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Google Pixel 8/8 Proのカメラ詳細まとめ!クラウドAI上での動画処理や、AIを用いた表情挿し換え機能など

 Googleから「Pixel 8」「Pixel 8 Pro」が発表されましたが、多くの人が注目されるであろうカメラはどのような進化を果たしたのでしょうか。

 ハードウェアの進化点から、クラウドAIを用いた画期的な動画処理機能の「動画ブースト」、表情を挿し替えできる「ベストテイク」まで、詳しく見てゆきます。

Pixel 8/8 Proともにすべてのカメラが刷新 

 Pixel 8/8 Proともに、すべてのカメラが刷新されています。

 まず、Pixel 8/8 Proのメインカメラのセンサーサイズは、従来の5000万画素 1/1.31型となっていますが、レンズがf/1.85からf/1.68に。これにより、20%多くの光を取り込めるようになり、低照度撮影における高速なオートフォーカスなど、ハードウェアレベルでの品質向上が期待できそうです。

 さらに、スペック表には記載がありませんでしたが、発表会では「新しいメインセンサー」により、低照度動画撮影におけるダイナミックレンジやシャドウのノイズが改善されるとの言及も。

 Pixel 7に搭載されたと思われるISOCELL GN1は、Samsung公式サイトによると既に生産終了となっており、その影響もあって後継の新しいセンサーを搭載したのだと考えられます。

 具体的なセンサーの名前の公表はありませんでしたが、GN1と同一のサイズ・画素数でvivoやTecnoのスマートフォンに搭載された、ISOCELL GNVが候補の一つとして予想されます。

出典:vivo

 また、メインカメラには「デュアル露出テクノロジー」が利用可能に。これはビデオ撮影時に低照度用に最適化された撮影と、高ダイナミックレンジの撮影を同時に行い、合成する技術です。

 これにより夕焼けの背景など、厳しい照度条件でも鮮明で低ノイズな自然なビデオ撮影ができるとのこと。

 この技術はSamsungのイメージセンサーの機能である、Smart ISO Proと同一のものではないかと考えられます。

(画像出典:Samsung)

 超広角カメラは、Pixel 7以前のPro以外のモデルで利用できなかったマクロ撮影が、オートフォーカス対応と合わせてPixel 8で利用可能になりました。

 Pixel 8 Proではさらに超広角が強化されており、1/2型(計算値)と4800万画素のセンサーにより、105%多くの光を集めることができるようです。

 マクロ撮影の最短撮影距離も30%短くなっており、驚くほど美しいボケ味の撮影ができるとしています。4800万画素のフル解像度で広い画角での天体写真を撮影することもできるようです。

 Pixel 8 Proの望遠カメラは画角がPixel 7 Proよりもほんの少し広くなっていますが、f値がf/3.5からf/2.8に。56%多くの光を集めることで、低照度においても10倍の光学品質の鮮明なズームショットが得られるとしています。

 Pixel 8シリーズでは背面カメラ全てでスペックアップしましたが、PixelだけでなくiPhoneやGalaxy、Xperiaなどのスマホカメラシリーズを含めてこのような例は実は少なく、Pixel 8シリーズはいつも以上にカメラに力を入れていることが分かります。

 Pixel 7 ProユーザーがPixel 8 Proを使ってもすぐに違いに気づくような包括的な進化に期待できそうです。

 その他、Pixel 8 ProのフロントカメラはPixel史上初めてオートフォーカスに対応し、広い画角で鮮明な自撮り撮影ができるとのこと。

Pixel 8 Proでは待望のマニュアル撮影が可能に

 以前のPixelシリーズにはマニュアル撮影がなく、リアルタイムで調整できる値は露出、シャドウの明るさ、ホワイトバランスに限られていました。

 それが、今回Pixel 8 Proでは「Pro設定」として、マニュアル撮影機能が追加され、フォーカス、シャッタースピード、ISOを手動で調整できるように。

 それだけでなく、Pro設定でパラメータを調整してもHDR+のコンピュテーショナルフォトグラフィーの撮影品質は引き継がれるとのこと。Pro設定で撮影したRAW画像をAdobe Lightroomで開いても、HDR+でのダイナミックレンジは保持され、自由に調整可能になります。

 Live HDR+による正確なプレビューに加えて、シーンや自分の好みに合わせてHDR撮影を撮影中や撮影後に調整できるようになるのは魅力的です。

 また、Pixel 8 Proは高画素撮影に対応。超広角・広角・望遠全てのカメラを1200万画素や1250万画素だけでなく、4800万画素や5000万画素をズーム時以外にも有効化できるようになります。

 さらに、Pixel 8シリーズはAndroid 14で追加された、HDR写真をHDRディスプレイに表示させるための規格であるUltra HDRに対応。

 Google PhotoなどのアプリケーションでHDR写真を表示させることができます。SDR画像としても扱うこともできるため、Ultra HDRに対応していないスマートフォンやアプリでもSDR画像として表示が可能なようです。

 Pixel 8は第三者評価機関から写真撮影に最適な電話と評価されており、撮影品質に期待がかかります。

クラウドAIを用いた動画ブーストと夜景動画

 Pixel 8シリーズの発表会では写真撮影よりも動画撮影に重点が置かれていました。

 まず、広範囲な顔認識により、多様な肌の色合いを表現するための人工知能や画像処理のアルゴリズム改良の取り組みである、「リアルトーン」を動画撮影まで拡大。

 正確な露出やホワイトバランスにより、Pixel史上最高の肌トーンの精度をビデオにもたらしたとしています。また、フラッシュも強化し、夜景撮影技術を追加したことにより、暗い肌が自然に映るとのこと。

 全体的な動画撮影の性能は、カメラのハードウェアの性能向上に加えて、SoCである「Tensor G3」のチップ全体の刷新により向上しています。

 カメラパイプラインを最適化し、機械学習アルゴリズムをオンチップで直接構築したことにより、動画撮影の色、コントラスト、ダイナミックレンジが向上し、プレビュー段階での正確なLive-HDR+と詳細なキャプチャが可能に。

 消費電力を抑えながらこれまでで最高のビデオ体験を実現しているといいます。そのほか、ズーム時の手振れ補正や追尾性能も向上しています。

 さらに、動画撮影の基盤となる画像処理の向上に加えて、Pixel 8 Proのみの新機能として、「動画ブースト」と「ビデオ夜景モード」を使用可能に。

 ビデオ撮影においては30fpsの動画を一分記録するのには、1800枚という膨大な量のデータを処理する必要があり、通常スマートフォンだけでは最適な動画処理をすることは難しいのが現状です。

 そこで、「動画ブースト」ではTensor G3の最先端の動画処理とGoogleのクラウドAI機能によりこの困難を解決し、動画撮影を今までとは異なる次元に引き上げています。

iPhone 15 Pro Maxとの動画HDR比較

 まず、Tensor G3がデバイス上の動画処理とノイズ除去を行います。その動画は今までと同様に元の動画としてGoogle Photoに保存されますが、同時にバックグラウンドでGoogleのクラウドAIにも送信。

 その後、Googleの最先端のハードウェアとソフトウェアやITインフラを持つデータセンターにおいて、HDR+が動画の膨大なすべてのフレームに適用され、自動露出調整と動きの安定化、ノイズによる粒状性を除去します。

 その結果生成されたスタジオ品質の動画は、長さに応じて数分から数時間の間に元のバージョンから自動的に置き換わり、端末だけでは生み出せない高クオリティの動画を残すことができます。

ビデオブーストが完了した通知

 「ビデオ夜景モード」は動画ブーストを夜景や低照度において有効にすると、自動で有効になり、動画ブーストと同様にクラウド上で処理され、夜景モードを動画撮影においても使用可能に。

 露出を自動で補正し、夜景の本当の色と、忠実なディテール、広いダイナミックレンジを実現したとのこと。すべてのスマートフォンの中で最も優れた低照度撮影ができると強調しています。

ビデオ夜景モード使用時(右)

 画像処理や動画処理はスマートフォン上のチップが行うという前提が覆され、まさかのクラウドAIを用いて動画処理を行う時代に突入しました。信頼性の高いクラウドと強力なデータセンターを持つ、Googleだからこそ実現できたのだと思います。

 この2つの機能は12月に実装予定。どのような動画撮影ができるようになるのか、楽しみですね。

「ベストテイク」機能で人の表情を差し替え可能に

 Pixelといえば、消しゴムマジックなどのAI編集機能が有名ですが、そのAI編集機能として4つの機能が追加されました。

 一つは「集合写真を撮影する際に、シャッターを切るタイミングで誰かが目をつぶってしまい、何回も撮り直すことに」「大事な家族の一場面の写真で誰かが目をつぶったり、いい表情で撮影できなかった」といったありがちな場面を解決する「ベストテイク」機能。

 ベストテイクを有効化して撮影すると、シャッターを押した瞬間に加えて、その瞬間付近の10秒間に5~7枚の連射撮影を実行。その結果、撮影した一連の画像の中のそれぞれの人物の表情をAI認識し、好きなように表情が選択可能に。

  全員が笑顔になるように表情を挿し替えることで、実際にはない、全員が笑顔の場面をAIにより生成するといったことができます。

 人の顔を手軽に挿し替えることができる、というのは写真の編集として違和感のあるものですが、消しゴムマジックのように画期的で便利な機能として浸透してゆくのかもしれません。

編集マジック・音声消しゴムマジックの追加

 生成AIを用いた「編集マジック」機能では、撮影した背景の照明や光の加減、被写体の位置や大きさまで編集で変更できるようになりました。

 編集したいオブジェクトをタップまたは〇で囲んだ後、ドラックで位置を変更やピンチイン/ピンチアウトでの大きさの変更と直感的な操作で位置と大きさを行えます。

 また、昼に撮影した写真を夕方にしたり、曇りを快晴に変えたり、あたかも撮影時と違う時にその場所で撮影したかのように、背景と光の加減を加工することが可能に。編集を選択した後、複数のオプションが表示され、好きに選択できます。

 この「編集マジック」機能はまだ初期段階で未熟なため、ユーザーのフィードバックにより改善してゆき、可能な限り最高の編集を目指しているそうです。Googleは、将来的にはより直感的な生成AI機能を追加してゆくことを予定しています。

 加えて、従来の消しゴムマジックは画像の被写体を消す機能でしたが、動画内のノイズを消せる機能として「音声消しゴムマジック」が新しく実装されます。

 高度な機械学習モデルを使用して、背景の話し声、音楽、風、ノイズなどの音を識別し、個別のレイヤーに分類。

 ユーザーは数タップで認識されたノイズを調整して、手軽に音声の特定のノイズを消すといったことができるようになりました。

「ズーム補正」機能 アプデで新機能追加も

 Pixel 8 Proのみ搭載される機能の「ズーム補正」では生成AIにより、撮影後の写真から擬似的にズームすることが可能になります。

 撮影したの画像をトリミングする際にこの機能を有効化すると、生成AIが画像の画素間の隙間を予測・補完。

 すると、あたかもズームをして撮影したかのように、写真の解像感を高めることができます。ワンタップでAIが写真にはないディテールを描き足してしまう、SFのような技術がスマホで使用できるようになります。

 ズームエンハンスは12月以降の将来のアップデートで追加される予定。

 上記の生成AIを用いた新機能はTensor G3で実行可能なオンデバイス基盤モデルの書記のアプリケーションのほんの一部であり、Pixel 8 ProにはGoogoleが新機能を展開するたびに、生成AI技術が提供されるとのこと。随時最先端の新機能が使えるようになるのはかなり魅力的ですね。

 その他、「消しゴムマジック」は被写体をその陰や付着物といった、より大きな範囲で除去できるようになる改良。

 視覚障害者支援技術である「音声ガイド機能」は、顔だけでなく、愛犬や夕食に対しても認識し、フロントカメラとリアカメラの両方でで活用できるようになりました。 

 「Pixel 8」「Pixel 8 Pro」は10/12(木)に発売開始予定。

カメラスペック表

  Pixel 8 Pixel 8 Pro
SoC Tensor G3
広角カメラ 5000万画素 Octa PD 82°
1/1.31型 1.2μm
f/1.68 OIS
超広角カメラ 1200万画素 125.8°
1/2.9型(計算値) 1.25μm
f/2.2
AF,レンズ補正
4800万画素 Quad PD 125.5°
1/2型(計算値) 0.8μm
f/1.95
AF,レンズ補正
望遠カメラ 光学5倍
4800万画素 Quad PD 21.8°
1/2.55型(計算値) 0.7μm
f/2.8 OIS
  シングルゾーン測距レーザーAF
スペクトルセンサー
フリッカーセンサー
最大8倍超解像ズーム
マルチゾーン測距レーザーAF
スペクトルセンサー
フリッカーセンサー
最大30倍超解像ズーム
インカメラ 1050万画素 Dual PD 95° (ワイド)
1/3.2型(計算値) 1.22μm
f/2.2
固定フォーカス
1050万画素 Dual PD 95° (ワイド)
1/3.2型(計算値) 1.22μm
f/2.2
AF
ビデオ 最大4K 60fps
10bit HDR撮影
4Kシネマティック動画撮影
スローモーション(最大240fps)
最大4K 60fps
10bit HDR撮影
4Kシネマティック動画撮影
スローモーション(最大240fps)
ビデオブースト
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情報元Google
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