
日本の家電メーカー、バルミューダが世に送り出し、そして散った「BALMUDA Phone」。日本では失敗作の烙印を押され、市場から姿を消したこの端末が、いま中国のSNS「小紅書(RED)」で奇妙な再評価を受けているそうです。現地メディア愛范儿が2025年10月14日に伝えました。
それによると、本来は「電子ゴミ」同然の扱いだったはずが、ある層の心を射抜き、中古市場の相場が跳ね上がっているとのこと。
事の発端は、発売から時間が経過した旧型機を安価に楽しむ「電子ゴミ(電子垃圾)」界隈での異変です。かつては200元台(約4540円)で投げ売りされていたBALMUDA Phoneが、現在は800元台(約1万8150円)でも取引されるほどの高騰を見せています。特に「白い前面ベゼル」を持つモデルの人気が凄まじく、黒モデルより150元から200元(約3400円から4540円)ほど高く売買される事例もあるといいます。

2021年末の登場時、BALMUDA Phoneは市場の冷ややかな視線に晒されました。4.9型画面にSnapdragon 765というミドルレンジ級の構成ながら、価格は10万4800円。当時のiPhone 13 miniよりも高額という強気な設定は、コストパフォーマンスを重視する当時の市場からは拒絶されました。しかし、寺尾玄社長のジョブズ好きのスタイル、流行に迎合せず独自の美学を貫いたその「異形」こそが、時を経て中国の若者に刺さったのだとか。
愛范儿は、このブームを牽引するのが「電子垃圾妹(電子ゴミ妹)」「数码宅女(デジタル女オタク)」といった女性層だと分析します。従来のジャンク品収集は、男性中心の「垃圾佬(ゴミ拾いおじさん)」たちが、LumiaやBlackBerryといったクセ強端末を改造して楽しむ文化でした。対して「妹」たちは、スペックよりも外観の可愛らしさ、特に現代のスマホが失った「白いベゼルの美しさ」や、手に馴染む丸みを帯びたフォルムを重視します。

彼女たちにとって、BALMUDA Phoneは通信機器というより、自分の世界観を演出するアクセサリーです。背面にシールを貼って手帳のようにデコレーションしたり、あえて機能を絞ってデジタルデトックスに使ったり。動画視聴や読書など、特定の用途に限定して「飾って使う」ことが前提となっています。
スマホが均質化し、スペック競争が飽和した現代。市場原理に敗れたかつての異端児が、海を渡って居場所を見つけられたのは興味深いですね。




















