ない最強の動画再生性能を獲得しているのは非常に面白いです。低音質やシャワー中に使いにくいといった弱点も解消しており、動画プレイヤーとして欲しいと率直に感じました

 価格6万9840円という点をどう考えるかだと思います。この性能では率直に言って高い。

 しかしカメラはこのSoCの中では突き抜けており、さらに高級ハイエンド機ですら不可能な新しい動画体験は本機ならでは。実に悩ましい機種ですが、ぜひ手にとって動画再生重視のスマホとして活用してあげて欲しいと思います。

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