楽天モバイルは契約772万回線(MVNOとの合算では812万回線)を突破、ユーザー1人あたりのデータ利用量も爆増中となっていますが、肝心の回線品質は大丈夫なのでしょうか?
楽天モバイルは、東京都世田谷区二子玉川の楽天本社クリムゾンハウスにて、通信品質への取り組み関する説明会を記者向けに開催しました。楽天モバイルのモバイルネットワーク本部副CTO竹下紘氏が説明しました。
従来の携帯基地局は専用機器構築が必要でコストが高く、交換設備となるコアネットワークもソフトとハードが一体化しているので一緒に取り換えが必要など運用柔軟性に課題がありました。
そうした課題を乗り越えるため、楽天は全面的な仮想化を実行、他社に対する強みとして「仮想化ではない基地局はひとつもない」といいます。
汎用ハードウェアを利用可能にし、基地局の設備構成を簡素化。最小構成に留めるなど、素早い基地局展開とコスト削減を謳います。このような合理性・効率性の高さは、通信規格更新時の柔軟性にも寄与するため、次世代6G以降も役立つと見通します。
Open RANにいち早く取り組んできた楽天モバイル。従来はエリクソンやノキア、Huawei、ZTEといった特定ベンダーに依存する必要性がありましたが、Open RANでそれを克服。仕様公開化によって様々な企業が入ってこれるため、市場競争によって価格が下る効果もあり、利用者に低価格料金で還元。もちろん昨今注目される経済安全保障への対応にも繋がります。
サーバーこんな感じ pic.twitter.com/yGzuOzxrMT
— すまほん!! (@sm_hn) November 27, 2024
経済安全保障バッチリの楽天モバイル pic.twitter.com/tEWosEQAkq
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マクロから中規模マイクロセル・アウトドアスモールセル、家庭用フェムトセル、ビル用ソリューション、製品数34万以上という世界にはあまり例がない多さだとのこと。一見、これによる非効率性はありそうですが、特にそういった副作用はなくコスト削減を実現できているそうです。
ネットワーク最適化にAI導入も。デプロイやセキュリティ設定を自動化し、構築工数を大幅削減。そしてネットワークの不具合・障害時の前に起きる傾向のある様々な「兆候」を、AIが事前検知して実際に問題が起きる前に対処するといったユースケースも想定、日々のネットワーク不具合や障害を防止できるといいます。
現在試験中のエネルギー電力の効率化策として、夜間には省電力モードに切り替えるなど負荷に応じた電力調整によって、最大2割電力削減を見込みます。2025年以降、商用ネットワークで大規模展開を予定。
OpenSignal調査では「no singnal availavility」端的に言うと繋がらない場所の割合では、23年当初1%だったのが 0.57%に改善。エリア面で「MNO C」に近い水準になったことがわかります。
電波は地下屋内など穴を埋める700MHz帯プラチナバンドと、3.7GHz 5G Sub6が通信品質向上の鍵と戦略上位置付けます。
プラチナバンド基地局は保守的計画で2033年3月に10661局と届け出しているものの、1局目を前倒して2024年6月から運用中。現在はもう少し増えてはいるものの数は非開示。今後関係者調整等を加速して増やしていくので「ご期待ください」とのこと。
一緒に展開していき穴を埋めるのが効率的とのことで、実際このプラチナバンド対応の基地局もプラチナバンド単体ではない。3MHzと狭いのもあるしプラチナバンドだけで広くカバーみたいなことはやらなさそうだな
— すまほん!! (@sm_hn) November 27, 2024
SoftBankやauは転用5Gで切り替えの円滑な高い通信品質を担保する一方、ドコモは転用5Gがないことも通信品質の大幅低下のひとつの要因と見られています。この点、ドコモと同じく転用5Gを持たない楽天モバイルは、基本的に5Gオンにする時は5Gの電波状況シビアに見て、より良い環境でオンにするとともに、悪化傾向あれば早めに離すチューニングをすることで、切り替えラグがだいぶ減ってきているとの認識。
筆者も楽天モバイルを使っているのですが、東京都内だとかなり実用的に使えるようになった一方、悪いのが鉄道、特に地下鉄。時間帯にもよりますし、他社も悪いのですが、明らかに詰まっていると感じることも多いです。
これについて、楽天モバイルは東京メトロにおける他社との共用基地局の帯域幅拡張整備により、5MHzから20MHz幅へと拡大し、地下鉄の通信品質を改善するとのこと。2024年度中40%、2025年度中100%完了予定だそうです。何気に、東京のユーザー目線では今回一番のトピックかもしれませんね。
Sub6基地局数は1万494局突破。5Gネットワークの8割超でMassive MIMO採用とのこと。1.7GHz帯の4Gは20MHz、700MHz帯のプラチナバンドは3MHzと狭い一方、100MHzの帯域を持つSub6は容量対策の鍵だと重要視します。
ユーザー平均31GB/月まで急増したデータトラフィック、この伸びがこれから2年ぐらいは続いていくと予測。加入者の伸びの掛け算もあるので収容できるネットワークが必要。加入者とデータトラフィックの掛け算となるので、都市部でSub6基地局広げるなど後手にならないように局数増加・容量対策をしていくとのことです。
また関東地方Sub6品質向上は、共用帯域における衛星通信との干渉調製条件緩和に伴いエリアが拡大。年内に1.6倍と以前リリースを出していたものの、予定より局数増やしたことや、アンテナの角度調整が功を奏し、2.1倍に。
OpenSignal収集データでの新指標として「獲得シェアの増加」でも楽天モバイルは伸びているとのこと。
このほか災害対策。能登半島地震を経験した楽天モバイル。予備電源延命対策として、MIMOの4×4を停電時は、遠隔制御で緊急省エネモードで2×4に変更することで、通常3時間の予備電源駆動時間を4〜5時間に延長という手法を確立して自動化可能にしたといいます。あくまで最高速度や容量への副作用のみで、カバレッジに影響なし。電力復旧は3時間程度で回復することが多いので、ダウンせずに生き延びて少しでも被災者が繋がるようになる効果が得られ、災害に強いネットワークに。
ドローンやStarlinkも積極的に活用しています。
楽天モバイルが取り組んでいるASTスペースモバイル。山や海でもスマホで通信可能になるこの技術は、2026年に商用化見込み。現在日本の携帯キャリアは「面積」カバーでいうと7割程度。残り3割の基地局を立てにくい場所で役立つとしています。
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