中国OMNIVISIONはフラグシップスマートフォン向け5000万画素 1型イメージセンサー「OV50X50」を発表しました。
スマートフォン向けの1型センサーとしては、SONY製のイメージセンサー「IMX989」と「LYT-900」の2つしかありませんでした。IMX989が登場した2022年から3年を経て、ようやくSONYに対抗できる1型イメージセンサーが登場する形となります。
OV50Xの最大の特徴は、LOFIC(横型オーバーフロー蓄積容量)と呼ばれる画素構造。通常は受光素子のフォトダイオードが受ける光が飽和すると、電荷があふれ出し白飛びしてしまいます。LOFICはフォトダイオードの横にあふれた電荷を蓄積する構造を設定することで、最大容量を拡大し明るい条件でも白飛びなく撮影可能に。
LOFICを用いない高照度・低照度用の2種類の画素ゲインでの撮影と、LOFICを用いた撮影を同時に読み出すHDR撮影により、単一露光で約110dbに近い高ダイナミックレンジを実現できるとのこと。
最新のSONYの高ダイナミックレンジセンサー「LYT-818」で約86dbであるとされるので、その約16倍ものダイナミックレンジであると計算されます。とてつもないですね。
「消費者は日の出、日没、明るい夜間、曇りの日など撮影の難しい条件でも、24時間いつでも優れた動画・写真撮影可能なスマートフォンを所有できるようになる」とOMNIVISIONは謳っています。

DCG撮影と DCG + LOFIC撮影の比較 ダイナミックレンジとSNRが優れる
このDCG + LOFICのアーティファクト(動体ゴースト)を抑えたHDRは4K 60fps動画撮影において利用可能。さらに8K 30fps撮影時にも、DAG-HDRと呼ばれる2つの異なるアナログゲイン(≒ISO)で同時撮影を行うHDR方式での撮影が可能だと言います。
劣化の少ない2倍オンセンサークロップズームと、全画素で位相差検出PDAFが可能なQPDもサポートしています。
OV50Xは現在サンプル出荷の段階で、2025年の第3四半期に量産開始予定とのこと。OMNIVISIONのイメージセンサーを積極的に搭載しているHuaweiやHONORなどのメーカーでの採用が期待されます。
OV50Xのパラメーターは以下の通り。
イメージサイズ | 1型 |
有効画素数 | 約5,000万画素 |
ピクセルサイズ | 1.6μm |
カラーフィルタ | 4-cell |
AF | 全画素PDAF (QPD) |
フレームレート | 5000万画素 30fps 1250万画素 180fps 1250万画素 DCG + LOFIC 60fps 1250万画素 HCG + LOFIC/LCG 90fps |