Samsungは5000万画素の1/1.3型のスマートフォン向けイメージセンサー「ISOCELL GNK」を公開しました。
SNSなどでの告知もなく、しれっとイメージセンサーの一覧に追加されており、既にPixel 8シリーズに搭載されている可能性も考えられます。
スペック
ISOCELL GNKのパラメーターは以下の通り。
- 画素数:5000万画素
- センサーサイズ:1/1.3型
- ピクセルサイズ:1.2μm
Tetracell構造となっており、4つの画素を合算することで1250万画素 2.4μm Bayer配列としての出力や、5000万画素のTetracell配列をチップ上でのBayer配列への配列変換をサポートしています。
画素数やピクセルサイズはPixel 7シリーズのメインカメラに搭載された、ISOCELL GN1と一致していますが、いくつか変更がされています。
像面位相差オートフォーカスの方式に、全画素で位相差を検出可能なDual Pixelからさらに改善された「Dual Pixel Pro」を採用。
画素の下の受光素子が縦に分割された画素と、横に分割された画素を組み合わせることで、従来の横線だけでなく縦線も検出可能に。横縞模様といった特定の被写体への合焦速度を高めています。
GN1では、明所での白飛びの少なくなる低感度ISOと暗所でのノイズを減らすような高感度ISOの2つの光信号の変換比率の異なるISOを切り替え可能なSmart ISO機能を搭載していました。
今回その2つの中間の変換比率のISOを用意し、さらに多くの場面に適したISO設定が可能に。
また、異なる変換比率のISOを同時出力し、合成することで白飛びや暗所のノイズの少ないダイナミックレンジの高い撮影が可能になるSmart ISO Pro機能に進化。
動画撮影やプレビュー撮影でのHDR撮影やモーションブラーの少ないHDR撮影を可能にします。
これにより、14bitの色深度でのRAW撮影も可能となり、さらに豊かな階調のRAW画像を元に編集することができるようになります。
フレームごとの通常のマルチフレームHDRよりも省電力でモーションブラーの少ないHDR撮影方式であるStaggered HDRも追加。Smart ISO Proと組み合わせることで最大102dbのダイナミックレンジでの撮影を実現しているとのこと。
この他、供給電圧の削減やアナログゲインの拡大、8K 30fps/4K 120fps動画撮影への対応などが仕様から分かる変更点となります。
Pixel 8/Pixel 8 Proに搭載?
Pixel 8/8 Proのイメージセンサー名については公開されていなかったので、様々な巣推測がなされており、過去記事では筆者はISOCELL GNVであると推測していました。
しかし、ISOCELL GNKが発表されたことで、GNKを搭載している可能性が浮上。
Pixel 8シリーズのメインカメラのセンサーのパラメーターは5000万画素 1/1.31型 1.2μmとなっており、画素数とピクセルサイズが一致。センサーサイズがGNKは1/1.3型表記で少しだけ異なりますが、1.2μmと画素数からの計算すると1/1.31型となるためそちらを採用したと考えると整合性がとれます。
発表されたタイミングがPixel 8シリーズよりも後であるものを搭載している点に疑問を感じる方もいるかもしれませんが、Galaxy S22に搭載されたISOCELL GN3がS22発表の数か月後に発表されている前例があります。
さらに、Pixel 8シリーズにはメインカメラで低照度に最適化された画像と、ハイダイナミックレンジに最適化された画像を同時に撮影し合成する「デュアル露出テクノロジー」を実装していますが、こちらはSmart ISO Proに相当する機能。
GNVはSmart ISO Proの機能の有無が確認できず、GNKではあるためこの点でGNKの可能性が高そうです。
また、GoogleはSoCに、Samsungが製造し設計に関わっているTensor G3を搭載しているように、Samsungとの関係性も良好なため新しいセンサーを供給している可能性も考えられます。
以上の点からGNVではなくGNKの可能性が高いと筆者は思いますが、確認する方法が現状ないため、Googleからの発表がない限り推測の域を出ないのがもどかしいところです。
SONYやOminivisonのイメージセンサーがハイエンドスマートフォンのメインカメラに使用されることが多い現状でGNKを搭載機種が今後登場するのか、注目です。