Nothingの新型スマートフォン「Nothing Phone (3a)」の楽天モバイル版 ブルーをお借りしたのでレビューします。本機はおサイフケータイと、初のeSIMに対応しています。価格は8/128GBモデルが5万4800円、12/256GBモデルが5万9800円。
Nothing Phone (3a)は、これまでのアクリル素材から硬質ガラス素材の背面パネルへと変更。筐体の厚みは8.35mm。一般的に青色は夏の青空や海を彷彿させ、夏モデルに採用されることも多々あったカラーですので、夏モデルの時期が5月であったことを考えると、1ヶ月早いですが良い色と言えるのではないでしょうか。
手に持った感触は良好です。四隅はラウンド。画面はフラットです。

かつてのApple Garamondのようなフォント
楽天モバイル販売モデルはこれまで、プリインストールアプリが消せるとはいえ量がかなり多い傾向でした。百歩譲って楽天オリジナルモデルはやむを得ないとはいえ、いくらなんでもNothingの端末にピンクのアイコンがずらっと並ぶのは世界観と全く合わないだろうと思いました。
しかし本機のプリインストールアプリは最小限。そしてNothingが提供するNothing Icon Packを入れると楽天モバイルのアプリやおサイフケータイアプリを含めて、様々なアプリの色調を溶け込ませることが可能。

筆者の貸与機ではmy楽天モバイルとRakuten Linkが確認でき、両者他の色調とあわせられるほか、アンインストールも可能だった。
アプリはインストールが完了すると色を消せます。このほか起動時のブートロゴには楽天モバイルのロゴはありませんでした。
SoCはMediaTekではなく、QualcommのミッドレンジSoC、Snapdragon 7s Gen 3を搭載します。電池容量は5000mAhで、電池持ちは1日終日持ち、ライトに使うには余裕がありました。
ベンチマークスコアは以下の通り。
- AnTuTu V10.4.7:788337
- AnTuTu V10.4.7(ゲームモード):799284
- Geekbench 6 Single core:1147
- Geekbench 6 Multi core:2842
- Geekbench 6 GPU:3333
- Steel Nomad Light:377, 平均fps 2.80
- Wild Life Extreme Stress Test:1059, 1051, 99.2%
- Work 3.0 performance:12382
X(Twitter)のスクロール慣性は、スクロールのピークから静止に向かう局面で若干のカクつきを感じます。また、原神はあまりフレームレートが出ませんが、別に30fps前後出てれば十分という人にとってはプレイはできると思います。
なおゲームで過度な負荷をかけても、背面表面温度計測時も30度台半ば、体温程度にとどまりました。手に持った時の不快感はありませんでした。そして連続での高負荷を続けるベンチマークテスト Wild Life Extreme Stress Testにおいても、パフォーマンス99.2%を維持。あくまでミッドレンジレベルの性能ではあるものの、発熱せずパフォーマンスを持続する長距離走者といったテイスト。ヘビーユーザーを除けば、多くの人が満足できてくると思います。
メインカメラは5000万画素、1/1.57インチのSamsung ICOSELL GN9(Nothing向けカスタム版)です。光学手ブレ補正も備えています。ちなみに画面輝度は高く、屋外での画面の視認性は良好でした。シャッター音は消去できませんでした。今回、2眼から3眼に。新たに望遠が加わりました。

50mm
日中屋外の50mmはいい感じですかね。
ご飯がやや美味しくなさそうな感じもありましたが、色調の自動補正機能をオンにするといい感じに撮れるかも。
以下夜景、24mmと50mm。
サムスンの特注品撮像素子や、あえての50mm望遠採用など、部品選定は「わかってるなぁ」と思いますが、今回注目したいのがソフト面。なんとプリセットからカメラ設定の呼び出しが可能。UIがおしゃれです。
そしてお気に入りのカメラ設定を自分で作って、簡単に呼び出せます。非常に便利ですね。
さらにそのカスタムカメラ設定を、カメラ起動時の標準にすることも。もちろん電源ボタン二度押しでのカメラ即時起動対応。
そして、その設定をQRコードで共有可能という、最高にイケてる機能まで備えています。「Galaxyみたいに画質フィルターストアを用意しろとまでは言わないから、もうSIGMAみたいにユーザーの作った設定をQRコードで共有できるようにすればいいのに」というの、結構前から言ってたので、正直これを待ってた感があります。これで色調フィルターの詳細なプロファイルまでユーザーが作れるようになれば、さらに最高に楽しい機種になるでしょうね。
通知音などは未来的で独特。背面の通知ライトGlyphインターフェイスも継続搭載します。
スピーカー音質はミッドレンジ以上。低域の質に目を瞑れば、ボーカルの声もしっかり聞こえて楽しい音で、日常的に利用するにあたって必要な最大音量もiPhone 16 Proをわずかに上回るほど十分に確保しています。
特に注目すべきは「エッセンシャルキー」と「エッセンシャルスペース」という新機能です。
エッセンシャルキーは本体側面に配置された専用ボタンで、このボタンを押すことでAI機能「エッセンシャルスペース」に簡単にアクセスできます。メーカー説明曰く、気になるカフェを見つけた時に写真を撮ってエッセンシャルキーを押すと、そのカフェの場所や店名などの情報がAIによって自動認識され、後で簡単に参照できる……というもの。
カメラ起動時にエッセンシャルキーを押すと保存できるほか、スクリーンショットを撮影してメモを保存することも可能。これらの保存時、音声入力でToDoを追加などの柔軟性も持ちます。メモを撮ったらToDo管理や次の提案をしてくれるというのが非常に着眼点が良いと思います。まだコミュニティ向けの開発版の段階なので完全に動いているわけではないですが、方向性は正しいと思います。
というのも、やはりスマートフォンのオンデバイスAIは、テキスト・画像生成において、クラウドやローカルに大きく劣ります。本丸は、やはり様々なアプリや写真、サービスから情報を統合し、PIM管理や提案を行ってくれる、より秘書のような役割へとスマートフォンを進化させることだと思います。だからからこそ、本機のAI機能の方向性は、試みとして率直に良いと思いました。今後どのように進化するのか、データ同期や移行がどうなるのか、注目です。
地味で嬉しいところでいうと、メーカー純正のギャラリーアプリを搭載。Googleフォトが苦手という人にとっては嬉しい点かもしれません。
今回、おサイフケータイとeSIMに対応しているほか、IP64防滴防塵に対応。また、ソフトウェアサポートもAndroidアップデートが3年間、セキュリティパッチが6年間と長期にわたりサポートされる点も安心です。
今回、楽天モバイルから限定色発売など、設立4年の新興企業としては非常によく健闘しており、今後の成長が期待できるメーカーだなと改めて感じました。注目のEssential Key/Space機能はコンセプトが非常に良いほか、カメラも画質はまだまだ進化の途上ではあるものの、こちらもカメラ設定保存と共有など方向性が抜群に光る個性があるので、今後のアップデートでの進化に期待したいです。